『ねぇ、今夜夜桜見に行かない?』

私から彼を誘った。



私は確かめたかった。



【会えば分かる】


そう直感していた。

電話で話す彼の経験や経歴は煌びやかで
心についても(言っている事が本当ならば)

なんて綺麗な人なんだろうと。


でも実際の言動からは
そういった物を感じられない。


自分の直感を確かめるためにも


早々に彼に会ってみたかった。



深夜0時。

桜が咲く細い緑道で
彼と待ち合わせる。


私は歩きながら向かう。


前方から彼のスマホの光が見える。



都内の夜は明るくて

深夜帯であっても
至近距離では
表情から何から

よく見える。



暗がりから現れた
彼を見て



私は衝撃を受けた...。





こんな人に
私の時間や心を費やしていたんだ。


一気に何かが引いていった。


彼の風貌 立ち居振る舞い
スタイル 表情etc...


彼自身で語っていた自分像と

あまりにもかけ離れている。


見た目だけの事を言ってるんじゃない。


私はその人のフォルムや立ち居振る舞い

または周波数的な物
分かりやすく言うとオーラから

その人のリアルを感じる。





...この人じゃない。




1秒でも早く離れたい。

こういう周波数の人といるの苦手。

どうやって理由つける?


体内で色んな声が交錯する。



そんな私に気づいていないのか?

それとも気づきながらも強引に自分の望む方向へ持っていこうとしてるのか?


閑静な住宅街を
何の配慮もない声量で

ひたすら自分語りを進めている。



私は自然と
夜の桜や緑道に咲く花に
意識が向く。


なんて綺麗なんだろう。


夜風に吹かれて
舞う桜
静かに根ざす緑達

彼らはこんなにも綺麗なのに...


隣を歩く その人は

私と全く違う意図を逸物に持ち

ひたすら雄の求愛の如く

自分の強さを無理やり誇示してくる。


これ以上時間を共にする必要はない。


『眠いから帰るね』

そう伝えると

途中まで一緒に帰ると言う。

理由をまたベラベラ話すけれど

私は

『そうなんだ』

と一言だけ返し

淡々と歩く。


そうして家路に着く頃には

私は

たかだか20分程度の事とは思えないほど
消耗し
床に倒れこんだまま寝入ってしまった。