苦手な方は、バックプリーズ!!


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素敵な日





蝦夷地のある夜のこと―――



私たちは、二人で・・・外にいた。


「・・・千鶴、寒くは無いか?」


斎藤さん・・一さんが、心配そうにこちらを覗き込んでくる。

私は、笑顔で大丈夫だと伝える。


「無理はすることはない・・・」

「いえ、あと少しですから・・・」


もうすぐ、年が明ける・・・そして、一さんの大切な日になる。

それを二人で、向かえる為に外にいた。

なんで、外・・・と言われると困るのだが、なんとなく外で新しい年を迎えたかったのだ。


「・・・今年も、いろいろとあったな」


一さんは、今年一年を振り返っているのか・・・目を伏せた。


「そうですね・・・でも、今年もとてもいい年でした」

「――・・・ああ、そうだな。今年も千鶴と共にいれた」


さらりと、一さんは恥かしい事を言う。

それに、・・・耳に熱がいくことを、自分でもよくわかる。


「耳が赤いようだが・・・」

「だ、大丈夫です!ちょっと、寒くて・・・その」


私の慌て様に、一さんが・・・微笑んだ。


「うう・・・笑うなんて、酷いです」

「すまない、だが・・・つい千鶴を見ていると、可愛いと感じてしまう。」


また、恥ずかしいことをいうものだから・・・あたふたとしていると、一さんは私の体をそっと自分に寄せた。


「は、一さん!?」

「・・・・・・・」


一さんは、何も言わない・・・けど、とても温かい。


「・・・あの、一さん。その、来年も――」

「今年もずっと傍に・・・いてくれ、千鶴」

「わ・・・」


そっと、一さんは私を・・・胸に抱いた。

心臓の音が、すぐそこから聞こえてくる。


「・・・あ、あの一さん。一度だけ、離れて貰えますか?――お願いします」


一さんは、離したくなさそうな顔をしながら・・・私を離してくれる。

でも、私はそれを狙って・・・もう一度、自分から一さんに抱きつく。


「な!――」

「お誕生日、おめでとうございます・・・一さん。私こそ・・・今年も、一さんと一緒にいさせてください」


抱きついているから、表情はよくわからないが・・・もう一度、一さんは抱く力を強めた。


「・・・ありがとう」


その一言を、聞けるだけでも・・・本当に嬉しい。

つい、笑みを深めてしまう。


しかしいつまでも、この状態も恥ずかしくなってきた。

私は、そろそろ離れて貰おうと思い・・・声をかけようと思ったのだが、急に一さんは私を離す。

そして、私の目の前に・・・一さんの顔がある。


息がかかる。


「・・・・・・・」


つい、びっくりしてしまって停止してしまうが・・・私はゆっくり目を閉じる。


さほど、たたないうちに・・・唇に感触がする。

私は、抵抗もせず・・・それを受け入れる。


本当に幸せだと、自分でも思ってしまう。



――――  ――――



「くしゅ・・・」

「・・・そろそろ、戻ろう。」


一さんは、私の手を引いて家に戻ろうとする。

だが、一さんは歩を止めて空を眺める。


「・・・降ってきたな」


ひらり・・・ひらりと、雪が舞い落ちる。


「そうですね、ふふ」


たかが、それだけなのに・・・私たちは笑みをこぼしてしまう。

その中、一さんはふと思い付いたように、言葉をいう。


「今年は・・・二人の子を作ろう」

「え!?」


それに、私はまた・・・動揺してしまう。

けど、私は小さく・・・本当に小さく頷く。


「ありがとう」


一さんは、嬉しそうに私の額にキスを落とした。




END