相変わらず猛暑が続いていた…ある日
僕は低学年から野球チームに所属している。その日も練習で朝から夕方まで汗を流していた。
その帰り道…
チームメイトと自販機に立寄り乾いた喉を潤していた時だった…。
何処からか、小さく…リーンリーンっとどこか涼し気な、またどこか切なくなるようと音が聴こえてきた。
気にせずジュースの500缶を一気に飲み干した。
だんだんリーンリーンリーンと音が大きくなり…友人達に聞いた。
何の鳴き声?
友人達から、これはスズムシだよ…と。
ふ~んと話しを流した…
しかし、内心はスズムシ?
今飼っているスズムシ?
あの虫は鳴くのか?
友人達に今日は早めに帰るよと告げ自転車を走らせた。
…帰宅までの道のりで、今まで一連の流れを思い出していた。
ようやくわかった。
先生が何故僕に…
何故夏休みにわざわざスズムシを持ってきたのか…
何故、家族皆んなで育てて下さいと言ったのか…
ようやくわかった。
僕だから、僕じゃなきゃ意味がない
他でもない、僕の家族だからこそ今育てる意味があったのだ。
全てがリンクした。
自然と自転車の漕ぐスピードが上がっていった。…続く