若干驚いたように私を見るマヤコを見て、私はため息をつく。
「なによそれ。私達結構長いつきあいだと思っていたんだけど」
「いや、ちょっと驚いちゃって。まさかカナコがステフと腕を組んで現れるなんて」
確かに私はステフの腕に手を絡ませている。
それがそんなに驚くことだろうか。
「とにかく、いらっしゃい二人とも」
そう言って出迎えてくれたマヤコとハグを交わして、私達は家の中に入った。
「よくきたな」
「ティータイムを一緒にと思って。シフォンケーキよ」
奥から出てきたヴィゴに、ステファンが手にした包みを渡すのを見て言った。
「わかった。用意しよう」
心得たとばかりにヴィゴはキッチンに向かう。
「手伝います」
その後を追ってステファンもキッチンに消えると、マヤコと私はソファーに腰を下ろした。
「で、今日はどうしたの?何か話したいことでもあるんでしょ」
「どうしてわかるの」
「だって出不精なカナコが突然来るなんて、何かあったって言ってるようなものじゃない」
当たり前よ、とマヤコは笑った。
やっぱりマヤコにはなんでもお見通しなのだ。
「決めたのよ」
だから、以前マヤコにけしかけられてからずっと考えていたことを、彼女の前で口にすることに戸惑いはなかった。
「ステフのこと、パパに言うわ」
「へぇ。どういう心境の変化?」
「本気、なんだもの」
するとマヤコは一瞬だけ目を見開いて、それからふわりと笑った。
「安心したわ。頑張ってね」
あのパパが私の告白を素直に受け入れてくれる訳がない。
前途多難だわ、とつぶやいた私とは違って、マヤコは嬉しそうに私の手を取った。
「それにしても、急に決心するなんて、ステフと何かあったのかしら」
「ちょっとね。試してみたのよ」
「試す?」
「ステフの気持ちをね。予想以上に良い答えが返ってきたわ」
「彼は嘘は言わないわよね。真面目な人だもの」
「そうね」
彼の話をしていると、自然と口元がゆるむ。
そんな私を見て、マヤコは嬉しそうに微笑んだ。
そこへ、戻ってきたステファンが私たちの前にカップを置きながら言った。
「楽しそうですね、お嬢様。何のお話ですか?」
「貴方の話よ」
「私の?一体何を…」
少し照れたように笑いながら、ステファンは私の隣に腰掛ける。
「貴方と私がこういう関係だということよ」
そう言って、私はステフにキスをした。
後からやってきたヴィゴが、不思議なものでも見るかのように、目を細めていた。
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