先頃、将棋の14歳の天才棋士、藤井聡太四段の連勝記録が話題となった。結局、従来の28連勝を1つ伸ばして29連勝を達成したのだが、きょうはプロスポーツについてこのような連勝記録を考えてみたいと思う。

 

まず、大相撲の連勝記録だが、名横綱といわれる双葉山の69連勝がトップで、2位は白鵬の63連勝である。これについて、連勝の最初の日から最後の日までの経過日数を両端で計算すると、双葉山は1,095日で、白鵬は296日になる。

 

ご参考のために、下記に両横綱の連勝期間を示す。()内の日にちは実日である。

 

■ 大相撲における双葉山と白鵬の連勝期間

 

◆ 双葉山
1936(昭和11)年1月7日目(16日)~1939(昭和14)年1月3日目(14日)

 

◆ 白鵬
2010(平成22)年1月14日目(23日)~2010(平成22)年11月初日(14日)

 

どうしてこうなるかというと、双葉山の時代は年2場所で1場所は最初は11日制で、途中から13日制に切り替わったのに対して、白鵬の時代は年6場所で1場所15日制だからである。

 

従って、白鵬やそれ以外の力士が仮に今後70連勝したからといって、双葉山の記録を抜いたとは単純には言えないものがある。なぜなら、連勝期間に3倍程度の差があるからである。

 

しかし、双葉山の凄さはこれだけにとどまらない。5歳の時に、友達の吹き矢が右目を直撃し、右目が良く見えない失明状態で角界に入り、横綱にまで上り詰めただけでなく、69連勝を始め偉大な記録を数多く残したからである。

 

立ち合いで勝負の過半が決まってしまう相撲で、片目しか見えなかったら、相手の動きが把握できず、立ち遅れたり、作戦相撲にはまってしまったりしても不思議はないが、そんな状態でも横綱になり、しかも、後の先(ごのせん)という独自の立ち合い術を確立したことは凄いというしかない。

 

つい、私は次のようなことを考えてしまう。もし、双葉山が両目が普通に見えたら、軽く百連勝ぐらいはしたのではないだろうかとか、白鵬がもし片目が良く見えなかったとしたら果たして横綱になれただろうかなどと。

 

■ プロボクシングの連勝記録

 

◆ 世界記録

 

1900年代前半の180連勝とか、1990年頃だが弱すぎる相手ばかりの101連勝とか、価値を評価しにくい記録が残っている中で、1980年から93年に掛けて88連勝したメキシコのフリオ・セサール・チャベス選手の評価は定まっている。世界タイトルをスーパーフェザー級、ライト級、スーパーライト級と3階級制覇し、合計で28度も防衛に成功しているからである。因みに、通算成績は116戦 108勝 87KO 6敗 2分だった。

 

プロ生活で1度も負けなかったという意味では、1947年から1955年まで49戦49勝(43KO)無敗の記録を残して世界ヘビー級王者のまま引退した、イタリア系アメリカ人で白人のロッキー・マルシアノを私は高く評価している。

 

◆ 日本記録

 

1933年から37年にピストン堀口がつくった5引き分けを挟んだ47連勝である。

 

■ 日本のプロ野球の連勝記録

 

◆ チーム

1954年の南海ホークス(現在のソフトバンク)と、1960年の毎日大映オリオンズ(現在のロッテ)の18連勝である。

 

◆ ピッチャー

2012年から2013年に掛けて楽天の田中将大投手が記録した28連勝である。

 

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勝負事には勝ち負けがつきものである。勝ってナンボという側面もあるが、負けて学ぶということもある。人生論で禍福均等の法則を説く人もいる。勝ち続けることは難しいので、長い目で見て、人生の最後に「やりきった!」といえるような人生を送りたいものだと私は考えている。