一般ビジネスとスポーツビジネスの違い
一般ビジネスとスポーツビジネスは、どちらも付加価値をつけることをビジネスの基盤とする点で共通する。しかし、両者は商品の性質上、付加価値をつけるための企業努力において違いが生じる。
まず、一般ビジネスについて考察してみる。
農業においては「農作物にいかに付加価値をつけるか」が農家の努力すべきところである。そのため品種改良を行い「味(うまさ)」という付加価値の創造を行っている。
製造業においては「製品にいかに付加価値をつけるか」が企業努力のしどころである。そこで研究開発を行い「使いやすい製品、安くてクオリティの高い製品」という付加価値の創造を行っている。
サービス業においては「サービスにいかに付加価値をつけるか」が企業努力のしどころである。「顧客満足度をあげる」ためきめの細かいサービスを行っている。
これら一般ビジネスは、すべて商品に付加価値を付与することで利益を得るビジネスであるといえる。
一方、スポーツビジネスの場合はどうだろうか?スポーツビジネスの商品はやはり「ゲーム」ということになる。
では、一般ビジネスと同様に商品であるゲームに付加価値を付与することがスポーツビジネスの目的なのであろうか?確かに、プロスポーツにおいては選手のレベルをあげゲーム自体に付加価値をつけることで、観客が増やすというビジネス手法は考えられる。
しかし、スポーツビジネスにおいては一般ビジネスと異なる付加価値の付与が求められるている点を忘れてはならない。スポーツビジネスは「ゲームの結果が事前にわからない」ため商品の質が不安定なのである。
そこで、この不安定な商品にいかに価値を付加するかがスポーツビジネスにおいてもっとも企業努力すべき点であるといえる。その手法をいくつか挙げてみる。
プロスポーツにおいては、サポーターを得るためブランド戦略をとりチームに対して付加価値を付与している。その結果としてチケット収入の安定化、グッズ収入の獲得をしている。
また、結果がわからないという商品の性質上「賭け」が成立するのもスポーツビジネスの特徴である。競馬や競艇、totoなどはその典型である。これはゲームという商品を間接的に利用し「まったく別の価値を創造」していると言うことができる。
最後に高校野球。高校野球は技術的にはアマスポーツの底辺に位置する。しかし、「青春」や「ひたむきさ」といったイメージをつけることで感動という付加価値を付与することによって成立しているビジネスモデルなのである。
このように、スポーツビジネスにおいては商品以外の所で価値を付与する点で一般ビジネスとは異なっているといえる。
文章が整理されてなくてすまん。
近いうちに芹田の記事に対してコメントつけるわ。
スポーツビジネスと一般ビジネスの違い。
スポーツビジネスと一般ビジネスの違いについて考えてみる。スポーツビジネスにおける商品特性は三つ挙げられる。一つ目は商品が「ゲーム」であること。二つ目は、権利ビジネスであること。三つ目は、装置産業であること。
スポーツビジネスは言うまでもなくエンターテイメント産業だ。人に非日常の娯楽を提供し、その対価としてお金をもらう。現在、人々は多様な娯楽の中から、限られた可処分所得と余暇時間を使う。そこでは、野球を見るか、映画を見るか、それともゲームをやるかという、ステーキを食べに行くのかという選択が行われる。他のエンターテイメントビジネスとスポーツビジネスの最も大きな違いは、「ゲーム」が商品であることだ。芸能人であれば歌を歌うことが商品になり、画家であれば描いた絵が商品になる。しかし、スポーツ興行においては、巨人がいくら最強軍団であっても試合をする対戦相手が存在しなければ、スポーツチームとは呼べない。そもそも比較対象がなければ、最強かどうかはわからない。清原選手がいくらメディアに露出しようとも試合に出なければ、ただのタレントでしかない。すなわち、スポーツ興行として捉えた時の商品価値は、チームや選手単独では成立せず、対戦相手が存在し、試合やレースを行って初めて商品価値が生まれるという特性を持つ。
しかも、その品質は不安定なのである。選手の怪我や気候、勝敗などによって、同じ試合だとしても品質は変わってくる。それが最高品質なのかは、ふたを開けてみるまでわからない。しかし、そこで、あきらめてはいけない。不安定な品質でも、まずまずの品質を保つ努力は怠ってはならない。スタジアムの雰囲気作りや球団、選手のファンサービスなどによるファンとの関係の構築がそれに当たる。たとえ応援しているチームが負けたとしても、まずまずの満足感を提供できなければ、次回の来客にはつなげられない。
世の中の企業はより便利な商品、サービスを作り、お客さんに喜んでもらうことでその対価を得ている。それは単独で可能であり、極論すれば競合相手を必要としていない。しかし、スポーツビジネスにおいては必ずゲームを行う他者が必要となってくる。
スポーツ興行においては、対戦相手や選手はフィールドの上では互いに凌ぎを削って戦うが、その反面、試合という商品を生み出すためには互いの協調が必要になる。常にどちらかが一方的に勝つような予定調和試合が続けば、ファンはそっぽを向いてしまうだろうし、対戦相手がなくなってしまったら商品は生み出せなくなってしまう。競争の側面がある一方で協調の側面も必要なのである。つまり、品質向上においては「高いレベルでの拮抗状態」をつくることが至上命題となる。巨人の商品価値が最も向上するためには、競合する他チームが高いレベルで均衡しており、その中で勝利することである。従って商品価値は巨人に帰属するのではなくて、「巨人のプレーするゲーム」に帰属するのである。観客はゲームに対価(入場料)を払うのであって、巨人を見るために対価を払うのではない。
次に、スポーツビジネスは権利ビジネスという側面を持っている。ゲームから派生した「二次的な商品」がそれにあたる。ファンの増大はメディアを引きつけ、さらに企業を引きつける。メディアや企業はそこに広告媒体としての価値を見出すのである。たまにスポンサーシップや広告ありきでスポーツを語る人がいるが、まずそのスポーツの価値を高めるのが先決なのは言うまでもない。
ゲームから生じた放映権料や選手やチームの肖像権などの二次的な派生商品を管理、運営できるかがプロスポーツにおいて重要になる。メディアが主体となって生み出したプロ野球の場合は、各チームによってそうした権利を管理、運営している。メディアからもたらされる収益はスポーツビジネスの上で大きな役割を果たし、これが度々、批判の対象となる巨人の一極化を生み出している。その一極集中も風前の灯になってきた感はあるが。
また、プロ野球は過去の試合の映像を管理、運営する組織がなかったため、過去の映像が存在しない。「江夏の二十一球」などの映像は商品価値として大きな価値を持ちそうな物だが、残念ながら映像として残っていない。選手の肖像権の管理、運営については議論があるが、それについては本論文の趣旨から逸れるので言及しない。
一方、Jリーグは地域放送以外はJリーグが一括管理し、収益を配分する手法をとっている。この仕組みはリーグの中で共存共栄をはかるために用いられている。各チームは入場料とスポンサーシップ、地域放送の放映権料、グッズなどのライセンスビジネスで競い合っている。さらに過去のJリーグの公式試合の映像や静止画、データなどは全て保存され、二次使用にもライセンス料が発生する仕組みとなっている。今後、多チャンネル放送やブロードバンド放送が進んでいく中で、こうした過去のデータは資産となってJリーグに収益をもたらすだろう。
最後に装置産業の側面について述べる。装置産業とは製鉄業や鉄道業のように初期段階において、多額の投資をする産業のことを指す。製鉄業であれば、鉄を精製するための高炉であり、鉄道業であれば、路線や電車車両あたる。これらは初期段階では収益が確定せず、多額の赤字からスタートする。
プロスポーツビジネスもそれと同じ特徴を持つ。「ゲーム」を生産する場は競技場や球場といった施設である。これがなければ、ゲームが成り立たないのは自明の理だ。また、入場料を払いゲームを見に来るファンにとっても、施設は必要不可欠である。施設の建設には多額の資金を要する。2002年のW杯のために新設されたスタジアムの全ては地方自治体が支援を行っている。これらのスタジアムはJリーグのチームに転用されている。また、アメリカの四大プロスポーツにおいても、施設には自治体の支援がなされている。自治体の支援とは、市民の税金が投入されていることを指す。このことから、スポーツビジネスを行ううえで自治体との協力関係を築かなくてはいけない。企業は収益を上げ、法人税を払うことで地域に貢献している。地域密着を掲げるJリーグで黒字を計上し法人税を払っているチームはそれほど多くない。それでも、地域密着を叫べるのは、公共性を保持しているからだろう。公共性の議論は今回のお題に逸れるので、記述しない。
以上の話をまとめると、スポーツビジネスは単独で行うことはできず、「ゲーム」の品質を高め、そこから派生する権利を上手に運用することで、初めてビジネスと言えるものになるということがわかる。
長文にお付き合いありがとうございました。
所信表明。
スポーツビジネスについて考え、情報を交換することで、より深いスポーツへの理解を目指します。
方法としては一週間に一度、一つのお題について考えていきます!!まずは、「一般ビジネスとスポーツビジネスの違い」について考えてみます。10月10日をめどに記事のアップを予定しています。
- 小林 至, 別冊宝島編集部
- プロ野球ビジネスのしくみ
- 広瀬 一郎
- スポーツ・マネジメント入門
- 原田 宗彦
- スポーツ産業論入門