「Odd Taxi」制作陣による新作だけあり、先が読めない序盤は期待通り。花が喋るLow Fantasyで油断させ、ドロドロしたサスペンスにハマっていく話運びも流石。身内の重大事実発覚後に加速するサスペンスは見処が多く、「Odd Taxi」ファンなら見逃し禁止な佳作。
ここから下は盛大にネタバレしているので、映画未鑑賞の方は決して読まないで下さい
1. 容疑者Akutsuの献身
ただし、阿久津が刑務所から仮出所すら出来ない事実は変わらない。仮に身元引受人も用意できていても、兄貴に追い込まれ、迷惑をかけてしまいそう。とは言え、仮出所無しの真の無期懲役は辛すぎる。組が刑務所に鉄砲玉を送り込む可能性もゼロではなく、務所も完全な安全地帯でなかったはず。一番守りたい人を守れても、彼等に数千万を渡せても、那奈にも健介にも会えずに死んだ後半生を、逆転勝利には感じられなかった。「容疑者X...」の如、あまりに献身し過ぎでは?
2. ツッコミ処1
ホウセンカが健介の実父を明かした際、阿久津は「托卵」されたと罵るが、これは完全な誤用。
動物行動学に於いて、「托卵」はメスが他人の巣に卵を産み付け、実子の子育てを他人に押し付ける労働寄生を指す。ホウセンカは阿久津が兄貴に「托卵」された宣うが、動物行動学はこのケースを何十年も前からEPP(つがい外父性, extra-pair paternity)と呼び、決して「托卵」と呼ばない。遺伝マーカーを用いた調査で、鳥類のメスが盛んに不倫する事が判明し、実際に巣には間男のヒナがかなりな確率で混ざっている。義理の父が遺伝的父である間男に労働寄生されていると言えなくもないが、「托卵」はあくまで「他人の巣に産卵する」プロセス込みで呼称される行動なので、産卵できないオスが「托卵」する事は物理的も論理的にも不可能である。
お喋りなホウセンカも、やはり植物如きの知能じゃ動物行動学の基本なんて理解できなかった模様。
3. ツッコミ処2
終盤の鍵になる手紙。地図に重ねる事で場所の特定に繋がるが、5~6枚は流石に重ね過ぎで、相当薄い便箋でないと光を通過しないのでは? 加えて、刑務所で書かれた手紙だと考えると、便箋の選択肢がとは考え難い。街中の光量が弱い街灯で、数枚重ねても光が貫通するような便箋を用意できたの? 疑問に感じた。
4. ツッコミ処3
終盤、堤に見つかるの恐れて、一箇所に長時間留まるのを恐れている那奈が、比較的短時間で空き地から大金を回収する。空き地に埋まっていたなら、短時間での発見は無理。おそらく、阿久津が設置して記名した「キャビネット」のような設置物に入っていたと思われる。ただ、そんな短時間で見つかる場所にあって、本当に30年近く、金が放置され得るものだろうか? 暇を持て余している子供は、空き地に放置してある家具なんて一種の遊び道具で、悪戯に開けてしまう子がいても不思議はない。バブル期は今以上に子供が街中に溢れていたので、彼等の魔の手を逃れるのは難しそう。
南京錠が掛かっていたとして、那奈は鍵をどうやって入手した? 彼女か息子の誕生日が鍵のダイヤル南京錠ならチビッコは諦めるかも。ただ高校生なら、ちと大きめなハンマーで南京錠自体など破壊するのは、さして難しくはない。
#ホウセンカ感想
— ちっちゃなきょゥじん💖𝑳𝒊𝒕𝒕𝒍𝒆🍀𝑻𝒊𝒕𝒂𝒏🔰 (@litt1e_titan) October 14, 2025
花が喋る #LowFantasy で油断させ、ドロドロなサスペンスに持ち込む展開は #OddTaxi 風味
主人公が中盤以降に魅せる戦略家としての冴えは見応えあるが、この悲劇を感動的な大団円のように描く制作陣は、反社の輩に起こる奇跡なんざ所詮この程度という確信的な蔑みも感じる