私は1月19日の夜、「Mr.サンデー」を見ていて、manavee(マナビー)という大学受験生向けの無料動画授業の視聴サイトがあることを知った。今日はこれについて考えてみたいと思う。


manaveeは科目は国語、数学、物理、化学、英語など19科目で、講師は北海道大学から九州大学まで全国30大学の300人近い大学生や社会人であり、授業動画は1本15分くらいのものが、2014年1月時点で6,000本あるという。視聴者は全国の高校生など約5万人で、月間ページビューは60万にものぼるそうだ。利用料はすべて無料である。


受験生に評判がよいというこのシステムを作ったのは一体誰なのかが気になるが、現在、東京大学3年生の花房孟胤(はなふさ・たけつぐ)さんである。彼は神戸市の母子家庭の出身で、名だたる中高一貫校を優等な成績で卒業後、ストレートの夢はかなわなかったが、予備校の特待生として無料で授業を受けていた。


その後念願通り東大に入学して2年ほど経った頃、「アメリカにはKhan Academyという無料の教育サイトがあるのに、どうして日本にはないのか」と疑問を感じ、「教育は機会均等じゃないとダメだろう」と考えて、manaveeの創設を思い立ったのだそうだ。そこには、ありきたりの就職への挑戦という意味も込められていたようだ。


始めは自分で授業をして録画してみたが、内容に満足できず、東大の友人たちに講師を頼んだりしていたが、そのうち他大学の学生を勧誘してみたり、社会人の参加希望者が出たりして、講師の輪が全国に広がって行ったそうだ。Webサイトの製作やシステムづくりは花房さんがほぼ一人で行ったという。


しかし、これほど普及した今は、講師は無償ボランティアだとはいうものの、システムを運用するのに、サーバ費用やカメラ代、ビラのコピー代などで月数十万円の出費があり、花房さん自身のアルバイト収入と寄付でまかなっているが、経営は決して楽ではないという。


昔1980年前後に、文化放送で旺文社の大学受験ラジオ講座というのがあったが、あれの現代のネット版ということになるのだろうか。昔の人はただほど高い物はないと警鐘を鳴らしたが、なるほど今ではSNSでもゲームでも参加者を大勢集めた後で、広告を出したり、アイテムを買わせたりというビジネスが普通になっている。


しかし、manaveeの場合にはその心配はなさそうである。なぜなら、代表の花房さんが、サービスは完全無料でサイトに広告は絶対に貼らないと固く心に決めているからである。その意気やよしである。