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へその緒のはなし

「へその緒」を研究する産婦人科医のブログ。
かつては、みんながお世話になったはずである「へその緒」の神秘的なしくみと、その異常への挑戦を語る。

職場ではちょっと上の学年になったので、今までは当直はせず、自宅待機でなんかあれば応援出勤という体制だったのですが、最近の人員不足のため、月一で当直しなければならなくなった。



この前は、そんな久しぶりの当直。

上中下3人でやるのだが、なんだか懐かしい。



まずは、お気に入りの麻婆ラーメンを注文し当直スタート。久しぶりの当直感満載でうれしい。



デザートにピノでも買ってくると言うと、後輩が、やめてくださいと。


以前、私が当直中に買ったピノで、6個のうち3つが星形だったこと。そのあとに、胎盤早期剥離(早剥)がおこって大変だったという過去があったからだと。


ということで、あずきバーを食べて、とくに問題のない落ち着いた当直を過ごしておりました。




そこに、ホットラインが。


「早剥です。今すぐ搬送したいです。」


と。(ピノ食べてないのに・・・)


診断は間違いないということなので、そとから救急車で手術室直入の段取りを。輸血も超音波もすべて手術室に準備。


うちは初診なので、話をゆっくりしている時間もないので、救急車の車寄せで待機。


救急車が到着し、扉が開くと、妊婦さんと2歳ぐらいのお子さんを抱いたご主人、搬送医がいた。




手術室へ運びながら、いますぐ手術しないと、母児ともに危ないから、細かいことはあとになるけど、とりあえずの手術の承諾、合併症の確認などをとりながら突入。

超音波で、児は生きているが、胎盤が明らかに剥がれているのを確認。即手術した。

多量の出血とともに分娩に至ったが、幸い赤ちゃんも元気で、母体の出血も許容範囲内に手術を終えた。




麻酔が覚める前に、直ちに無事終わったことを報告するためご主人のもとへ。


安堵した我々と父の会話を察したのか、抱かれた2歳の息子が

うながされたわけでもなく、「ありがと」

と。


とっさなことで、不覚にもそれに笑ってしまったが、とても感動してしまった。

「よかったね、おめでとう」


と言い、その場を去ったが、ずっと背筋がぞくぞくしてしまった。



ホットラインがなってから1時間でことが終了するという、あっという間のできごとだったけど、無事でなにより。

久しぶりのみんなでの当直だったけど、楽しいことがいっぱいあった。


やっぱり第一線で働くのは楽しい。これだから産科医はやめられない。




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