12月25日に日経新聞でおもしろいコラムを読んだ。「『高給取り』をいじめるな」というタイトルがついていた。今日はこれについて考えてみたいと思う。


このコラムの要点は次の通りである。


(1).日本ではサラリーマンで年収が1,000万円を超える「高給取り」は、給与取得者の4%程度であり、この4%の人たちが、給与所得税総額の半分近くを支払っている。


(2).一方、年収が300万円以下の人たちは、給与取得者の4割以上を占めるが、彼らの負担割合は6%に満たない。


(3).所得税の累進課税には富の再配分機能があるために、異論を唱える人は少ないが、諸外国の累進課税は3~7段階であるのに対して、わが国は6段階である。


(4).わが国では年収1,000万円~1,500万円の給与所得者は給与総額の9%の所得税を納めているが、これは年収が300万円以下の人たちの7倍である。


(5).因みに、わが国では年収が1,000万円層の所得課税額は500万円層の6倍近くもあり、アメリカが3倍でドイツが4倍であることを考えると、重税感が際立っている。


(6).現在、わが国では児童手当に所得制限が設けられており、夫婦と児童1人の世帯の場合は年収が917万8,000円以上、児童2人の場合は年収が960万円以上あると児童手当は支給されない。同様に高校授業料の無償化についても2014年4月から所得制限が課され、年収が910万円以上の世帯は対象外となる。更にこの層の給与所得控除も縮減されることが決まっており、 具体的には2016年からは年収1,200万円超の人の控除額は一律230万円となり、2017年からは年収1,000万円超の人の控除額は一律220万円となる。


(7).わが国では課税所得が1,800万円を超えると、所得税率は同じであるため、年収が3,000万円のサラリーマンも10億円の芸能人やスポーツ選手も一緒である。


つまり、公平な税負担を旨とする累進課税制度は、わが国の場合には世界標準からは外れている部分があり、特に年収が1,000万円クラスのサラリーマンの負担は重過ぎると思われるので、広い視点で見直した方がよいのではないかというのである。きっと、「高給取り」を勢いでいじめずに、正しくいじめるべきであるというのであろう。