70代男性、高血圧で受診中です。今日は特定健診の結果が気になるとのことでの来院です。

 

「ASTとかALTとか肝臓の数字があるでしょ?その数字が30を越えたらヤバいって言ってたんだけどどうなの?」

「そうなの?そうね、確かに35とかだから越えてるね。何か症状はありますか?」

「別に何も。だからかえって心配なのよ。」

「なるほどね、この肝臓の数字は結構幅が広いんですよ。悪くなると300、500、1000とかなるよ」

「そうなのかい。じゃあ安心かな。色々数字が気になるんだわ。」

「気持ちはわかるんですけど、基本はね、私たちは人体の設計図を持っていないということなんです。」

「なんじゃそりゃ。」

「車や冷蔵庫は人間が作ったから設計図があるでしょ?つまり正常値があるのよ。それに沿って組み上げるのね。でも、私たちの身体は出来上がっているものだから、それがないんです。」

「ほう。」

「だから、たくさんの人の検査を数字にして並べます。その大きい方と小さい方をカットして、だいたい9割の人が入っている数字を正常値としているんですよ。なので、正常値から外れていても必ずしも病気というわけじゃないし、逆に正常値の中にいれば絶対病気じゃないともいえないんです。」

「そうなのか。」

「だから、その数字と身体の症状の両方を合わせて病気かどうかを探りに行きます。ただし、やっぱり正常値より大きく外れている場合には何か病気がある確率がとっても高くなるんですよ。結局は医師と相談してくださいってことになっちゃうんだけどね。」

 

検査にはいろいろな「役目」があります。病気を見つける検査、病気の程度を調べる検査、コントロールに使う検査、回復の程度をチェックする検査。

それぞれ数字の意味づけを考えながらやらないと、ただ混乱してしまうだけになるかと思います。

特に病気を見つけるスクリーニングは数字の解釈が難しいところです。異常値のほとんどが問題ないのですが、中に病気の人がごく僅かに引っかかってきます。私も正直言って、すべての方に有効なアドバイスは見つかっていないです。

どこかに人体の設計図、落ちていないのでしょうか?