主人公受けが、嫌な人は逃げて―w
前回のあらすじ、稽古をつけてもらうために・・・まずは、斎藤と共に隊士がいなくなるまで待つことに・・・しかし、人影が!?
稽古には、気をつけて【二】
斎藤さんから、稽古をつけてくれると言われ・・・私達は、隊士さんたちが出て行くのを待つ。
一人一人・・・道場から、出て行くのを見て私は・・・ついワクワクしてしまう。
最後の一人が、道場から出て行く。
それを見届けて・・・斎藤さんは立ち上がる。
私もそれにつられて、慌てて立ち上がる。
「・・・始めるか?」
「はい!」
つい笑みが零れてしまう・・・久々なのも、あるのだろうけど相手が斎藤さんというのもあるんだと思う。
まさか、斎藤さんが稽古をつけてくれるなんて・・・信じられないものだ。
「最初は、好きなように打ち込んでこい」
「はい・・・」
木刀を渡され、私は斎藤さんに向き合い・・・声を少し、荒げながら打ち込む。
しかし―――
「あれ? 斎藤君に千鶴ちゃん、何やってるの?」
ふと、人の声が聞こえて驚いた私はそのまま、斎藤さんとは違う地面の方に向かってしまう。
絶対に、地面にぶつかる!・・・と思い目を瞑ったのだが。
「・・・無事か、千鶴?」
「あ、ありがとうござい・・・ます」
間一髪で、斎藤さんが私を支えてくれた。
急いで、体勢を整えて声の方を見る、そこには案の定・・・沖田さんが立っていた。
「邪魔しちゃった? ごめんね」
謝ってはいるのだが、顔は笑顔のままで悪気はない感じに見える。
斎藤さんは、沖田さんに向き直り・・・鋭い視線を向ける。
「・・・総司、何事だ」
「別に、たまたま通りかかっただけだよ。 さっきの千鶴ちゃんの声も気になったし」
「え・・・」
沖田さんの声につい、言葉が零れてしまう。
多分、私の声をいうのは・・・さっきの大声を出してしまったときのだろう。
私は、また恥ずかしいとおもってしまう。
私の様子を、横目で見ながらも斎藤さんは話を続ける。
「わざと以外に、何があるというのだ」
「気になってはいたけど・・・ね それより斎藤君、ずるいなー。 独り占めは良くないよ」
沖田さんは、なぜか私を見ながら斎藤さんに言った。
「・・・稽古をつけていただけだ」
「そっか――じゃあ、僕がつけても問題ないよね?」
「ええ!?」
ついつい、声を出してしまった・・・二人の様子をだまって見ていたのだが、なぜか流れが可笑しくなってきてしまったせいだと、思う。
私の声に、沖田さんがこちらを見てくる。
「なに、嫌なの?」
「ち、違います!・・・その、沖田さんが稽古を、つけてくれるといってくれるなんて、思わなくて」
「嫌だなー、僕だって暇なときぐらいならつけてあげるよ」
今度こそ、唖然としてしまう・・・あの沖田さんが、と。
思っていたことが、顔に出ていたのか、沖田さんが近付いてくる。
「なんか、失礼なこと考えてない?」
「そ、そんなことは・・・」
近付いてくる沖田さんに、恐いと思ってしまい後ずさりしてしまう。
それを気にせず、沖田さんはどんどん近付いてくる。
「総司、やめろ」
斎藤さんは、私を後ろにやり・・・沖田さんに向き合う。
「・・・ふーん、庇うんだ」
「そういうことではない、虐めすぎるなと言っている」
「ま、そういうことにしといてあげるよ・・・それより、千鶴ちゃんに稽古つけてもいいの?」
沖田さんの問いに、斎藤さんは私を一度、見てから・・・。
「あんたに、まかせると・・・後で何を言われるかわからん。」
どう考えても、私のことだと思う・・・確かに、沖田さんと残されて後で何か会った場合は、多分斎藤さんのとこに行くと思う。
「・・・千鶴ちゃんは、どうなの?」
「え・・・」
急に、自分に振られて何を返せばいいかと迷う。
「別に、僕が稽古つけてあげても、問題ないよね?」
「え・・・あ」
「問題ないよね?」
「は、はい!」
何だか、急に声音が低くなってつい、了承をしてしまう。
「ほら、千鶴ちゃんもこう言ってるし」
「無理矢理、言わせたのだろうが・・・」
沖田さんの、笑顔に斎藤さんは小さく溜息をついた。
そして、こちらに向く。
「俺が、つけてやるにも問題はないな?」
「え、はい」
何だが、嫌な予感がする・・・斎藤さんは、私から木刀を取ると沖田さんに渡した。
沖田さんは、一度・・・木刀をみて構える。
それをみて、斎藤さんも構える。
―――――― ――――――
それから、この二人の戦いに繋がる。
【二】 END