2020年のオリンピック中核競技からレスリングが除外されたり、グアムで通り魔事件があったり、ロシアで隕石が落下して千人以上もの負傷者が出たりと最近は心が休まらない殺伐としたニュースが続いているので、今日はほっとする話題をお知らせしたいと思う。


2月17日の「Mr.サンデー」で見たのだが、去年の12月15日に大阪の淀屋橋駅のフォームで高齢の男性が突然倒れ、たまたま通りがかった2人の若い女性がAEDを使いこなして、1人は心臓マッサージを、もう1人は人口呼吸を行い、救急隊員が到着するまでの12分間に男性を蘇生させ、命を救ったという話が報道されていた。


もう少し詳しく説明すると、心臓マッサージをした女性は幸いなことに2年目の看護師でAEDの使用方法を学び、蘇生用人形を使って人工呼吸や心臓マッサージの実技演習をした経験があった。彼女が覗き込むと、駅員がおぼつかない手つきで仰向けになった男性に弱々しく心臓マッサージをしている姿が目に入った。心臓マッサージの注意点は相手の胸が5センチ以上沈むくらい強く押さなければダメだと先生から教えられたことを覚えていた彼女は、これでは効果は薄いと判断し、駅員を突き飛ばすような勢いで場所を変わり、心臓マッサージを始めたというのである。


その後何分か経過して女性が疲れ切ってしまった頃、AEDが「心臓マッサージと人工呼吸を同時に行ってください」という指示を発した時、どこからともなく第2の若い女性が現れて、男性が口から胃液を吹き出していたにもかかわらず何の迷いもなく人工呼吸を始め、AEDで2度目の電気ショックをした後、男性の意識が戻ってきたという。


その間男性の周りには人だかりができ、脈拍を測るためにこの時計を使ってくださいと言って、クリスマスプレゼント用の包みをほどいて時計を差し出す男性や、このタオルを使って下さいと言ってタオルを差し出す女性がいたりして、みんなで力を合わせて何とかしてこの男性を助けたいという空気が満ち満ちていたというのである。


そして第1の女性は1週間後にその男性の病室を訪れ、彼が元気になったことに安心すると同時に、「私は自分のために見舞いに来た悪い女です。私の力が人の役に立つとわかれば自信がつくと思ったんです。よくなってくれてありがとうございました」と語ったという。


因みに、第2の女性については、忽然と姿を消してしまったため、駅の張り紙やSNSなどで人探しが行われたが、知人から駅に電話があり、「当然のことをしたまでなので名乗り出ることはありません」と伝えてきたということである。


上記の話は、市井にはまだ共助の精神が息づいているということを意味していると考えてよいだろう。それにしても、このような話はなぜか東国より西国の方に多いと感じるのは私の気のせいだろうか。