「元」アップルコンピュータの前刀さん | シリアルアントレプレナー 「3度目の起業」と「初めての子育て」

「元」アップルコンピュータの前刀さん

前刀さんと初めて会ったのは、1992年か1993年だったと思う。前刀さんは当時、ディズニーに勤めていたが、「この人は将来、きっと何かやるだろうな」と思わせるものがあった。

その後、前刀さんはAOLジャパンに転じ、マーケティング担当のヴァイス・プレジデントとして活躍していたが、1999年に、ライブドアを創業したという挨拶状が届いた。いよいよ始まったな・・・という感じだった。

残念ながらライブドアは倒産してしまったが、その直接の原因が重要顧客だった「ワールドコム」の粉飾決算による経営破綻であり、堀江さんがオン・ザ・エッヂから改名した「ライブドア」は、今度は自分自身の「粉飾決算」や「インサイダー取引」等で経営危機に陥ったのは、何とも言えない因縁を感じる。

昨日(7/11)の日経新聞に掲載された前刀さんのアップル退任の記事を受けて、たくさんのメディアやブロガーが、関連する記事を書いていた。彼の社会的影響力の大きさを改めて感じた。

前刀さんは今後、ご自身にとって「2度目の起業」をするという。とても楽しみである。

個人的に親しくさせて頂いていることもあり、そのことは以前から聞いていたが、何故か、前刀さんが「2度目の起業」をするということが現実になると、僕まで「そわそわ」してしまっている(笑)。

それは、どこのメディアも報じなかった、前刀さんが元祖ライブドアの清算業務をしている時の真摯な姿を知っているからのような気がする。

前刀さんの凄いところは、類い稀なマーケティングセンスにあることはもちろんであるが、僕はそれよりも、「精神的な強さ」にあるように思う。

2003年の夏だったと思うが、僕が自分自身のことで悩んでいた時、前刀さんに相談したことがあった。

その時の前刀さんは、ライブドアの代表取締役として、会社の清算業務をしていた。法律的には、清算業務をするための報酬を代表取締役として取っても構わないのだが、彼は1円の報酬も取らず、ほぼ1年間に渡る清算業務をしていた。

僕はその時、前刀さんにこう質問した。

「前刀さんは人に対して、絶対に弱音を吐かないじゃないですか。どうして、そんなに(精神的に)強いんですか?」。

すると、前刀さんは、僕に初めて見せる少々動揺した表情をしながら、「(様々な可能性がある中で)実際に起きたことがベストなんだ(現実を受け入れることが大切)」と答えた。この人は、なんて凄い人なんだろうと思った。

あの時の前刀さんの表情とその言葉は、おそらく一生、忘れないと思う。事実、僕はこの話しをことあるごとに、色々なところで話している。

その前刀さんをゲストに迎えて、7/26(水)19:00から、法政大学のイノベーション・マネジメント研究科(大学院)と共同で、「Turning Point~『起業』というイノベーション~」と題して、オープン講座を開催することになった。

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このブログの読者の方々にも是非、いらして頂ければと思う。きっと、この先の人生において、役に立つ話しが聴けると思う。

前刀さんは「2度目の起業」、僕は「3度目の起業」。お互いに切磋琢磨して「自分らしい人生」を切り開いて行こうと思う。