単一臍帯動脈 | へその緒のはなし

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「へその緒」を研究する産婦人科医のブログ。
かつては、みんながお世話になったはずである「へその緒」の神秘的なしくみと、その異常への挑戦を語る。

 単一臍帯動脈という異常の説明をします。

 へその緒には通常2本の動脈と1本の静脈が流れています。動脈は赤ちゃんの心臓から胎盤へ、静脈は胎盤から赤ちゃんへもどります。詳しくは正常編をみてくださいね目

 へその緒の動脈の1本がなくなっちゃっていることを単一臍帯動脈といいます。


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正常(2本の細い動脈と1本の静脈)


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単一臍帯動脈(1本の細い動脈と1本の静脈)



 単一臍帯動脈は、よく胎児奇形や染色体異常と関連すると言われており、超音波で見つかった人はその可能性があると説明されることがあると思います。

 確かに、染色体異常のある赤ちゃんからみれば、単一臍帯動脈をもっている場合は多く、3割ぐらいにあると言われます。

 しかし一方、染色体異常や他の奇形のない、単一臍帯動脈だけある赤ちゃんも多くいます。

 分娩後にはじめて、へその緒を切ったときに分った場合で赤ちゃんが元気であった場合は、心配することはないでしょう。

 妊娠中に超音波で単一臍帯動脈が分ったら、もう一度赤ちゃんの全身チェックをします(胎児精密超音波スクリーニング)。超音波では、染色体異常の有無は確認できますが、多くの大きな奇形は見つけることが可能です。

 もし、他に大きな奇形がみつかれば、その種類などによって染色体異常の可能性(あくまで可能性)があるということで、羊水検査などの次の診断へのステップとなります。

 何も大きな奇形が無かった場合は、染色体異常の可能性を完全に否定はできないけれど、かなりその確率は減ることが分っています。

 もちろん、羊水検査はそれほどリスクの高い検査ではありませんから、羊水検査までやって染色体異常の有無をはっきりさせても構いません。でも、リスクが無いとは言えませんから、よく考える必要があります。

 単一臍帯動脈だけみた段階だけで、染色体異常の可能性があると言われるよりは、全身の超音波検査を合わせてその可能性を考えた方がより正確な予測ができるということがポイントです!!

 もし、単一臍帯動脈を指摘されて、染色体異常の可能性が心配なときは正確に超音波スクリーニングをやってくれる病院で確認してもらうとよいでしょう。


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