今回はN(神経学的 neurologic)です。

UPOINTでは、腹部や骨盤部を超えた痛み、過敏性腸症候群、線維筋痛症や慢性疲労症候群 となっています。

確かに過敏性腸症候群を合併する事例は多く自分自身も幼少期からあります。

 

線維筋痛症や慢性疲労症候群は治療に難渋することが多い疾患で、痛みもあるのでそういう意味では確かに似ていると思います。ただ同一病態かと言われると個人的には違うのかなと思っています。

どちらも脳を精査すると炎症が見つかる病気だからです。その中で疲労・倦怠感が中心(もちろん疼痛もあります)なのが慢性疲労症候群、痛みが中心(もちろん倦怠感もあります)なのが線維筋痛症。炎症が脳で起こっているわけではない慢性前立腺炎とは異なるというのが個人的見解です。

ただひょっとすると線維筋痛症や慢性疲労症候群の一症状で、会陰部や肛門部が痛い人はいるかもしれません(それでもあまり部位は典型的ではないように思いますが) 個人的には慢性前立腺炎の方は、どちらかというと間質性膀胱炎の方が合併という意味では気をつけるべきなのかなと。

 

さて、今回は神経学的な異常がこの病態(痛み)を引き起こすかということについて触れたいと思います

 

まず、前立腺炎が多彩な症状を出すのは「神経」抜きにしては語れないと思います。

前立腺の近くを走る陰部神経(仙骨神経から出ている)は、会陰部だけでなく陰茎や肛門などにも走行しているため、前立腺炎で神経が圧迫ないしは刺激を受ければその辺も痛むのも当然です。

 

自分が1回目が会陰部のみの痛みだけだったのは、前立腺だけの問題だったけど、再燃後に陰茎や肛門にまで多彩な症状が出ているのは陰部神経に障害が及んでしまったからだろうと思っています。仙腸関節のところをボールで圧迫したり、仙骨を圧迫して長時間寝てて痛みが誘発されたことがあるのも前立腺だけの問題では説明がつかず、神経に来ているのは間違いないだろうと思います。

 

一般的にも、経過の中でより中枢の神経が感作(もしくは混線)されたり、痛みを抑制する神経経路である下行性疼痛抑制経路に問題が起こり痛みの閾値が下がってしまう状態も痛みの慢性化につながるものとされています。後者の疼痛抑制経路を活性化するのに使われるのが一種の抗うつ薬(トリプタノールやサインバルタ)になります。トリプタノールが効果あるという人を時々聞くので、自分も試してみてます。あとは、一度この悪循環を断ち切るためのブロック注射も有用と思います。自分は一定の効果はありました。

 

いずれにしろまず、感染症や物理的圧迫(骨盤底筋群の過緊張によるもの含む)、尿の逆流などで前立腺に問題が起き、ひどくなるとその近くの陰部神経に障害が起きてしてしまい、さらに悪化すると周囲やより中枢のいろんな神経を巻き込んでしまうのがこの病態で起こっていることではないかと自分の中では結論づけています

 

一方、一般的には肛門挙筋症候群と名前がついてますが、肛門痛を中心に訴えられ時に排便障害を合併する症状に対して神経因性骨盤臓器症候群というのを提唱されている先生がおられて、陰部神経そのものに問題があると考えられております。こちらは直腸など臓器に問題があって神経に及ぶわけではなく先に神経に問題があると考えているということになります。

実際、陰部神経を触れると硬結や圧痛がありいつもの痛みが誘発されるそうです。自分がよく知る肛門科の先生も同じようなことを言ってましたから正しいのだと思います。(なお、私も診てもらいましたが、陰部神経の硬結や圧痛はなかったのでこの病気とは違うのだと思います。) ただ、では神経痛を起こした原因は何なのか?ということになります(前回に戻ればやはり何らかの感染症なんでしょうか?)

 

同じく陰部神経が先の問題の疾患としては、出産時に会陰切開した後の痛みが残っている人とかも、そうだと思います。これは外傷契機なのでわかりやすく、理屈的にも合います。このように陰部神経が明らかに先のケースも確かにあるのだと思います。

 

では、先に陰部神経含めて、神経が原因で慢性前立腺炎(慢性骨盤疼痛症候群)のような会陰部痛が起こるかどうかですが、これは個人的には腰椎病変以外ではないのではないかと思ってます。