運命が変わった日〜須田達史の波乱万丈伝 闘争編その1〜
【須田達史の波乱万丈伝〜闘争編その1〜】
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須田達史物語の第一話はこちら
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中学校に入った須田少年。
彼の頭の中は、ブルース・リー一色になっていた。
当時の彼を語る上で欠かせない人物がいる。
同期生の桑原くんである。
彼は、須田少年とは違い帰宅部だったが、
須田少年を惹きつける十分な理由があった。
ブルース・リーだ。
桑原くんは、無類のブルース・リー好きで
彼の部屋はブルース・リーグッズ一色だった。
しかも、わざわざ本場中国から取り寄せた
本やヌンチャクもあるほどだった。
それらを通じて、須田少年は
ブルース・リーの世界や彼の打ち立てた格闘技の流派である
ジークンドーを知ることになる。
『彼は今で言うオタクなんですけど、
毎日鍛えているから強いんですよ。
スパーリングしても、やられてましたからね。
中学時代は彼との時間が一番長かったと思います。』
桑原くんとの出会いから
鍛錬の日々が始まった。
■
ちなみに、
ここで当時の須田少年がどのような1日の過ごし方を
していたのかについても触れておきたい。
『朝起きたら、まず6時から
NHKのラジオ基礎英語を聞いていましたね。
母親が聞けと言うんですよ。
それを聞いてから新聞配達に行っていました。
空手の通信教育を受けていたので、
そのお金を稼ぐためと身体を鍛えるためですね。
高校から道場に通うことになるんですけど
道場の月謝も全部自分で稼いでましたよ。
母親は自分の分は
自分で稼ぎなさいっていう人でしたね。
そして、新聞配達をしながら
外でブルース・リーの真似をして練習ですよ。
アチャー!!とか言って木を蹴ったりしていました。(笑)
それが終わってから家に戻って、
ご飯を食べて、終わったら学校に行くというのが
朝の日課でしたね。』
意外にもラジオの英会話講座を聞き続けていた須田少年。
なんと後に英検2級を取るほどまでに。
文武両道だった。
ここでもう1つ
驚くべきエピソードを紹介したい。
『学校に行きも帰りも鉄ゲタを履いて行ってましたね。
僕の中学校は、歩いて1時間ほどかかる山の中腹にあるんですけど、
途中まで履いていって畑に隠していました。
なぜかというと、
学校に一度履いていったら生活指導の先生に
没収するって言われたんですよ。
ふざけんな、これ高いんだぞって思って、
翌日から畑に隠すことにしたんです。
学校でも、鉄ゲタの代わりに、
パワーアンクルとパワーリストつけて、
うぉー!!ってやってましたね。笑』
当時の自分の姿を語る須田が、
自身の持つ哲学についても語ってくれた。
『漫画を漫画だと思ってない。
本当だと思ってるんですよ。
漫画を漫画だと思ったら
こんなことやらないですよ。
最近の子は、漫画だから・・・って言うんだけど
僕はそうは思わなかったですね。
漫画だからやるんじゃん。
漫画みたいになりたいからやるんじゃん。
ありえないからやるんじゃん。
何でありえることばかり求めてんの?
ありえることばっかりだったらつまらないじゃん。
ありえない奴が面白いんじゃん!!
って思いますよ。
中学校の時にタバコ吸ったとか
女の子ナンパしましたとか
ありえますよね。
僕は、毎日鉄ゲタ通学ですよ!?
ありえないでしょ!笑』
ありえないを地で行く須田少年だったが、
当時は葛藤を抱えていたのも事実だった。
『中学時代は僕の中ではつまらなかったんです。
これ!っていうのがなくて悶々としてるから。
道場もないし、教えてくれる人もいなくて、
中学生の頭で考えられることっていったら、
桑原くんとの練習や鉄ゲタぐらいじゃないですか。笑』
ここでもう1つ現在の彼を知る人々が
驚くエピソードを紹介したい。
『僕、中学時代は実はテニス部だったんですよ。
当時は「エースをねらえ」っていう漫画が流行っていて
学校には空手部がなかったですし、
仕方なくテニス部に入ったんですよ。
でも、岡ひろみは、かっこいいなとおもいましたね。笑』
大きな物事を成し遂げる人物の持つ共通点は
『憧れる力が強い』と聞いたことがあるが、
まさに須田少年は、憧れる天才なのだろう。
■
数々の漫画・アニメに影響を受けてきた須田少年だったが
中学生のとき、
彼の進路を決定づける漫画と出会うことになる。
彼は、近所にある古本の貸漫画屋を
定期的に訪ねていたのだが、
その日もいつものように面白い漫画を探していた。
店内を歩いていると
ふとある本のタイトルが目にとまり、
手にとって読んでみた。
「な、なんだこれは!!!????」
後に須田少年の空手の師匠となる
大山倍達をモデルとした漫画
「空手バカ一代」だった。
ビール瓶を手刀で割っている姿
熊と戦う姿
車を飛び越える姿
その全てが須田少年を魅了した。
『これはブルース・リーより強いかもしれない。
そう思わせてくれましたね。』
この出会いをきっかけとして須田少年は
大山倍達、極真空手の世界にのめり込んでいくことになる・・・
<続く>
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