非鉄金属系列4社、ごみ焼却灰で購入カルテル
 自治体のごみ処理施設から排出される焼却灰を製錬し、金属資源を再生利用する事業をめぐり、非鉄金属大手の系列会社4社が、焼却灰の仕入れ価格などを互いに拘束する購入カルテルを結んだ疑いが強まり、公正取引委員会は6日、独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いで立ち入り検査した。


 この事業は、資源を有効利用するリサイクルシステムとして全国の自治体で導入が進んでおり、4社は、自治体に支払う仕入れ原価を抑え、利益を上げようとしたとみられる。

 立ち入り検査を受けたのは、日鉱金属系列の「日鉱環境」(茨城県日立市)と「日鉱商事」(東京都中央区)、DOWAホールディングス系列の「エコシステムジャパン」(千代田区)、三菱マテリアル系列の「マテリアルエコリファイン」(港区)。

 関係者によると、4社は入札や見積もり合わせなどによって、各自治体から焼却灰を溶融処理した原料を購入するにあたり、事前に予定者を決めるなどして購入金額を抑えた疑いが持たれている。同事業の市場規模は年間数億円に上り、4社で約8割のシェア(市場占有率)を占めるという。

 購入カルテルは、価格やシェアなどを取り決めるカルテルと同様に独禁法で禁止されている。過去の摘発は、肉豚の仕入れ価格についてカルテルを結んでいた四国の食肉加工業者らが公取委から排除勧告されるなど2例にとどまっている。

 焼却灰には、金や銀、銅、白金などが含まれ、各社は鉱山や製錬所を運営する親会社のノウハウを継承する形で、これらの有価金属を分離回収し、販売するビジネスを展開している。

 このリサイクル技術の開発は1990年代に本格化。最終処分場の確保に苦慮していた自治体は、焼却灰が資源として再利用できるうえ、売却益も得られることから、新たなリサイクルシステムに対応した溶融炉を建設、技術力のある各社を選定し、焼却灰を売却している。

 一方、業界関係者からは、「分離回収できる金属の量は十分とは言えず、採算性は高くないビジネス」との指摘もあり、カルテルが結ばれた背景にはこうした事情もあるとみられる。

 4社は公取委の立ち入り検査を受けた事実を認め、日鉱商事総務部は「(カルテルは)全く身に覚えがないが、嫌疑を払しょくするためにも検査に全面的に協力する」としている。

(2007年11月6日14時36分 読売新聞)

YOMIURIから
 検査きちんとしてもらわないとだめでしょう。