弁護士事務所は古いビルの10階にあった。


まず、太った事務員さんがドアを開け、個室に案内されて少し濃く入れた冷たい緑茶を出してくれた。


約束の時間は10時。


10分前に着いた私は、定型用紙に必要事項を記入して先生が現れるのを待った。


10時ピッタリに個室がノックされると、現れたのは50代ぐらいの、飾り気がなくスレンダーで上品な女性だった。


思った通りだ。「良い感じの弁護士」だと思うと言った父の言葉に間違いはなかった。


私自身、上品な服装で行って良かったと心から思えた。