クラフトワークの「THE MAN MACHINE(人間解体)」(1978年)というアルバムを聴いている。
テクノ音楽の開拓者・先駆者的な存在なのか。
今のケミカル・ブラザースとかアンダーワールド以降のテクノにも繋がっていく音楽を創っていたと思われる。
1978年とかなり昔で、この優れたテクノロジーは素晴らしいと思う。
以前に脱退していたらしいのだが、クラフトワークの創設者の一人が亡くなったと聞き、それで今、奥の棚からCDを引っ張り出して久し振りに聴いている。
決して楽しい音楽ではない。
聴いていると元気の出る音楽、とは言い難い。
どこかくねくねと曲がっていて、性格も曲がりそうだし、どちらかというと薄暗いような道を誘導されている。
その先に有るのは希望なのか、闇なのか。
一体どちらが待ち構えているのだろうか。
2000年代前半の頃まで、テクノと言えば、私の好きなケミカル・ブラザーズなどの活躍があり、テクノ・ジャンルはかなり盛り上がった。
アンダーワールドもケミカルなどと同じ時期に頑張っていた。
しかしこの両者の音楽も、やはり、だいぶ暗い。
…というか、かなりアブナイ音を含んでいるような気がする。
聴いていて、暗いという気持ちを楽しめるだけではなく、自分の精神や神経が文字通り「ピリピリ」してくるよう。
精神のどこかが異常なのではないか、人間の創る音ではない、とも思える。
でも、紛れもなくこれを創ったのは人間だ。
それくらい凄い音楽だと思う。
並大抵の一般的な感覚では、ピリピリくるなんて、絶対に創ることの出来ない音楽だろう。
このクラフトワークというグループの音楽も、ケミカルやアンダーワールドと同じかそれ以上の、かなりアブナイ雰囲気を確実に持っている。
やはり気になるのは、この先の世である。
テクノという、最先端のデジタル音楽の先には、人類の将来の荒野が広がっているのではないか。
果たして、荒野は明るいのか暗いのか。
このままの調子で歩いていけば、やがて一筋であっても希望の光が射してくるのか、いや、更にもっと暗くて黒い闇の道がまだ続いているのか。
丁度、今の時代は新型コロナウイルス騒動があり、ストレスや不安・心配などで、相当に世の人々は暗い気持ちになっている。
音楽の話のみならず、実生活や仕事においても、一筋でも光が射すのを見たいなぁ、と辛抱強くも希望を抱きながら、薄暗い道を今の調子で前へ歩いていくしかない。
クラフトワーク聴いて、ケミカル・ブラザーズ聴いて、アンダーワールド聴いて、この先に広がる大地が明るいのか暗いのかを予想したい。(残念ながら、最新のテクノバンドを私は知らない。)
私は、だが、だいぶ明るい荒野が既にもう見えている。
多分、幻覚なんかではない。