俺は昔から、よくモテた。薄い茶色の髪や澄んだ緑の瞳を、綺麗だと褒められた。背も高い方だ。面倒見がよく、気も利く。俺が他人だったら、俺と付き合いたいくらいだ。
 誰もが、親切にしてくれる。慕っている。みんな、俺に惹かれずにはいられないのだ。
 ほら、今俺に視線を向けている彼も。俺が振り返ると、目をそらしてしまうけれど。
(ああ、好かれるって気持ちいい!)
 顔を上げた彼と目が合う。俺は優しく微笑み、ひらひらと手を振って見せた。

 ◆ ◆ ◆

 自分が好意を寄せられることには、すぐ気がつく。どんなに隠そうとも、言葉を交わし目を見つめるだけで分かってしまうのだ。
 彼も、そのうちの一人。
「あと、次のミッションなんですけど……」
 彼はそう言い、手に持っていた資料を忙しくめくる。頬は真っ赤、見ているこちらが恥ずかしいくらい。
(困ったなあ、こんなに好かれちゃって)
 俺はふっ、と不敵に笑う。彼がちら、とこちらを見た。
「……退屈ですか?」
「いや、真面目だなあと思ってさ。偉いな、おまえさん」
 アレルヤは眉を寄せ、唇を噛んだ。そして、次の瞬間に首をぶんぶんと振る。
(可愛いな、こいつ)
 今まで散々女の子と付き合ってきたが、こんなにいい反応は見たことがない。同じ男にここまで好かれるというのも、珍しいパターンだ。
 少しいたずらしてみようか。彼の長い前髪に触れる。彼はびくり、と肩を震わせた。怯えているように見える。俺はそのまま、彼の頭を撫でた。
「えっ、これって……?」
 彼は困惑した表情だ。しかし、嫌がってはいない。大人しく椅子に座ったまま。
「なあ、おまえさんって……」
 俺のことが好きなのか? そう問おうとした時、彼が声を上げた。
「スメラギさん!」
 彼の目線の先には、このクルーのリーダーとも言うべきスメラギ・李・ノリエガがいた。彼女はにこにこと笑い、アレルヤにウインクをする。
(なんだ、違うのか……)
 少し落胆する。彼が好きなのは俺だと思っていたのに。
「……さ、アレルヤ。さっさと会議を終わらせようぜ」
 まだスメラギに手を振っている彼の頭を、俺は軽く小突いた。