楽天のマー君こと田中将大投手のポスティング・システムによるアメリカ大リーグへの移籍話が宙に浮いている。私は楽天は20億円の移籍金で手を打って、田中の移籍を容認すべきだと思う。


基本的に入札は、オークションなのだから、最低入札額を決めて始めることはあっても、入札の上限額を決めて始めることはありえない。従って、そういうルールをアメリカ側から押し付けられるということは、日本の野球が大リーグからなめられている何よりの証拠である。


しかし、だからといって、もし楽天が今シーズンオフの田中のポスティング移籍を容認しなかった場合には、次のような問題が発生し得ると思う。


(1).今シーズンで投球術をつかみ、完成したように見える田中のピッチングが来シーズン、大リーグの猛者たちに通用するかどうかを見届けることができなくなる。


(2).2014年のシーズンで田中がモチベーションを保つのが難しくなり、10勝もできない可能性がある。気が抜けたプレーをして怪我をしたり、味方がエラーをした時にあからさまに不機嫌な態度を取ったりして、野手との信頼関係が崩れ、チームの和が乱れることも考えられる。


(3).楽天は優勝後の楽天市場の「楽天優勝セール」で、一部の店舗が「77%オフ」などと訴えながら、実際は通常販売価格を引き上げた上で、大幅に割り引いたように見せかけるという、不当な価格表示をしていたことが明らかとなって、消費者の信頼を失ったが、ここでまた前途洋々たる若者の飛翔を妨害したとなれば、企業イメージの更なる悪化は避けられなくなる。それは、楽天の世界進出にとってもマイナスとなるだろう。


田中の入札額について、田中の評価を仮に松坂以上ダルビッシュ以下とした場合、確かに20億円は安すぎる。しかし、それでは適正価格はいくらなのかと問い詰められた時、明確な根拠を持って回答することは難しい。そこで私は考えたのだが、ポスティング・システムは将来的には次のようにしたらどうだろうか。


(1).選手が球団との交渉で、ポスティング移籍の意思を表明し、球団は承認するかしないかを決定する。もし、承認する場合には、球団は最低入札希望額を選手に明示し、選手との話し合いで金額を確定させる。


(2).わが国の球団が日本野球機構を通じてアメリカ大リーグポスティング入札を募集する。


(3).大リーグ側に日本の球団が明示した最低入札希望額以上の金額を提示した球団が、もし1つもなかった場合には入札は不成立となり、もし1つだけあった場合には、選手がその球団と話し合って条件等に満足すれば契約が成立し、もし複数あった場合には、入札額の多寡にこだわらずに選手はどの球団とも同時に幾つとでも交渉でき、条件等に満足できる球団があればその中から1つを選んで契約すればよい。その場合、どの球団にも満足できなければ入札は不成立となる。


上記のようなシステムにすれば、今年の楽天のように20億円では安過ぎるということで不満をならすこともなければ、選手は自分に興味を示してくれる球団の中から気に入った球団を選ぶことができるので、みんながハッピーになるのではないだろうか。