第三話~心の休まり~
あの地下室、一件からそのままという訳にもいかなく、ラグトとの不思議な生活が始まった。
もちろん、人形だから食べ物などはいらない。
ただ・・・すこし、人形らしくないのは感情があることぐらい。
「ルラー」
いつも私の名前を呼ぶと、私の腰辺りに抱きついてくる。
・・・そんな彼を、見ながら。
まるで、弟が出来たみたいで嬉しかった。
でも、彼は人形・・・見た目は私が作ったから、人そのもの。
「・・・ねぇ、ラグト? どうして、私のこと気にしてくれたの?」
「気にするって、そんなことないよー・・・僕は作ってくれたあの瞬間から、ルラが―――」
「その話は、何度も聞いたから・・・はぁ、私みたいな奴・・・に」
ニコニコとしているラグトに、何を言っても無駄と・・・感じて、言葉を止める。
「ねぇ、ラグト? 今日、買い物に行こうと思うけど着いてくる?」
「・・・・・・いいの?」
ラグトは、少し戸惑いながら私を見てくる。
確かに、今まで・・・人形とばれたらと思い、ラグトを外に出さないようにしていたのだが、今までのラグトの様子を見ていたら、ばれることはないかな?と思う。
「うん、ラグトはずっと地下にいたし・・・すこしぐらいは、外を見てみたいとは思わないの?」
「みたい!」
即答するラグトに、つい笑みが零れる。
「・・・服、何かあったかな?」
流石に、ちょっと・・・今の服装は薄着すぎて、いまの季節にあっていない。
「地下に、昔作った奴があるはず・・・持ってくるから、待っててね」
「うん!」
返事を聞き、またあの地下に向かう。
「・・・こほっ、ごほっ!。少し、ここ掃除しようかな」
苦笑しながら、服を探す。
丁度いい、服を見つけて立ち上がる。
『・・・・・ぁ』
「・・・・・・!?」
声がした・・・気がする。
周りを見渡すが、誰もいない。
「?・・・気のせいかな」
すぐに、上に上がろうとするが・・・ふと、思い当たる。
『人形にも、心がある。考えてあげなさい』
親の言葉を思い出し、一体一体・・・みて見る。
私の自信作は、ラグトを合わせ・・・四体、いや今は三体だけ。
「・・・そうだよね、貴方達にも心がある。帰ってきたら、こんなとこから出してあげるからね」
一体、一体に言葉をかけてから・・・私は上に上がった。
『・・・あ、あ・・・変わらない方』
私には、聞こえない声が・・・呟いた。
END
第三話=七日目・・・ぐらい