エマニュエル・トッド他、トッド人類史入門 西洋の没落 | 新時代思考記

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エマニュエル・トッド、片山杜秀、佐藤優「トッド人類史入門  西洋の没落」(2023年)という新書を読み終えた。

エマニュエル・トッド氏は1951年生まれの歴史人口学者、家族人類学者である。

我々には余り聞き慣れない人口学や家族学。その斬新な視点で世界情勢を分析される。

国・地域の家族システムの違いや人口動態に着目する方法論で以て、ソ連崩壊、リーマン・ショック、トランプ勝利、英国EU離脱など、次々と重要な出来事を予言していた。

 

そのトッド氏のインタヴューが中心となる新書である。トッド氏を高く評価する片山杜秀氏と佐藤優氏の対談、或いはトッド氏をも含めた3人による長い対談は見逃せない。

 

私はトッド氏については、世界的にも有名な知識人なのに、結構真っ当なことを考える人だという印象がある。親日家でもある。従って、トッド氏の書籍はこれまで私は何冊か読んでいる。

 

最近、台頭している知識人のユヴァル・ノア・ハラリ氏とトッド氏とは、人格や気質が全然違う気がする。

ハラリ氏の本は一冊も読んだことがないが、あの冷徹な顔写真やちょっとした書籍の紹介記事を見れば、読んだことがなくても、そんなことは明らかだ。

人類の良き未来を考えるようなフリをして、結局は人類を追いやることが目的の偽善者であろう。

人間は顔とか容姿ではない、と世間では言われるが、本当だろうか。外見よりも中身が大事だ、という言葉も気持ちはよく分かるが、そのような意味合いとこれとは、ちょっと違う。

 

人の顔から感じる直観や経験で、人柄や性格まで自然と透けて見えてしまうことは意外に多い。

もう今は、科学の時代ではなく、人間力や直観の時代になる。

トッド氏のこの本のタイトルのように「西洋の没落」とあるが、「非人間の没落」と言ってもいい気がしている。

全207ページ。