2022年(令和4年)2月24日、この日、今日、この只今戦後秩序は終焉を迎えたと断言して良い❗️ 既にウクライナ国境に最大で19万人の兵員を集結させていたロシア軍が越境攻撃に踏み切った為だ。既にクレムリンは、今月21日に国際的には全く認められていないウクライナ東部の僭称国家2つ(ドネツク人民共和国及びルガンスク人民共和国)の2つを承認する動きに出ており、僭称国家の承認はロシア軍の前線基地化と同義語、当然こんな権利はどこにもないが参戦の建前上の大義は件の僭称国家から「要請を受けた」と言うもの。

21日の時点で開戦は既定路線だったと言える。承認を21日までずらせたのは、北京五輪を主催する中国への配慮。ロシアと言う国はどの国にも配慮などしない、配慮するとすればダマンスキーを巡り一度は核戦争手前まで行った中国🇨🇳ぐらいなものだ。何よりプーチン政権は在任22年間で中国ぐらいしか友好国を作ることに成功していない。

ウクライナ侵攻を巡る「城塞会」の狙いだが、概ね4点に集約されるかと思う。まず一つは、NATO加盟の阻止、こうした蛮行がウクライナを西へと傾斜させるわけだが、この手の強権的指導者はそんなことがわからない😩。次に、ゼレンシキー政権の打倒。ゼレンシキー氏を排除した上で神輿を立てる。これは正攻法ではなり手がいないので力づくで正統政権を排除する。

3番目が本国と切り離されたクリミアと僭称国家との間に安全回廊を設けること。これはナチスがポーランド侵攻に踏み切った論理と同じで、1939年初頭のメーメル併合、これがポーランド🇵🇱侵攻の伏線である理由は、併合がなされたところで東プロイセンとドイツ本国は繋がらないのですよ。だからポーランドも🇵🇱併合してしまえと言う考えになる。繰り返しますがあの馬渕某はここも擁護しているんですよ💢 しかも被害者であるポーランドがドイツ人を虐殺したなどと全く事実に反する暴言を吐いている。













そして、ウクライナ侵攻を巡ってはロシアにはもう一つ理由があると考えております。それについては後述します。





【では、“相棒”の中国🇨🇳は侵攻にどう反応したのか?!】









ところで、以前のエントリーで私は2月4日の中露共同声明は、中国🇨🇳がロシアにゴーサインを出したものではないと申し上げた。それを裏付けるのが、共同声明の中にウクライナと言う国名が言及されておらず、決定的な文言と言える「支持」と言う文言が含まれていない事。何より中国にとって台湾侵攻の準備が整うのは最短で3年、現段階ではその限りではなく、件のウクライナにとって中国は最大の貿易相手国。昨年1年だけで貿易総額は189億ドルを記録している。ウクライナを🇺🇦無碍に扱わなければならない理由は中国にはない。

では中国は何と反応したか?! それは開戦に至った2月24日の中国🇨🇳の王毅国務委員(外交政策を統括)と露🇷🇺のラヴロフ外務大臣とのやりとりを見ればわかる。その際中国側はどのような表現を用いたか?! それは支持ではなく





「理解」





です。それでは理解とはどう言う意味か?! 平たく言えばですが、







「お宅んとこ大変だなぁ、まっ頑張って❗️」






と言うのがニュアンスとしては近く。同情という表現も理解に近い意味がある。その意味では、中国側としてはロシアの面子を保ちながら支持を与えないなかなかしたたかな言い回しなのである。

それにクレムリンが2月頭の段階で開戦を決意していたとして、中国側としてはどちらに転んでもロシアは今後対中関係において「従属性」を帯びることになる。ロシアがウクライナ侵攻を「成就」させれば緩慢なる形で従属性を帯び、中国にとっては念願である台湾侵攻🇹🇼が近づく。また、ウクライナが反対にロシアを撃退すれば、台湾侵攻は遠退く(断念ではない)。その点ではバツが悪いがロシアは敗戦国となる為、中露関係の逆転は決定的となる為悪い話ではない。しかも開戦から殆ど間を置かず米国🇺🇸と英国🇬🇧は26日、ロシアを国際決済網から完全排除(SWIFT)する決断に踏み切っている。深入りするようなバカなことはしないのである。

中国はその点、良きに悪しきにしたたかである。ロシアは「勝てる」となれば恥も外聞もなく突き進む。あの対日参戦を見るまでもなく歴史を紐解けばその傾向は一貫している。対して、中国🇨🇳は「勝ち目のない勝負はしない」。これは中国が「面子」を重視する国柄であり、勝ち目のない勝負に挑めば沽券に関わる。加えて、ロシアが単独で海域に出られることに対し、中国は単独では太平洋に出られない。何より面子と言う言葉が中国語なんですね。






【足元で勃発した反戦デモ 翼賛議会で露呈した,ウラル以東の求心力!】






















開戦に踏み切ったロシアでは意外なことに足元が揺れている。開戦当日の24日だけで国内60の都市で反戦デモが行われた。ロシア🇷🇺のような強権的な国家で反政府行動を行うことは死と隣り合わせと言えるが、件の開戦にいかに大義がないかを物語る。個人的におやっと感じたのが、抗議活動がシベリアのノヴォシビルスクで封切られたことだ。一般には知られていないこのノヴォシビルスクという街は、モスクワ、サンクトに次ぐロシア第3の都市。先頃反政府デモに直面したカザフスタンに程近い。

徹底した武断国家であるロシアで🇷🇺反戦デモが起きた事自体、この戦争への大義がいかに無きに等しいかを物語るが、政府に対する不満という意味ではそれが何かの拍子で爆発しうる兆候は既にあった。それは昨年、一般的には統一ロシアの圧勝と見られれていた翼賛議会選挙なのである。どう言うことか?!




















まずプーチンが事実上元締めを務める「統一ロシア」(神輿の上での党首はメドヴェージェフ)は324議席(定数は450議席、半分は比例代表、半分は選挙区)の議席を獲得、翼賛議会の3分の2の議席を再び押さえた。だが、2016年の343議席からは19議席を減少させているほか、ウラル以東のアジア側、シベリア、極東では求心力の低下が著しく見られる。

統一ロシアの比例票を個別に見ていくと確かに「西高東低」の傾向が顕著である。例えば沿海州が37.4%、ハバロフスク州が24.5%、クラスノヤルスク州34.6%、北方領土を占拠するサハリン州は35.7%、ヤクート人が多数を占めるサハ共和国が33.2%、オムスク州32.9%、アルタイ共和国が38.5%と、その多くが4割には届いていない他、ハバロフスク州とサハ共和国では共産党に遅れを取っている。そして、よりリベラル色の強い都市部となると得票率は更に落ちる。

オムスク26.7%、エカテリンブルク32.9%、ハバロフスク市22.8%、ノヴォシビルスク29.7%と3割を下回るところが少なくなくオムスク、ハバロフスクは共産党の後陣を配している。目を引いたのが、2020年に立ち上げられた「新しい人々」と言う政党が名乗りを上げている事実。同選挙ではハードルが高いながら13議席を獲得している他、エカテリンブルクやノヴォシビルスクでは得票率が10%を超えている事実だ。

ここから見えてくるのは、ヤーブロコが2003年に実質的に壊滅したことで消滅したかのように見えるリベラル勢力が、決して死滅してはいないと言う事実。ウラル以東の投票率が相対的に低い為、それが統一ロシアの相対的勝利に結びついているのである。件のデモがノヴォシビルスクやエカテリンブルクでも見られたのは、選択肢を封じられたリベラル系無党派の不満が投票行動ではなくデモを通じ顕在化したと言うこと。何よりプーチンがウクライナの西側傾斜が気に食わないのは、このうねりが政権転覆に直結しかねないからだろう。

一方で、統一ロシアに対する共鳴が顕著なのはヨーロッパ側。西に行くほどこちらは正比例する。共鳴度が強いのは黒海沿岸からカフカースにかけてで、例えば併合したクリミアは63.3%、クラスノダールは61%、ウクライナ侵攻を巡り陣営が設置されたベルゴルドが51.7%。当然、こうした数字はプーチンを「その気」にさせる。
























いや、反政府デモを巡っては、その兆候は2年前から現れている。これは日本では殆ど報じられなかったが極東のハバロフスクで数万人規模(最大で5万人規模)の反政府デモが行われている。その理由は人気の高いフルガル州知事を治安当局が逮捕したことにある。容疑は過去の殺人事件への関与とのことだが、額面通り受け止める人は少ない。同知事の個人人気に業を煮やしたクレムリンによる実質的な国策捜査との見方が一般的だ。同知事はジリノフスキー悪党党の所属ではあるが、政策は実務的で、それ故大衆人気が高い。

そして件の反政府デモには伏線があり、実は2018年にハバロフスクは極東管区の「首都」の座から引き摺り下ろされている。現在の中心部はウラジヴォストークになる。主たる理由はハバロフスクが内陸部、旧満州と国境を接するアムール川流域に位置するのに対し、ウラジヴォストークは日本海に足場を持つ港湾都市。人口は共に60万人強だが、力関係を決定づけたのがクリミア併合後の2015年から開かれている東方経済フォーラムになろう。

だが、首都の座がハバロフスクから移した理由については経済的要因以上に報復説が根強い。フルガル氏が州知事選に勝利したのは2018年の9月、その際のフルガル氏の得票はおよそ7割である。それに対してハバロフスク市が中心から外されたのが同年の12月。これ自体は予定された出来事であっても、それに不可解な逮捕劇が重なれば、州民は、






「何だ❗️ クレムリンは俺たちから2度も大切なものを奪うのか」





そうした思いを抱くのではないか。何より統一ロシアとジリノフスキー悪党党は中央では協力関係にある。ここなんです、プーチンが一見謀略の将のように見えながら、その実不合理とも言うべき強引な考えに走るのは。何より件の逮捕劇から見えてくるものは、完全にものにしてしまわなければ安心できないと言う、プーチンの“MEGAROMANIA的思考”、その一端が伺えること。更に、ウラル以東の求心力が決して磐石ではない現実である。ハバロフスクの反政府デモは数ヶ月に渡って続いている。これは状況によっては蟻の一穴になりうる…。仮に反プーチン運動のうねりが起こるとすれば、その発端はモスクワやサンクトではない、むしろ極東ではないか?!







【ハルキウ攻防戦で撃退された露軍 その結果はこの8年間の人心の離反です】




















ロシアに🇷🇺よるウクライナ侵攻作戦は28日で5日目を迎えるが戦況は必ずしもロシアの思惑通りには行っていない。ロシア軍の侵攻ルートは大きく4箇所。まず一挙に首都キーウ強襲を狙うベラルーシ🇧🇾ルート。第2の都市ハルキウを窺うベルゴルド・ルート、クリミアから南部諸州を窺う南部ルート、4番目が僭称国家を前線基地にドンバス掌握を狙うドンバス・ルートがあるが、ロシアが戦況を有利に運んでいるのは項目③の南部ルートのみでそれ以外は全てウクライナ🇺🇦軍の頑強な抵抗によって阻まれている。

まず一つは指揮系統が乱れていないこと。僭称国家が承認された2月21日前後には1日で数百発の挑発的砲撃があったが、ウクライナ軍は挑発に乗っていない。上と下が一体でなければこうはならない。

もう一つが制空権が奪われていないこと。ナゴルノで勝敗を決した防空網の破壊、この敢行にロシア軍は初期の段階で失敗している。ナゴルノの場合、防空網は最初の5日間で破られている。アルメニア本国🇦🇲・ナゴルノ連合軍の保持する9K33オサー及びS-300の地対空ミサイルは多分に旧式だったが、ウクライナ🇺🇦はアゼリーと構成するGUAMの構成国。防空網の破壊と対処への情報は内々から得ていたと思える。






ウクライナ善戦を🇺🇦演出した要素。これは多分に結果論だが、一因として、侵攻を巡って米国🇺🇸と英国🇬🇧が全面に出ない形を取ったことが挙げられるのではないか?! 







何より米国🇺🇸と英国🇬🇧が参戦する選択を取れば構図は「ウクライナ侵略🇺🇦」と言う本質を外れ、「英米本位の平和を排する」と言う、どこかの愚か者が脳をやられた構図にすり替わってしまう。実際、今反戦を唱えている人の相当数も開戦の段階までは問題の構図を「米露の対立」次元でしか捉えていなかった筈だ。しかも米英が踏み込んだ形をとれば、構図はそれだけに留まらず核戦争に一歩近づく、その点は慎重でなければならない。

だが、米英が仮に前面に出ずとも「側面支援」だけでも結構な意味を持つ。例えば英国は🇬🇧1月の段階で対戦車ミサイル「ジャベリン」や「スティンガー・ミサイル」2000基の供与を申し出ているほか、米国は🇺🇸開戦から3日目の26日には3億5000万円規模の軍事的支援を申し出ている。一部論者が口にする米国と英国が日和見主義であると言う見方は適切ではない。









一方、戦況が大きく動いたのは27日、この日ロシア軍は2つの戦線で大きな敗北を2つ喫している。まず一つが首都キーウにおける戦闘です。ベラルーシ国境🇧🇾からは僅か100kmにあるキーウですが、政権中枢は依然揺らいでいません。私は以前のエントリーで、派遣される部隊の中にはチェチェンの国家親衛隊が含まれていることを申し上げました。この国家親衛隊がウクライナ軍との戦闘で壊滅に追い込まれている。

何故チェチェンの部隊が含まれているのか、違和感を感じられる方も多いでしょうが、この国家親衛隊と言う部隊はチェチェンの正統政府(ドゥダーエフ派)ではなく、クレムリンが正統政府を2000年に駆逐した後、「神輿として立てられた政権」のこと。この神輿の政権はカディーロフ派とも称される。その結果擁立されたのがプーチン側近のアフマド・カディーロフになるが、先代が2004年に暗殺され同年息子のラムザン・カディーロフが神輿の座を継承している。その意味ではシロキネでウクライナ側に加勢しているのは正統政府のドゥダーエフ派だとご理解下さい。

そうした文脈からお分かりいただけるのは、日本の中にも一水会のような連中が存在することと同様、チェチェンの国家親衛隊は翼賛運動の片棒を担ぐ臆病者と考えていただければ良い。こうした勢力は当然規律などなく、虐殺や略奪など当然の如く行う。私がこの間、馬渕某らの言動に憤りを感じているのは、この手の連中は国家親衛隊に見られる「真の暴力」に目を閉ざすからだ。ウクライナ🇺🇦危機を云々するならこの連中がどんな連中か、最低限知っていなければいけない。










件のカディーロフ派は例えるなら、そうですね必殺の早川保(早川さんご本人じゃないですよ。当然役どころです)さんのようなゴロツキだと評して良い。私などは、この連中ほど人間の範疇に入れることを躊躇してしまう😩 こうしたゴロツキ集団が何故キーウ強襲に投入されたかと言うと、連中には「善のタガ」がないからである。ロシア軍本体の士気が開戦当初から低いのは「兄弟国家」に銃口を向けることを躊躇する。当然のことだ。だが、野に放たれた野獣とも言うべきカディーロフ派はその限りではない。要は使い勝手がよく「ローコスト」なのである。この点はマイダン革命の時からクレムリンは一貫している。「神輿」と見ていたヤヌコーヴィッチ氏が役に立たないと見るや、あっさりと見捨てたように…
















更に、27日には北東部のハルキウでも重要な動きがあった。ハルキウはロシアとの国境から僅か30kmに位置するウクライナ第2の都市だが、この地においてもウクライナ🇺🇦軍はなかなかどうして頑張っている。そのハルキウは27日になって一度市内へのロシア軍の侵入を許している。市内侵攻を試みたロシア部隊は戦車6台と見られるが初期の戦闘で2台が撃破され、同日中にロシア軍は撃退された。





【開戦の真の目的:それは強大化するウクライナ軍それ自体への恐怖なのではないか?!】





















そして4つ目の理由だが、私ね、案外この理由が1番の理由じゃないかって思うんですよ。それは「ウクライナ軍本体の強大化を阻止」すること。何より、ウクライナ軍は決して弱くない。

私は安全保障を考える際、Global Fire Powerと言う媒体を参考にしているのだが、これを見てみるとウクライナの軍事力は決して弱くない。前年に比べ順位を3つ上げ22位に躍り出ている。これは東欧の要衝・ポーランドよりも高い数字だ。ヨーロッパでは7番目に位置する軍事大国と言うことになる(トルコ🇹🇷を広義の意味でのヨーロッパとすると8位)。

ウクライナ軍は確かに海戦部隊、空戦部隊は強くはない。だが、自国の脅威が地上戦を主体に考えられている為、陸戦部隊の規模は強大で戦車保有数は2500台、装甲車は12000台を数える。何より同軍が保有する「OPLOT-M戦車」は陸自の10式戦車やIDFのメルカヴァ戦車と双璧、いやそれ以上とも言うほど戦闘力が強い。


















更に目を引くのが兵員だ。兵力は国防省所属の正規軍と内務省所属の国内軍を抱え、通常兵力だけで20万人を数える。これはポーランドの🇵🇱正規兵12万人を軽く上回る。更にウクライナは国防省所属の民兵組織「領土防衛隊」と言う組織をクリミア併合の年に設けている。これはかつての長州藩における「奇兵隊」のようなものだと理解いただければ幸いです。今年に入り民間人の入隊を許可している。

NATOに入ろうが入るまいが、クリミア併合が強行された今、もうウクライナ国民の心が戻ることはない。これは以前のエントリーでも述べたが、離反を決定的にしたのは2018年のウクライナ正教会の独立である。宗教の独立は国民意識の醸成と同義語。クリミア併合がウクライナを“緩衝地帯”ではなくしてしまった以上、ウクライナ軍本体が弱くなる要素は全くない。だから強大化する前に叩いてやると言う動きが出てくる。

この見方を半ば裏付けるのが、開戦後のクレムリンの公式発言であろう。クレムリンは和平の条件としてウクライナの「非武装化」を要求していること。NATO云々ではない、それ以上に呑めるものではない要求だ。軍隊を放棄することは独立国でなくなることと同義語。理解を超えた暴力的な要求と言う他はないが、奴らの思考はその点では実にわかりやすいのである。これが単なる暴言ではなく、それ自体が主要目的だとしたら…。















ウクライナ軍の台頭阻止が核心。私が何故そう思うのかと言うと、この事件を覚えておいででしょうか!? 2018年の11月にFSBがウクライナ海軍の艦艇3隻をケルチ海峡で拿捕する一幕があったこと。この行為は一般的には実効支配を誇示する行為と言えるが、FSBが何故拿捕に及んだかについては不可解だった。

だが、今になって別角度から見てみると、陸戦部隊のパワーバランスはこの時点でも接近が顕著だったのではないか?!そうであるからこそ優位に立てる海域ではあのように自らの権勢を誇示するかのような行動に出る。ロシアは一面においてわかりやすいのである。歴史的経緯、それも対日参戦やポーランド侵攻からもわかるように、





「勝てるとならば、どんな卑劣なことでもする」






体質を持つ。ならば力の差が次第に接近する中、これ以上の放置はあり得まい。それが「兄弟国家」の断絶を意味しようとも、最大の目的がウクライナ軍の強大化阻止だと考えれば、あのgdgdなプーチン演説、それに見られるウクライナ国民の感情の軽視、開戦後の非武装化の要求、全て辻褄が合う。


先のエントリーで私は、東部戦線が必ずしもクレムリンの思惑通りには行っていないことを申し上げた。そうであるからこそ21日には自国に有利な筈のミンスク合意を破棄したわけでしょう。当然、ヤヌコーヴィッチ氏の地盤を引き継いだボイコ氏は得票数からもとても神輿にはなり得ない。ロシア軍は東部にも侵攻しているが、3月1日の段階でここは予断を許さないながらも、アゾフ海の要衝・マリウーポリは陥落していない。

ただ、兵站軽視が顕著な3ルートとは別に、クリミアを拠点とする南部ルートに関しては攻勢を相当許している。ウクライナ🇺🇦に8年間の時間があったように、クレムリンはこの8年間をクリミア要塞化に費やしている。現段階では確定的なことは言えないが、ロシア軍は3月2日に南部の要衝・ヘルソンを陥落させたと見られる。南部の攻勢が仮に続けば主要目的の一つである安全回廊の設置を実現してしまう。これこそが歴史の教訓なのだが…










【既に2008年に披露されている「ウクライナ分割案」】










ところで、戦線を守るためにプーチンが繰り出した3つの禁じ手。「グルジア🇬🇪侵攻」「クリミア併合」「ウクライナの東西分割」の考えははいつ青写真として描かれたのか?! それはどんなに遅くとも2008年。いや、それ以前には考えられていたと断言できる。

私は先のエントリーで、2008年と言うキーワードに留意頂きたいと申し上げたが、2008年にはプーチンはグルジアとウクライナの離反を想定し対抗策を完成させていること。

中でも、件の軍事侵攻で目指していると考えられる「ウクライナの東西分割案」はプーチン自身が披露しているのである。これは同年2月にモスクワで行われた露波首脳会談の席上切り出されたもので、2014年に当時ポーランドの外務大臣だったシコルスキ氏が内幕を暴露し公になったもの。当然、ここも隠されている話ではない。ロシアがミンスク合意を破棄し侵攻に踏み切った今、彼らはこの時点でもう牙を隠していなかったのだと戦慄を覚える😩

その際、プーチンが切り出した「提案」は概ね次の3点である。






「ウクライナと言う国は人工的に作られた国家」





「同国の西半分は(カーゾン線の外側)元々ポーランド🇵🇱、従ってポーランドとの共鳴性が強い」






「歴史的経緯を鑑みるとウクライナは東西に分割することが望ましい。貴国はそれに賛同してくれるか?!」






この言葉はどこかで耳にした言葉だ。そう21日の僭称国家承認の際、プーチンが披露した「ぼくがかんがえたうくらいなしんりゃくのへりくつ」、それとほぼ同じなのですよ😲 私などが憤りを覚えるのは、プーチンはこの頃からウクライナと言う国の存在を認めていないこと。


シコルスキ元大臣の暴露は2014年のクリミア併合後為されたもの。併合が現実となり、事の重大性に気付いた中飛び出したものだが、注目すべきは当時のトゥスク首相以下、政府高官陣は皆、プーチンの暴論に異を唱えていないことだ。

その理由は大きく2つある。まず一つが、件の2008年2月の露波首脳会談は6年ぶりに開かれた2国間会談であったこと。「一つの問題が違うからと言って、首脳会談一つ開かない国」と言うのは、何もあの国に限ったことではない。そして首脳会談が5年、6年途絶えていると、動揺が顕在化するのは決まって文明国の側であり譲歩を重ねることが常。つまり「対話をしてもらうこと」が半ば自己目的化してしまうんですよ😩

もう一つの理由。それはポーランドはプーチン発言を問いたださなかったのではなく、問いただすことが出来なかったのである。どう言うことか?!











それは「カティンの森事件」である。カティンの森と言われても耳慣れない方が多いと思うが、この事件は1940年、旧ソ連が捕虜にしていたポーランド兵及び軍属ら2万人余を無惨にも殺害した大量虐殺事件のことをいう。旧ソ連の戦争犯罪の中でも最も無残なもので、何故ポーランド兵が捕虜にされていたかというと(馬渕某が礼賛して恥じない)あのポーランド侵攻はナチスとの共同正犯だからです。要は旧ソ連は「強盗の片割れ」、そうなれば当然ホロコーストに匹敵する程の残虐行為に及ぶのは自然な流れです。そしてこの事実は戦後暫くの間、ナチスの仕業とされてきたが、手を下したのは旧ソ連。当然弁解の余地は全くない。

そして、ポーランド🇵🇱側がプーチン発言を黙殺した核心部分こそ、そのカティンの森を巡ってなのだ。この時、露波🇷🇺🇵🇱両国はカティンの森の謝罪を巡り水面下での文言調整が進められていた。あのロシアが🇷🇺責任に言及すること自体が奇跡的なこと、当然剣先は鈍ることになる。この点はある意味でDVやパワハラが容認されてきた構図と同じなのである。つまり暴力的なDV常習男が少し優しい面を見せれば、気の弱い人はそれで丸め込まれてしまう。当然、本当の悪はその「気の弱い人の善意」を見逃さない。








カティンの森を巡っては、クレムリンは非を認めている。だが、ここも厳密には謝罪ではない点に留意をする必要がある。クレムリンが認めたのは謝罪ではなく、事件の責任が「誰にあるか」であり、当然賠償やそれ以外の言及は巧妙に回避している。その点では悪い意味でのアイヌ新法とも言えるのですよ😩

2010年4月、プーチン、トゥスクの両首脳(プーチンはこの間大統領職を退き闇将軍として君臨)は現地を訪れ献花を行っている。同年11月にはロシアの翼賛議会が“謝罪決議”を可決させている。











ちなみに、当時の政権はトゥスク政権。トゥスク氏と言うのはポーランド🇵🇱の有史以来恐らく最もロシアに融和的な政権である。断っておくが私は外交・安全保障の本質は「力の均衡を保つこと」。先方に軟化ないし、相手を認める兆候があれば拒む必要はないと考える。平成30年の日中首脳会談、31年の中国海軍70周年式典への参加はその文脈で評価をしている。安全保障上の脅威であっても、コロナ同様「正しく怖がる」ことが肝要。ひたすら罵倒する愚には陥ってはならない。

何より件のトゥスク元首相と言うのはメルケル氏と並び欧米リベラルの評価が最も高い政治家と言える。氏はポーランドでは超少数派のカシューブ人であり、出身地はグダニスク。グダニスクはご存知のように80年代に民主化運動の拠点だった地であり、「連帯」の発祥の地。トゥスク氏自身も連帯の賛同者で、青年時には民主化運動に身を投じた。ヴェルサイユ体制下では独波何れにも属さなかったことからリベラル色が極めて強い。氏自身もリベラル派でありヨーロッパ主義者である。こうした政治家は、リベラル媒体の琴線に触れる傍ら、負の部分が糊塗されることを意味するのだ。

要は平成初期に礼賛されていた野中広務氏や加藤紘一氏と同じ立ち位置にいる政治家で、リベラルの負の部分を体現した政治家。安全保障上座視できない国に対し誤ったメッセージを送ってしまうのだ。一般には知られていない露波首脳会談だが、出席者の誰もが異を唱えなかった事実は、ミュンヒェン会談同様の大汚点だったと考える。

ここも繰り返しになるがプーチン発言は、ウクライナの主権と国際法に対する著しい軽視。無論、こうした論理は1ミリたりとも肯定してはならない!

何より、考えていただきたいのは時系列です。繰り返しになりますが、プーチンがウクライナ分割を持ち出したのは2008年の2月。ウクライナとグルジアのNATO加盟が提起されたのはその2ヶ月後。つまり、発端はNATOがグルジア🇬🇪やウクライナ🇺🇦を強引に組み込んだことではなく、両国の離反を想定したロシアが不法な手段で阻止を謀っていたのが真実。この事実は誰も隠していないし隠されてもいない。この事実だけで、論破できますよ、クレムリンのウソは❗️

グルジア🇬🇪とウクライナ🇺🇦に対する侵攻がこの頃から計画されていたとすると。クリミア併合は2014年を待たずしてもっと早い段階で実行されていた可能性がある。例えば、2010年に控えていたウクライナの大統領選で、ヤヌコーヴィッチ氏が勝利できなかったケースである?

ヤヌコーヴィッチ氏が2010年に勝利できたことで、喫緊の課題である黒海艦隊の租借延長は勝ち取れたが、それでも2042年まで、恒久的なものではない。完全にものにしてしまわなければ安心できないから併合すると言う話になる。邦人保護、NATO加盟が悪い?! バカ言っちゃいけない、何より神輿として期待していたヤヌコーヴィッチ氏を利用価値がないとわかった瞬間に切り捨てた国はどこのどいつだっ💢💢💢









【Stand with Ukraine🤜】




最後にこのエントリーの締めとしてですが、ウクライナ関連の記事を記すのはこのエントリーが5回目になります。その理由はこの戦争ほど大義がなく身勝手な理屈が他にないからです。とりわけ開戦に至った21日のプーチン演説はまるで19世紀の世界に生きているのではないかと思うほど、私たちの理解を超えたものです。それから今エントリーを境に、タイトル名を「ウクライナ危機」から「侵略」だと変更したのは、日本政府の方針を踏まえてのものです。政府は2月26日を境に侵略と言う方針を固めている。つまりですね、この段階で鳩山や馬渕某らの牽強付会的擁護論は公式的に「アウトローの言い分」なのです。









クリミア併合に端を発するウクライナ🇺🇦危機を巡っては当然様々な思いがあろうかと思います。それでもはっきりしているのはロシアが🇷🇺先にミンスク合意を破棄し、他国の領土に攻め入り、シリアで見られたような「焦土作戦」を敢行している確かな事実です。以前の4つのエントリーは侵攻前に記したものですが、クレムリンが侵攻を果たした今、私の申し上げてきたことが決してタワゴトではないことがお分かりいただけると思います。

もう一つ、ロシア🇷🇺によるウクライナ侵攻に義憤を感じる方の中でも、ではウクライナ🇺🇦側がどう対処をすべきかについては意見が分かれると思います。私の立場を申し上げておきますと、理不尽な暴力に対する反撃の権利は奪われてはならないと言うのが一貫した考えであります。これについては、異論は当然認めます。

これは「失わない為の戦い」、尊厳の戦いを否定するべきではない。間違えてはいけないのは、この世の中には勝利してはならない政治勢力が確実にあるのです👊















Stand with Ukraine🤜