じわじわの胎盤早期剥離の診断 | へその緒のはなし

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「へその緒」を研究する産婦人科医のブログ。
かつては、みんながお世話になったはずである「へその緒」の神秘的なしくみと、その異常への挑戦を語る。

 妊婦さんが多量の出血や強い腹痛を訴えてきたら、まず胎盤早期剥離を疑いますビックリマーク


 その様な状態であれば、超音波を見たり、胎児心拍数モニタリングで確認する間も無いぐらい、急いで分娩にしなければならないことが明白な場合が多いものですあせる

 病院に来た時にはすでに手遅れのことも稀にあります汗




 その一方、じわじわ進行している場合には極めて判断が難しいと思いますひらめき電球ひらめき電球


 超音波では、胎盤後血腫と呼ばれる胎盤の子宮壁側に血の塊を見つければ診断できるとも言われていますが、実際のところは胎盤の輝度と出血の輝度はあまり違わず、その診断をするのは余程熟練しないと難しい場合も多いのです。


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△言われてみればそうかなと思えるかもしれないけど、言われなければ分らないようなものが多いんです。


 また、胎盤のほんの一部が剥がれている場合では、正常な部分で酸素供給がまかなえてしまい、早期剥離起き始めの頃の胎児心拍数モニタリング(分娩監視装置)に異常がでないことも多いものです。


 さらに、その様な徐々に低酸素になっていくような場合の心拍数波形は、がくんと心拍が下がるもの(変動一過性徐脈)とは違い、心拍の細変動(ギザギザ)が小さくなるだけだったり、遅発一過性徐脈といったゆっくり緩やかにしか心拍が下がらない様なあまり派手でない異常所見も多いものです。


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△短い間心拍を聞いても正常範囲の脈拍数に聞こえますが、持続的にモニターをとると細変動が少ないことや緩やかな遅発一過性徐脈の異常所見が明らかになってきます。



 そういった、微々たる最初の変化を見逃さないようにすることが重要なポイントなんです。
発症、診断から処置までの時間が短いことがカギです時計



 私は、多くの超音波診断などは若い先生でも一生懸命勉強すれば比較的すぐに習得できるものが多いと思っているのですが、こういう微妙な胎盤早期剥離だけは、熟練を要すると感じています。


 感覚で・・・というのはあまり説得力がなく、あまり好きではないのですが・・・
この胎盤早期剥離には、なんか普通の子宮収縮と違うとか、おなかがこの子宮口に対してやたら固いとかいった経験的な怪しいと思う感覚が非常に重要だと思っています!?




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