1月21日のニュースでは、「革新機構が投資失敗」と題された日経新聞の小さな記事が最も私の興味を引いた。


それによると、官民ファンドの産業革新機構はアルツハイマーの根治薬の開発を目指していた京都大学発の創薬ベンチャーであるファルマエイトという会社に2011年11月に5.5億円を投資したが、2013年12月25日にこの会社の清算が決定したため、投資したお金は全く無駄になったという。


■ 産業革新機構の該当ページ

http://www.incj.co.jp/investment/deal_024.html#info24_1


問題はその報告を記者会見するでもなく、マスコミにメールするでもなく、ホームページの更新だけで済まそうとしたことである。そもそも産業革新機構は業績が不振で運営がうまくいっていない会社などに支援に入るので、昨年の楽天の田中将大投手のように全勝することは求められていないはずである。


しかし、一方で産業革新機構は国民の税金を使って投資をしているのだから、結果が良かろうが悪かろうが、全て国民に明示すべきなのである。結果が良かった時だけ記者会見をして成果を誇り、結果が悪かったらホームページをひっそりと更新して済まそうとするというのはいただけない。それではまるで小学生が学校でテストの点数が良かった時だけ親に見せて、悪かった時は隠そうとするようなものではないだろうか。


もし結果が悪かった場合にはプロセスのどこに問題があったのかを率直に反省し、2度と同じ失敗を繰り返さないようにすればよいのであり、日々の活動で油断や慢心を戒めるためにも、過去の失敗は隠すべきではない。もしかすると産業革新機構がそのような閉鎖的な姿勢をとるのは評価方法が関係している可能性があるが、いっそのこと投資実績を全てオープンにして要員の報酬もファンドマネージャーのように投資成績に連動させる形にしてもよいのではないだろうか。


ところで、いよいよ1月23日に東京都知事選挙が告示され、投票日まで選挙戦が展開されることになる。都政にもいろいろな課題があるが、勿論エネルギー問題だけではない。あまり話題にはなっていないが、「無駄な第3セクター」の問題もあるという。東京都は日本最大の「無駄な第3セクター」を所有し続けていて、元幹部職員が天下るなど利権の温床になっているというのである。


「老いた駿馬は駑馬(どば)に劣る」という言葉がある。今回の都知事選に若い頃駿馬と言われたような人が出ているかどうかは存じ上げないが、少なくとも駑馬を選んではダメだろう。体力的にも資質的にも幅広い分野で活躍できる人が望ましいと私は思う。