好きの意味 | Drawing Man

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気ままに書いた小説をあげています。

Drawing Man~7、好きの意味~




―――春都は、なんで杏と付き合ってるんだ?




ドーナツを食べた後、近くの公園でお礼にコーヒーを奢った。
何かするわけでもなくぼうっとベンチに座って
二人で、ただ、過ぎ行く時間を眺めてた。

だから依世の突然の会話に、彼が何を言っているのか理解するのに少し時間がかかった。

「・・・何、突然?
 知らないよ。春都に聞けばいいじゃない」
「さっちゃんのケチ」
「ケチじゃない。


 ・・・好き、だからでしょう?お互い。」

そう、言葉にしてみれば簡単。
お互いがお互いのことを好きだから。だから一緒にいる。

「なぁ、さっちゃんの言う“好き”ってどんなの?」
「は?好きは好きでしょ」
「いやいや、日本語の“好き”にはLikeからLoveまで全部含まれるんだから
 俺にはどの部分かわからない。日本語は難しいなぁ」

私は、彼が冗談を言ってで自分ををからかっているのだと思い、
「何言ってんの。生粋の日本人のくせして」と返した。でも―――



「―――だからだよ」



そうつぶやいた彼の表情は真剣だった。
こういう時の依世の口調は、普段の本人からは想像できないほど鋭い。




「日本語には、どんなに言葉を並べても完全には表現できない隠れた意味がある。
 でも、なんとなくだけど、同じ日本人にはわかるんだ。それが。
 
 だから確認とかしないけど、
 
 ほんとにみんな同じことを同じように感じてると思う?」



「じゃあ依世の言う“好き”って?」
「さっちゃんを思う気持ち」
「・・・からかってんの?」

「いや、本気。
 ・・・でも、俺の“好き”とさっちゃんの言う“好き”は
 違ってるのかもしれないなぁ。」

さっきの答えからすると、と依世は小さい声でぼそっとつぶやいた。

「意味わかんない」

私は恨めしそうに依せを見上げる。
でもこういうとき、決まって依世は答えをくれないのだ。

―――コレは“俺の答え”だから、さっちゃんにはあげられないよ。

とそう言って。




「春都は」




「きっと、“好き”の本当の意味を間違って覚えたんだろうな」



依世は、笑ってたけど、

その表情は今まで見たこと無いくらい、辛そうだった。



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