以前、大谷選手の実働年数を、規定打席や規定投球回数を物差しに計算したが、再度右膝を痛めたとのニュースに応じて、2023年も現時点で計算してみた。下表にあるように、今年は未だ打者としても、投手としても規定数に達していない。ただ、両役割の実働値を合計すると100%を越えており、もう十分役割を果たしたといえる。昨年までの値をみても、過去10年で実働合計が100%に届かなかったのは4年だけ。11年の実働合計を足し合わせても10.35年と、投打の活躍を総合すると、ほぼほぼフル活動している。
 ただ、投手だけの実働に絞ると、肘等を故障している年が多く、実働値は低い。打撃が直接右肘に故障に繋がらないとしても、DH出場によって一刀流の投手よりは疲労が蓄積しやすい筈なので、故障の遠因になっている可能性はある。ただ、高い打棒がなければDHで起用されない。打者としての能力も高いからこそ、登板できない年にも実働できる。つまり、大谷選手の場合、投手専門ではなく、二刀流選手だからこそ選手寿命を永らえる可能性もある。
 2018年に靭帯を痛めた時は、結局3年後の2021年にならないと投手に復帰できなかった。損傷の程度にも依るが、今回も2年ほど登板がお預けになるかもしれない。お金に拘る選手ではないとしても、タイミング的にFA時の契約年数や金額に影響しそうなのも心配。

規定打席や投球回数を考慮した「実働年数」
チーム 打席 規定打席 打者実働 投球回数 規定投球回数 投手実働 実働合計
2013

204 446 0.46 61.2 144 0.43 0.86
2014 234 446 0.52 155.1 144 1* 1*
2015 119 443 0.27 160.2 143 1* 1* 投手三冠
2016 382 443 0.86 140.0 143 0.98 1*
2017 231 443 0.52 25.1 143 0.18 0.70 左足肉離れ
2018 LAA 367 502 0.73 51.2 160 0.32 1* 右肘靱帯損傷
2019 425 502 0.85 160 0.00 0.85 右肘リハビリ
2020 175 186 0.94 1.2 60 0.02 0.94 右屈曲回内筋損傷
2021 639 502 1* 130.1 160 0.81 1* MVP 9勝46HR
2022 666 502 1* 166.0 160 1* 1* 15勝 34HR
2023 467+ 502? 0.93+ 132.0 160? 0.83 1* 10勝 44+HR
8.08年 6.56年 10.35年
2024   0?   0?   右肘治療
+リハビリ?
2025

上表では、実働値が100%を越えた年は実働100%(*)とした。
2023年の値は8月24日時点。シーズン終了時の規定回数も未確定。