ドップラー効果の原理を用いて、超音波で動いているものの速度が測れることをお話しました。
その応用で、へその緒の血流を測定することで、赤ちゃんのいろいろな情報が増します。今日は、そのお話です
臍帯動脈(赤ちゃんの心臓から胎盤へ向かう)は、赤ちゃんのほかの場所の動脈と同じで、心臓の拍動にあわせて脈打っています
一方、臍帯静脈(胎盤から赤ちゃん側へ向かう)は、脈打っておらず、常に一定の流れで血液がもどります。
そのことは、超音波ドプラで確認することができます。縦軸が速さ、横軸が時間経過です。静脈は横一線なのに対し、動脈は波打っています。
写真は静脈。横一線です。
写真は動脈。脈にあわせて波打っています。
動脈流速の、もっとも高い山の部分が心臓が縮まっている時、低いところが広がっている時を表します。
正常の血流では、心臓が血液を送り出したあとでも(山がもっとも低いところ)、最大の流速の半分以上は流れているものなのです。
しかし、様々な理由で赤ちゃんの心臓から血液を送り出す力が弱くなった場合には、血液の流れを維持できず、谷の部分が深くなっていくのです
写真は、胎盤異常があって赤ちゃんの心臓に少し負担がかかっているときのもの。
矢印の部分の谷底が深いでしょ。(むずかしいかなぁ?)
さらに具合が悪くなった場合は、谷底がゼロになったりマイナス(血液が逆流しているということ)になることもあります。
そこまでなると、かなり赤ちゃんの心臓に負担がかかっていることがうかがわれ、危険な状態と知ることができます。
我々にとって、とても重要な情報源なのです