私のもと旦那というのは、本当に変なヤツで、もうかれこれ離婚してから5年も経つのに、いまだに誕生日にはバラの花を12本会社に送ってくる。とはいえ、悪い気はしないので、一応お礼の電話をいれて、近況報告とかしたりするが、何のために送ってくるのか良くわからない。それも、家に送ってくれれば良いのに、何で会社に送ってくるのか?どうも男というのはよくわからないもんだ。もと旦那は離婚が決まった5年前に北欧からフロリダに転勤になり、以来マイアミに在住しているが、どうも、アメリカ女性にはほとほと手を焼いている様子。アメ女は私と違って、筋金どころか調合金入りだからね。されば、とくと女性の扱いを勉強されたがよかろう、未熟者め。
先日は“僕たちの息子の写真だよ。どうだ、すっかり大人になっただろう?”とかわけのわからんことを言って、昔一緒に飼っていた猫の“スシ”の写真をどさっと送ってきた。
正直言うと私は実は未練タラタラなの。
いや、もと旦那にじゃなくて猫にだよん。この猫はもと主人と異なり、本当に出来がよく、正直な話、完全に犬化していた。どう犬化していたかというと、
1.一緒に散歩ができる(森の中を一緒に一周してちゃんと家まで戻る)こんな猫います?
2.骨とか、枝を投げると口にくわえて戻ってくる。(フリスビーはくわえるのに大きすぎた)
3.トイレで小用を足す事ができる・(便座を下ろしたままで用が足せるだけ人間の男より始末がいい)
4.鳥を捕まえるのが得意。(殆ど猟犬状態)
という、珍しい猫で、近所でも結構有名人だった。アメリカに戻ることが決まったとき、よほどつれて帰ろうと思ったのだが、外を走り回らせていたスシを、アパートの中に閉じ込めるのはあまりにかわいそうで、結局かわいがってくれた,もと旦那の両親の家に引き取られることになった。
離婚が決まって、住んでいた家を売り、いざ明日はアメリカに発つぞ、という前夜。私はスシと別れるのがつらいので、米国での就職活動をいったん終えて荷物をまとめに北欧に戻ってきたときも、スシを預け先の義父母に引き取りにいかなかった。
がらんどうとした、ベッドルームで目が覚めると、ふと足元が重い。なんか黒いものが布団の上に乗っかっている。なんと、それは他の何ものでもないスシだった。義父母の家は10キロほど離れていて、車でも20分くらいかかるのに、一体どうやって戻ってきたのか。ドアも閉まっていたので、木をよじ登って二階の窓から入り込んだのだ。離婚争議の際、大して泣きもしなかった私だが、このときは本当にスシを抱いて大泣きしてしまった。
これこそ、猫版“母を訪ねて3千里。”ほろほろ。
それから、空港に向かうタクシーにスシを乗せて義父母の家まで、再度届けに言った。彼らも一昨日から姿が見えなくてすごく心配していたとのこと。
ああ、スシに会いたい!