Drawing Man~10、苦しみ~
もう嫌だと、
何度思えば、この苦しみから逃れられるのだろう。
あの後、栗居さんと少し話をした。
初めて、彼女の気持ちを、言葉を、素直に聞くことが出来た。
いつもは、逃げてたから。人から、そして、自分から。
そして、春都に会いに行った。
「サト」
私に気づいた春都は、だるそうにベットから身体を起こしてこっちを向いた。
「具合、どう?」
「まだ微妙。風邪うつるよ」
「大丈夫。・・・ね、春都。春都は何でバレーを続けてるの?」
「何、急に。」
そう言った彼は具合が悪そうだった。
こんなときにする質問じゃないことはわかってる、でも・・・
「ねぇ、依世のこと・・・嫌い?」
「・・・サト?」
「答えて、春都。
最近、ううん、あの日以来、依世を見てない」
そう、あの日、一緒に帰ってドーナツを奢ってくれた日。
あの日以来彼は私の前に現れていない。
あの日の、あの辛そうな表情を見たのが最後だ。
私を好きだと言った、依世。
依世は春都の――――
「・・・なぁ」
「何?」
「お前って・・・その、好きなやつとか居るのか?」
「・・・好きって?」
「そう返すのか・・・」
「春都が栗居さんのことを想う気持ちの好き?
だったら・・・いるよ。
でも届かないや」
「それって、・・・いや、なんでもない」
あ、またこの顔。
心配で心配でたまらないって顔。
どうにかしたくて、
でもどうにもならないこと知ってて
だから、その心に蓋をして、自分からは聞きだそうとしない。
それは、人に強いることを嫌う、彼の優しさから来るものだってわかってる。
「春都は優しいね。でも、・・・ずるいよ」
―――貴方のソレは、同時に、人を酷く傷つける事だってあるんだよ、春都。
まだこんなに好きなのに、と静かに涙を流した彼女の気持ちが、
今、痛いくらいに私の心に響いた。
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