卵膜付着の見つけかた
へその緒が子宮の壁のどこについているかを見れば基本的にはわかるはずなんです。そのほとんどは胎盤の真ん中かすこし脇についているので、胎盤全体を見渡せば多くは見つかります。
見つからない時はよくさがします!
まず、胎盤周囲をくまなく探索。もし胎盤の隅についていれば辺縁付着。これも、子宮の下のほうでなければあまり問題ない。胎盤より外についていれば卵膜付着と。
しかし、これでも見つからない時は要注意!!
全く胎盤と違うところに付着していて、大物の卵膜付着の可能性があるからです。へその緒の付着している場所と胎盤が遠ければ遠いほど、守られていない卵膜血管が長くて危険だからです。くまなく子宮全体を探します。
ポイントは、いつ見るかです!。
週数がすすむほど見づらくなる。
卵膜付着は妊娠中に診断がかわることはない。
そのことから、胎盤がしっかりできた17-18週には診断可能です。逆に言うと、一度正常付着を確認したら、あとは卵膜付着の心配をしなくてすむのです。
といっても、なかなか多くの施設では実施されていないのが現状です。1990年代後半の卵膜付着の診断に関する論文だったと思いますが、見つけるコツとして最後に「motivation(やる気)」と書いてありました。読んだその時は「強気だなぁ」と思いましたが、今は私も本当にそう思います。
多くの産科医にこのことを知ってほしいと願っています。
for professionals
臍帯付着部位は、プローブを大きく動かしながら胎盤全体を描出して、胎盤実質上に臍帯が付着している所を描写することで行うが、浮遊臍帯を追跡することで付着部が描出できることもある。
胎盤実質上に臍帯付着部が見当たらないとき卵膜付着を疑い、胎盤周囲を広く描出し、臍帯が子宮壁に付着する場所を描写するか、または、卵膜上を子宮壁に沿って走行する卵膜血管が胎盤表層血管につながる部分を描出することで診断する。
胎盤は後壁だが臍帯付着部位は前壁(前後をつなぐ長い間の卵膜血管)
胎盤表層血管から卵膜血管へつながるところ
たまたま臍帯の係蹄が胎盤辺縁に見えることもあるので、さらに、お腹をゆすっても付着部位がかわらないことを確認したほうがよい。
子宮後壁や下部に胎盤が付着する場合などは、妊娠週数が進むにつれ超音波診断が困難になることから、妊娠中期までの診断が望まれる。
描出しづらいときは、母体の体位を変えたり、カラードプラを併用するなどの工夫も必要である。分娩までに一度でも確認できればよいのであるから、はっきり描出できるまでは次回の健診で再検査を指示するなどして、根気良く検査し、正しく診断を下すことを心がけるべきである。本当に見つからない時は、経腟超音波での確認も重要である。
辺縁付着は、3本の臍帯動静脈が束になった正常臍帯が胎盤辺縁に付着するところを描出して診断するが、正しく診断するためには、どの方向から描出しても辺縁であることを確認する必要がある。