仕事柄、知りたくないことやかかわりたくないことに巻き込まれることが多い。
一番嫌なのは、従業員の離婚騒動に巻き込まれること。両者が納得の上、和解して理解する場合も沢山あるが、そういうケースは、機械的に処理ができるし、養育費の直接支払いなども、至極スムーズに進む。ただ、そういうケースはスタッフレベルで処理できるので、私のところまで届かない。私がかかわるのは相当こじれまくったケースのみ。まあ、フツーの社員の離婚だったら、あまりややこしくなることはないのだが、これが大物になると半端じゃない。 昨年のトップマネジメントのSが離婚騒動に陥ったときは、ひょっとして、これって
イラク戦争よりも凄まじいかも
と思ったほどだ。偉い人になると、給与だけでなく、ゴルフ会員権、社員持ち株、オプションと資産分配があれこれややこしい。対戦に控えて、2歳の子供を抱えた妻は、凄腕と呼ばれる弁護士を雇ったところまではよかったのだが、この弁護士が昼夜かまわず、会社に電話をかけてきて登社の顧問弁護士と私が何時間電話会議で時間をつぶしたか。おまけに、裁判の日に立ち会ってくれという。日夜残業が続いていた私は、さすがにエー加減にせんかい、と
「ここまでは善意で対応していましたけど、これ以上ということになると、私の仕事に支障がでますので、会議の設定は私の上司か社長をとおしてお願いします」
と伝えるにいたった。
妻の弁護士は、私の電話対応に、取りあえずその場は引き下がったのだが、しばらくして、妻自身から直接電話があった。
この離婚騒動に巻き込まれる前に、Sからはいかに彼の妻が異常で、手に負えないか聞いていたので、電話先からいきなりヒステリーの金切り声が聞こえてくるかと思いきや、逆にか弱い声で、
幼い子供を抱えて、まともに仕事の経験をしたことがないので(旧モデル)、どんなに行く末に不安をもっているか、旦那が同意を取らずに離婚手続きをとったためショックで途方にくれている間、彼女の両親が心配して勝手に弁護士を雇ったとか、会社の皆さんにご迷惑をおかけして申し訳ない、と、とくとくと語り始めたではないか。
え、なんか話が違うぞ?
そういうことにかかわるのは苦手なので、罪悪感を感じながらも、適当に切り上げたが、はっきり言ってびっくりした。会社の皆が思っていたように物事の白黒ははっきりしていなかったんだと思ったが、私の出る幕ではないので、何も言わなかったけど。
一方で、事故死をした従業員の妻が、旦那が事故死したその当日に会社に電話をかけてきて、
給与の振込み先の変更やら、保険金の受取人の確認やら、登録してある銀行口座番号やらの問い合わせをしてきたことがあった。さすがの私でも、これには驚いた。 確かに死んだ人は泣いても悲しんでも戻ってこないって言うけど、いくらなんでも、これは。 なにか、それなりに理由があるんだろうけど。人間の死ってこんなに簡単に扱っていいの?という疑問はぬぐえなかった。
これにも、何か私の測り知れない幕裏があったんだろうけど。
今の仕事は好きだけど、これは私が一番苦手な分野です。