【993】その日の前に by 重松清
10/6/28 作文用紙562枚相当 2010年 延19534枚
【フレーズ】
・言葉が短ければ、嘘だって、うまくつける。
・部屋に朝の陽射しが振り注いで、新しい一日が始まる。その「始まり」に負けてしまう。逃げ出したくなる。
・〈自分で「病気」と書いていても、やっぱりよくわかりません。わたしは、病気なんですか?〉
・子どものころはそういうわけにはいかなかった。しょうがないんだと受け容れる前に、理屈が通ろうと通るまいと、なにかや誰かのせいにしてしまわないと気がすまない。
・「中年になってからの背中の痛みって、マジでヤバいんだぞ」
・おばさんは物怖じしない。人見知りもしない。無駄な好奇心が旺盛で、なんでも自分に都合良く解釈する。
・「トシくんが来たら、伝えてくれって言われたことがあるんですよ」「……なに?」「おばさん、ガンなんだって」俺をじっとみつめる。
・「トシくん、ごめんね、ごめんね、お母さん、病気になっちゃって、ほんとうにごめん……」
・「昔と同じものに再会したいわけじゃないんだな、って。逆に再会できないほうがいいっていうか、もう会えないんだっていうことを確かめたい」
・「終わったーぁ」と笑いながら深く息をついて、息が尽きる少し前に、ぽろん、と転がるような涙をこぼした。
・業者の名簿の中でなら、ひとは永遠に生きることもできるのだと、これも和美を喪って初めて知った。
・「亡くなってから三カ月たったら渡してほしいって、それまでは黙っていてほしいって、奥さんから言われたんです」/「ちょっと忘れかけたかなっていう頃がいいんだ、っておっしゃってました」
・僕は和美と再会する。 <忘れてもいいよ> 一言だけ、だった。
【感想】
・小川洋子や村上春樹のように、文章がすーっと入ってくる感覚がありませんでした。
・いまどきの高校生ならこう言うだろうなといった登場人物がステレオタイプだったことの気持ち悪さの所為だと思います。
★★★★★