11月に新潟で行われた

 

馬車、馬耕/馬搬の講習会

についての 記事 の続きです。

 

 

来日する講師たちから

プロの通訳ではないことに

ご了承いただけたとのことで

参加しましたが

 

蓋を開けてみると参加者の多くは

これから馬車・馬耕に挑戦したい方たち。

 

普段は馬に接していない or

短期借り受けたことはあり

今後長期で取り組むことを検討中

 

の方が多かったので、内容も

 

 

座学として

 馬という生き物とは

 馬の知覚について

 馬の飼育上の留意点

 調教上の留意点

 

実習も

ロングレーンの基礎操作

の比重が高かったので

なんとかお役に立てたようでした。

 

 

 

そう

がっつり 座学ビックリマーク があったんです。

 

 

会場は古民家だったのですが

囲炉裏端にこんなスクリーンを立てて。

 

 

 

 

ドイツは座学も開催している乗馬施設があるので

日本の乗馬クラブでも開催されるといいなと

常々思っていますが

 

大学卒業直後から

フリーランスとして仕事をしてきた

わたしの持論として

 

 

人に育ててもらったことがない人は

人を育てることはできない

 

 

先輩たちに育ててもらったから

後輩くんたちにどう接すると育つか

わかる。

 

育てるのが上手い先輩に

育てられた人のほうが圧倒的に

後輩を育てるのが上手でした。

 

 

座学を体系だって教わったことがない人には

たとえその人に知識や経験があっても

教えるための教材や

順序などのプログラムづくりだけでも

大変な時間とエネルギーを要します。

 

なので体系だった資料を持っていて

教えるノウハウも持っている

講師陣の講義を聞いていてつくづく

この部分だけでも DVD販売など

してもらえないかな〜と思いました。

 

 

 

例えば座学講習中に

 

馬は群れで生活する動物なので

1頭だけで飼育することは

馬の性質上自然なことではない

 

 

という説明があっても

 

とはいえ日本では環境などの制限から

1頭しか飼えないという状況もあるのですが

そうせざるを得ない場合

どういった工夫のしようがあるでしょうか?

 

 

といった質問に

経験豊かな講師が応えてくれる。

 

しかも講師が2人いるので

片方が応えているあいだに

もう片方が補足を思いついたり

2人の間でも見解が違うこともあったり

 

講師が1人ではなく2人だと

内容に客観性が生まれて良いな〜と思いました。

 

 

 

座学があったことで

実践中に例えば

 

1頭の馬に使えるハミが2種類あったとして

最初に作用がきついほうのハミを

つけようとしたことについて

 

 

座学でも説明したように

 

 

という説明が最初に入る。

 

馬のトレーニングについての

基礎的な考えかたに再度触れた上で

だからハミの選択に関しても

 

 

重種で力が強い=強いハミが必要

 

というわけではない。

 

水勒で人の意を受けて動く

人との約束事をきちんと作ることが大事

 

 

 

と。

 

ただそのお馬さんは

スタンダードな水勒に不慣れだったのか

逆に緊張してしまったので

理論や理想論にこだわることなく

臨機応変にハミを付け替えていました。

 

 

 

質問は実習中も

随時受け付けてもらえたので

 

例えば

 

購入したばかりの馬、または

自家生産してまだ若い馬を初めて

山での作業に連れ出すときに

どういったことに気をつけたら良いですか?

 

という質問にも

 

 

座学でも説明したように

 

 

という一言が入り

 

 

まずいきなり山に連れていかない

 

最初は丸太などを牽引させず

単純なロングレーンで

地面が平らな場所で

 

単純な STOP & GO ができるか

円運動ができるか

基礎の基礎の確認から始める

 

その後

同じく平らな場所で

 

軽いものを牽引したり

ちょっとしたものを避けたり

起伏の上り下りができるか

 

いろいろなことを確認する

 

山に連れていくときも

できるだけその作業に慣れた馬と

一緒に連れていく

 

 

 

などなど

 

毎回馬という動物の性質や

調教についての考え方に立ち返って

解説されるので

 

 

なぜそうするべきか?

 

 

がすごくわかりやすい。

理論の本当の意味も理解しやすい。

 


 

競技馬術の世界でも

 

 

調教の6段階

 

 

など

理論としては知っていても

騎乗馬の状態と理論が

きちんと結びつかない

 

誰かに説明されて初めて

そーゆーことだったの?!

ってなるケース、多いかと思います。

 

 

 

座学があったことで

質問した人が

理論と実践を結びつけて

本当の意味で体得できる。

 

理論も

それだけを学ぶより記憶に残りやすい。

そんな工夫がされていました。

 

 

 

参加者は皆さん

実践のためにいらしてるので

質問の内容も

多岐にわたり具体的で質が高かったです。

 

 

馬の知覚や性質についても

前の記事 でご紹介した 研究所 での

科学的な調査データに基づいていて

個人の経験則や

そのメソッドでの従来からの常識だけ

ではないんです。

 

経験則がダメ

な訳ではもちろんないです。

 

でも

リサーチデータが加わって説明されると

より信頼性が増しますよね。

 

 

 

個人的に印象的だったのは

 

人間の価値観を馬に当てはめることには

注意深くあるべき

 

という説明の例として

 

 

放牧された馬がすごい勢いで走り回る

という現象を見て

馬が元気だとか喜んでいると

判断するのは短絡的かもしれない

 

なぜなら

 

馬の本来の性質は

ハイテンションで走り回る

ということはしない。

 

走り回って発散する必要があるほどの

ストレスをその瞬間まで

溜め込ませてしまった

と捉えるほうが

適切なケースも多い。

(100%そうとはもちろん断定できない)

 

 

 

と。

わたし自身、アマチュアライダーで

こういった

 

 

人間の価値観の押し付け

 

 

は、やりがち。あせる

考えさせられることが多かったです。

 

 

 

 

 

馬車の講習会は

馬装の説明から始まって

 

 

手綱

中央の金具がついたほうが左

穴つきフラップの側が右

 

なぜなら

手綱をまとめたら

馬体の左側に垂らすこと多いので

金具が馬体を傷つけるリスクを減らせる

 

とか

 

 

グルメット

一方向に捻って捻って捻りきると

チェーンが平らになる面ができる

必ずその平らになった面を

馬体に向けるようにつける

 

なぜなら

チェーンに皮膚が噛んで

傷つける可能性を減らせる

 

 

などなど。

 

 

実習でも毎回「なぜなら」が入るのが

とても印象的でした。

 

 

そして

馬耕/馬搬も馬車も

基本はロングレーンであり馬術なので

スライドの図の例ように

 

 

馬に精神的な緊張がなく動けていること

馬がしっかり背を使って動けること

馬の重心が後躯に乗っていること

 

 

良い状態  と

座学でも実習でも説明されていました。