母の机兼書棚、無事、自室に移動しました。

もともと自室は母の部屋だったので、

本来ある場所に戻ったとも言えます。

掃除をしたり、これまで雑多に置いていたCDや小物を

入れたりしているうち、この家具がかなり質が良いものだと

感じてきました。全く手入れしていないのにどこにも傷み

もゆがみもありません。木目もきれいに出ています。

 

この家具、父の放蕩で一家離散し、母と私が小さなアパートで

二人暮らしを始めたときに母が購入したものです。

 

当時私は小学生で、寮で生活していました。

週末やお休みの時だけ家で過ごす生活でしたが、

ある帰宅日の金曜に突然母が迎えに来て知らない街に連れていかれ、

一軒のアパートの前で、「今日からここが私たちの家」

と言われたのです。

 

私は「どうして」とか「パパはどこ」とか

一言も何も聞けませんでした。

そうして二人の生活が始まりました。

 

たった二間のアパートにしばらくして運び込まれたのが

この机兼書棚。

 

頼る相手もいない、先も見えない、経済的にも全く余裕がない中で、

どうして母はそんな大きな買い物をしたのでしょう???

母は生活のため昼夜仕事をかけもち、朝私が目覚めると

すでにいなくて、夜は私が寝てから帰ってくる。

それでもぎりぎりの生活でした。

 

そして当時の私。

もともと学校の友達は寮でしか会えない遠距離の友人だし、

新しい土地で知り合いも一人もいないので、家から一歩も出ず、

母がいない時間私は朝から晩までその机で

本を読んだり絵を書いたりずっと一人きりでした。

完全な引きこもり体質だった私は寂しいとも思わず

ずっと一人でこのままいたいな、などと思っていました。

病んでる滝汗

 

今、その机を目の前に、改めてそのころの母の心境を

想像しようとするのですが、全くわからない。

もう聞くこともできない。聞けたとしてもきっと話したく

ないかな?