東日本フェリー(本社・函館市)が函館-青森、函館-大間、室蘭-青森の3航路のフェリー運航事業から11月までに撤退する方針を固めたことが4日、分かった。利用客の伸び悩みに加え、燃料高騰の影響で事業継続が困難になったため。昨年9月に、函館-青森間に就航した最新型の高速船は10月にも運航休止し、売却を検討する。すでに函館市などの地元自治体に説明を始めており、週明けにも正式発表する。
高速船ではない函館-青森の従来船については、グループ企業の道南自動車フェリー(同市)に2隻を引き継ぎ、運航を継続する。函館-大間、室蘭-青森の2航路については地元自治体の支援で赤字解消のめどが立てば、同フェリーが一部を引き継ぐことを検討している。
東日本フェリーは、03年に会社更生法の適用を申請し経営破たん。広島県呉市の海運会社「リベラ」が吸収合併し、道内運航会社として06年に事業を再開した。青函航路に「なっちゃんレラ」など1隻90億円する高速船2隻を相次いで導入したものの、投資効果以上の集客は得られず、燃料高騰の影響も重なって、今年度3航路の赤字は約60億円に膨らむ見通しとなった。同社は今後、金沢-釜山(韓国)の定期運航と、商船三井フェリーが運航する大洗航路などへのフェリー貸し渡し事業に縮小する。
函館市の西尾正範市長は「観光面で期待を寄せていただけに非常に残念。苦渋の決断だろうが、既存フェリーの安定運航など、本州との物流に影響が出ないよう願いたい」とコメント。また、現在、フェリー航路が青森間しかない室蘭市も、「これまでフェリー航路の維持存続のために減免などで支援をしてきただけに、重大な問題と受け止めている。詳細を把握したうえで対応を検討していきたい」との寺島孝征副市長によるコメントを発表した。【昆野淳、新庄順一】
毎日新聞
経営苦しいのかなぁ