韓ドラファンであれば
多くの人が名を知る、
キム・スヒョンという人がいる。
私もまた、
キム・スヒョンの演じる役に
支えられた人間だ。
だからこそ、2025年に話題となった
キム・スヒョンのスキャンダルは衝撃だった。
2025年2月、
元交際相手とされる女優の死をめぐり、
世間はキム・スヒョンという存在を
激しく糾弾する空気に包まれた。
女優が未成年の時から交際していたのではないかという疑惑も浮上し、
彼のイメージは決定的に揺らぐことになった。
女優遺族とは係争が始まり、
キム・スヒョン側もそれに対応。
その影響は彼個人に留まらず、
彼の広告主など第三者も
彼に損害賠償を求めている。
2025年Disney+で配信予定だった、
キム・スヒョン主演の『ノックオフ』は
公開見送り。
Disney+は
慎重な検討の末、決めたとのこと。
SNS上では、主に彼のファンが
『ノックオフ』の公開を望む声を上げた。
その中には、彼の無実を主張する声も。
来る日も、来る日も、
キム・スヒョンの復帰を望んで
「待っている」と声を上げる人も
結構、目にする。
まるで、彼が人生の一部、
体の一部であるかのように。
そんな中で、
2025年の新作韓ドラには、
一時代を象徴してきた俳優たちが
次々と名前を連ねていた。
かつてキム・スヒョンと
『星から来たあなた』でW主演を果たした
チョン・ジヒョンや
同じくキム・スヒョンと
『ドリーム・ハイ』で共演した
ペ・スジ、IUに続き、
キム・ゴウン、ユナ、
カン・ハヌルといった
主演級の俳優たち。
かつてのドラマ界は、
「どれだけ豪華か」が
強く意識されたラインナップだったが、
2025年の韓ドラは、
キャストの豪華さがありながらも、
落ち着いて見えた。
それは、
スターをヒット作の看板とするドラマの売り出し方から、
スターをドラマ鑑賞のひとつの契機とする方法へと転換し、
脚本そのものを頭脳戦へと寄せていったからだ。
2025年の韓ドラは、
スターの年であり、
同時に「スターの使い方が変わった年」
だったのかもしれない。
『ノックオフ』は、
会社員の男(役キム・スヒョン)が、
アジア通貨危機で人生一変したことを機に、
「偽ブランド販売」を始めるドラマだ。
彼は、頭脳戦で市場を勝ち抜き、
やがて巨大市場を仕切っていく。
そして、それを取り締まろうとする、
会社員の元恋人(警察官)という存在がある。
この『ノックオフ』には、
私もこの上ない期待を寄せていた。
犯罪者が主役のドラマでは、
完全犯罪なるか否かという
謎解きを楽しめる。
大きな犯罪に成功するほど、
爽快感は大きい。
そして、それを
あのキム・スヒョンがやる。
『ノックオフ』は、
一大イベントとなるはずだった。
しかし、未だ非公開。
だからと言って、
『ノックオフ』への思いが
さっぱりなくなった訳じゃない。
生きていると大変なことがある。
目を背けたくなるようなことも。
ドラマにおける「謎解き」は、
だからこそ痛快なのだ。
私たちが手こずっている課題を、
あのキム・スヒョンが
彼の大切な仕事を賭けて
手伝ってくれるはずだった。
でも、彼は係争中。
私個人は、
スキャンダルの内容について
ここで言及はしないし、
彼を擁護するつもりもない。
それでも、私はまだ
彼の手によるカタルシスを
味わっていないと感じている。
スキャンダルによって
せき止められたカタルシスは、
空中分解しそうでありながら、
ちゃんと消えきることもない。
その思いをどう呼べば良いのか、
もはや知らない。