彼女を採用してしばらくしてから変なことに気がついた。朝、何時までたっても出社しない。10時ぐらいになってのこのこ会社にでてくる。当然そんなことだから、みなが昼食をとるときには おなかがすいていない、といって、昼食を食べない。初出勤日から毎日昼食に誘ってもこの調子だから、周りも諦めた。3時か4時ごろになって、すべてほおりっぱなしにして、会社をでる。私は、比較的残業が多いほうなので、午後7時8時退社はざらだが、私が帰るころになってトレパンに着替えて会社に戻ってきたりする。
彼女には一通りのトレーニングコースを用意していたのだが、出社時刻がめちゃめちゃな上にちゃんと連絡を取らないから、アポミスの連続。私も心配になって「あなた、ちゃんと仕事まわってるの?研修も結構すっぽかしているようだし。それで業務に支障はないの?」と聞くと、「I have enough knowlege and expertise in this area, so that I can handle it on my own. No need to worry. (私は経験も知識も豊富だから自分で全部解決できるから心配しなくてもいいのよ。)」という。まあ、彼女には彼女なりの仕事のやり方があるんだろうから、あまりうるさく言うのはやめよう。どちらかというと、結果主義の私は細かいことにとやかく言わないタイプだ。
何なんだ、こいつは?
と思いつつも、不審な行動が続くのだが、仕事始めたばかりだから、あまりきついことをいうのはやめよう、と思い、この2ヶ月、我慢に我慢を重ねてきたが、こんどはスタッフや上司のCFOから苦情が出始めた。メイルで問い合わせをしても、返事がもらえない。会議に出席するといっておきながら、無断欠席して、あとで侘びの一言もない。同僚がトレーニングをしようとしても、集中力がなく、仕事はそっちのけで、私生活の話ばかりする。
さすがの私も、ここまで苦情を言われては、なにか行動をとらないといけない、と思っている矢先に、日本出向チームのプロマネから、過激な苦情のメイルが入ってきた。彼のチームは日本に出向して、一年のプロジェクトを終え、帰国準備をしなくてはならないのに、税務関連の質問をしても税務課長から質問をしてもなしのつぶて。
一ヶ月以上返事がないというではないか。
しょうがないので、彼女のオフィスに行って「I got a bunch of complains for your non responsiveness from the field. When can you respond? I do understand that you have been swamped lately but can you at least send them courtesy e-mails and let them know when you can adress the issues? (すごい苦情が来ているけど、何時頃になったら回答してあげられるの?あなたもいろいろ会って忙しいんだろうけど、何時までに回答します、くらいの礼儀上のメイルぐらい打ってくれない?なしのつぶてっていうのはまずいよ) というと、「I know, he is just a pest. But I should have sent a courtesy e-mail. I will look into it with in a couple of days」(このプロマネうるさいのよねー。でも、確かに言われるとおり、受け取りのメイルくらい打つべきでした。2,3日の間に必ず回答します。)という。 まあ、ちょっと心配だけど、任せて見守るしかないか。。。と思うまもなく、
3日後にまたなしのつぶてを訴えるプロマネから再度苦情。
さすがの私も、こみ上げる怒りを抑えきれない、とはいえ、頭ごなしにしかるわけにも行かないので、対策を考えようと、思索しているところに、コイツが飛んで火にいる夏の虫になって、私のオフィスに飛び込んできた。 「I need to go to London. There is an emergecy meeting which I need to attend. Can you approve my trip? (ロンドンで緊急会議があるので、出張許可が欲しい。)」というのだ。
は?
ロンドン?
緊急会議?
「ちょっと、落ち着いて話してくれる?そんな話、初めて聞くし、一体全体何の緊急なの?」と聞くと、しどろもどろになって何を言っているか解らない。ようやく落ち着いて、ロンドンで駐在員を集めて、現地の会計事務所が、駐在員に説明会行うから、参加を要請されたとのことである。それでも私は、何が緊急かわからないので、「それで、会議の具体的な内容はなんなの?何日に会議があるわけ」ときくと、「来週の水曜日。」という。「あなた、今日は火曜日よ。来週の水曜って言ったらすぐだから飛行機代すごく高くつくわよ。」というと、「土曜にでれば、まだ格安でいけるから」とのたまう。
あのな~。![]()
「あんた、まさか来週の水曜日の1,2時間の会議に出るために、ロンドンに出張しようって言うんじゃないでしょうね。」というと、「ロンドンのオフィスから月曜と火曜は仕事ができるから。それに格安の朝食つきのホテルも見つけたし!週末には電車でパリにいる友達にも会いにいけるから。」
私は正直言って切れました。
こいつ、
仕事を一体なんだと思っているんだあ~!
出張は観光旅行じゃないんだぞ~!
「あなたね、移籍したばかりで事情がわからないんだと思うけど、ロンドンのオフィスにはまだ全社ネットワークがしかれていないから、仕事するのは無理よ。そのうち出張のチャンスもあると思うけど、それはアナタがするべき仕事をして一応の評価を得てからの話。 そんなことより、2,3日内に回答するって言った日本プロジェクトのほうはどうなってるの?」
と、切れた血管をおさえながら聞くと、回答がない。
この馬鹿オンナ、大切な仕事そっちのけで、海外出張することしか頭になかったのだ。多分ネットでチケットやホテル探しで忙しく、仕事してる暇なんかなかったんだろう。 と思いながらも、一応確認のために、ロンドンにいるスタッフにメイルで質問をすると、「いや、緊急会議っていうより、会計事務所からうちのオフィスにきて説明会を開いてくれるだけのものだから。彼女には電話で参加するように言っておいたんですけど、何か問題ですか?」「いや、問題じゃないけど、彼女が実際に出席しないとまずいことはあるの?」「いや、電話参加で十分ですよ。」というではないか。
ばかおんな~!仕事は遊びじゃないんだぞ。
彼女を部屋に呼びつけて、出張の必要性がないことをとくとくと説明したが、この馬鹿女、挙句の果てには
「私イギリスの税務わからないんです。いい勉強だと思って。」
私はこれを聞いて脱力してしまった。
最初から解らないらないなら解らないっていえよ!
一から勉強しなきゃいけないヤツに何でスペシャリストの給与払わなくちゃいけないの?
コイツの代用ならいくらでも採用できる。とはいえ、買収がらみのことでもあるし、すぐに解雇するわけには行かない。
仕方がないので、コイツはしばらく国内財務と日系関係の仕事につけることにした。まさか日本語のにの字もわからないのに、日本に出張して税務を理解するなんてあほなことは言い出さないだろう。
つづく。