前回は、1940年(昭和15年)8月22日付『企計G人後第5号 朝鮮人工場労務者内地移住斡旋に関する協定』を全文取り上げたため長くなりましたが、今日はその分短めに。(笑)

ということで、今日はその1940年(昭和15年)8月22日付『企計G人後第5号』の「朝鮮人工場労務者内地移住斡旋に関する協定」の別紙を見ていきたいと思います。
アジア歴史資料センター『大日記甲輯昭和15年/朝鮮工場労務者内地移住幹施に関する件(レファレンスコード:C01001832500)』の8~9ページ目になります。
んじゃ、早速。

別紙
工場労務者の従事すべき事業及作業の種類

朝鮮人工場労務者内地移住斡旋に関する協定事項第二の三の(一)に依る、朝鮮人工場労務者の従事すべき事業及作業の範囲は、左の通とす。

一.事業の種類
(一) 金属工業
(二) 機械器具工業
(三) 化学工業
(四) 電気業
とし、可成軍需工場又は生産力拡充計画に依る工場たること。

二.作業の種類
金属試験工、分析工、製銑工、製鋼工、非鉄金属精錬工、鋳物工、鍜工、熱処理工、溶接工、製罐工、旋盤工、タレツト工、研磨工、フライス工、歯切工、機械組立工、機械検査工、電力電路工、アルミニユーム製造工、軽金属製造工(但しアルミニユームを除く)、電極工
やはりというか何というか、作業種類は金属材料製造業関係が殆どですね。

次。
前回の1940年(昭和15年)8月22日付『企計G人後第5号』「朝鮮人工場労務者内地移住斡旋に関する協定」の第三の一にあった、「厚生省は、毎年5月末日(本年に限り9月25日)迄に、別紙要項を具備したる工場別斡旋申込書を取纏め、朝鮮総督府に通報するものとす。」の別紙要項に当たるもの。
10~11ページ目となります。

別紙
朝鮮人工場労務者斡旋申込書記載要項

一.雇傭主の氏名及住所(法人に在りては其の名称、主たる事務所の所在地及代表者又は代理人名)
二.労務者の就業場の名簿及所在地
三.労務者の就業すべき事業の種類
四.斡旋を受くべき労務者数(単身者家族持別及職種別)
五.斡旋を受くべき労務者の年齢範囲
六.賃金の額(最高、最低、普通)及其の支給方法
七.食事、宿舎、其の他日常生活に要する費用の額及其の負担方法
八.貯金及稼働奨励方法
九.福利施設及補導方法
一〇.就業の日時及期間
一一.労務者の輸送方法
一二.其の他参考事項
単身者と家族持別の労務者数とか、結構細かいですね。
で、これを各事業者が厚生省に提出し、厚生省で取りまとめて総督府へ。
総督府では、これに対する労務者について斡旋計画を作成して厚生省へ送付、と。

んで、最後。
前回の1940年(昭和15年)8月22日付『企計G人後第5号』は、「「別紙」のとおり決定されたので、実施方よろしく」というものだったわけですが、それを受けての陸軍内での通牒って形になるかな?
1~2ページ目。
1940年(昭和15年)9月5日付『陸密第1822号』より。

壹第3664号
朝鮮工場労務者内地移住斡旋に関する件

副官より陸軍航空本部総務部長、陸軍技術本部総務部長、陸軍兵器本部総務部長、陸軍燃料廠長、陸軍運輸部長、陸軍被服本廠長、陸軍糧秣本廠長、陸軍製絨廠長及陸軍衞生材料本廠長ヘ通牒案(陸密号)

首題の件、別冊寫の通協定せられ、陸軍に於ては之を準用することに定められたるに付、別紙斡旋申込書記載要項に準じ調製し、毎年5月20日(本年に限り9月20日)迄に陸軍省整備局長宛送付せられ度依命通牒す。
追て陸軍は、成るべく本協定に準拠すべくも、雇傭期間、従事せしむべき事業及作業の種類等は、適宜変更することを得るに付申添ふ。

陸密第1822号 昭和15年9月5日
「朝鮮人工場労務者内地移住斡旋に関する協定」が定まって、陸軍でもこれを準用することに決まったので、上であげた「朝鮮人工場労務者斡旋申込書記載要項」に準じて要項を調製して、毎年5月20日、昭和15年に限り9月20日までに陸軍整備局長宛てに送れ、と。

厚生省への提出期限より若干前という事は、陸軍の募集も要項を作って、厚生省経由で朝鮮総督府って形で行われてたのかな?

で、陸軍ではなるべく「朝鮮人工場労務者内地移住斡旋に関する協定」に準拠するけど、雇傭期間とか従事事業や作業種類は適宜変更できるので、申し添える、と。


ってことで、ゴールデンウィークにも入った事だし、サクッとお終い。(笑)



「募集」関係史料(一)