アンナチュラル ~ 大切な人を亡くした遺族のため、不自然死の遺体の死因を究明する監察医とその仲間たちの物語~

 

 

 アンナチュラルは、TBS系列の金10時枠で2018年1月期に放映されました。

 脚本は、『重版出来』や『空飛ぶ広報室』等の名作ドラマを手掛けた野木亜紀子さんのオリジナル作品です。

 

 この作品では、日本において、解剖にかける予算不足のため不自然死(Unnatural Death)の8割が解剖されず荼毘にふされているという現状を受け、法医解剖医たちや臨床検査技師、及びその関係者が勤務する架空の公益財団法人UDIラボ(Unnatural Death Investigation Lab)で勤務する人々が、葛藤しながら毎回様々な「死」因を追求し解明していく過程を描くドラマです。

 

 受賞歴を見ても分かる通り、法医学関連のドラマで、これほど評価された作品はないと言っていいでしょう。

 

 

 臨床医と比べて、死者を扱う監察医や法医解剖医は地味ですし、誰かの生命を救うことはできないのですが、死因を解明する事で、死者の名誉が守られたり、魂が救われたりする事があることを、私自身が知ることができました。

 

 さらに、事件性がある遺体の解剖を実施することによって、本当の「悪意」や「狂気」を暴き出し、法的に犯罪者を罰する事でしか、遺族の報復や復讐を阻止し、本当の意味で遺族の心と人生を救う術がない事も思い知らされました。

 

 それと共に、家族や大切な人に対する想いや絆は死して体が消えても、残るものだという事を再確認させて貰った気がします。

 

 遺体が毎回登場するので、生理的に受け付けない方もいるかもしれません。

 ただ、それを鑑みても、人生を変えてしまうくらいの気付きと熱量があるドラマだと言えます。

 

 人生にモヤモヤや怒りを感じている人が観ると、何かが変わるきっかけになると過言ではないでしょう。

 

 

【あらすじ】

  

 主人公・三澄ミコトは、UDIラボで働く法医解剖医。

 小学生の頃、夫との不仲に悩んだ母親にラムネに模した睡眠薬を飲まされ、一家心中を図られるが、1人だけそれを吐き出した為に命拾いしたという過去を持つ。旧名は雨宮美琴だが、亡き父の妹である叔母・三澄夏代とその夫に引き取られ、三澄ミコトと改名して育てられた。

 

 UDIラボは所長・神倉保夫を筆頭に、ベテラン解剖医・中堂 系と中堅解剖医であるミコト、臨床検査技師・東海林夕子と坂本誠らの2チームで忙しく勤務している。
 中堂は解剖医としては優秀だが短気で”クソ”等の暴言が多く、坂本は中堂の暴言に始終さらされており、不満を抱えながら勤務している。

 

 ある日、我慢できなくなった坂本が、もうパワハラに耐えられない、と辞職願を出してしまう。

 

 困って頭を抱える神倉は、仕方なく求人広告を出すが、薄給で待遇の悪い3Kならぬ7KのSDIラボに、そう簡単に応募者が来るわけないと、皆半ばあきらめていた。

 

 ところが、ある日久部六郎という、休学中の医学部生がバイトとして記録係に応募してきた。

 人当たりもよく大人しい六郎だが、彼はある事件の真相を暴く目的でUDIラボを探る為に出版社から派遣されたスパイであった。

 


 

 

 【登場人物】

 

 三澄ミコト(33)    石原さとみ

 中堂 系(41)     井浦 新

 久部六郎(26)     窪田正孝

 東海林夕子(35)    市川実日子

 坂元 誠(50)     飯尾和樹(ずん)

 神倉保夫(55)     松重 豊

 

 木林南雲(28)     竜星 涼

 末次康介(45)     池田鉄洋

 三澄夏代(53)     薬師丸ひろ子

 三澄鉄彦(25)     小笠原 海

 

 宍戸理一(43)     北村有起哉

 糀谷夕希子(33没)   橋本真美

 

 

 【主題歌】

 Lemon 米津玄師

 

 このドラマの為に米津氏が書き下ろした、神曲ともいえる作品。

米津氏は、ドラマ・プロデューサーから主題歌のオファーが来た時、『傷ついた人を優しく包み込むような曲』と言われ、ツアー中に曲を作り始めたそうです。

 その後、ドラマの作りかけ動画を見せて貰い、イメージが出来上がり作曲を進めていき、当初できた試写会用の曲は1話の撮影中に仕上げる事ができたそうです。

 

 ところがその直後にお祖父さんが亡くなってしまい、肉親の死を初めて体験し、「果たして自分は人間の死というものを見つめることができていたのだろうか」と思い悩み、曲を直す決心をしたのだそう。

 そのため、第1話の試写会用のMA(注※映像に効果音や音楽、ナレーションなどを加えたもの)は、実際にオンエアされた第1話とサビがちょっと変わっているらしいです。

 

 ドラマ・プロデューサーは、大切な人を失った嘆き・悲しみだけではなく、希望さえも描いてくれた曲と述べています。

 

 

 【受賞歴】

 

 ・第55回ギャラクシー賞   テレビ部門 優秀賞

 ・第11回コンフィデンスアワード・ドラマ賞(2018・1月期)

   作品賞

   主演女優賞

   助演男優賞

   脚本賞

 ・コンフィデンスアワード・ドラマ賞 年間大賞2018

   主演女優賞

   脚本賞

 ・第21回日刊スポーツ・ドラマグランプリ

   主演女優賞

 ・96回ザ・テレビジョン ドラマアカデミー賞

   最優秀作品賞

   主演女優賞

   助演男優賞

   ドラマ・ソング賞

   脚本賞

   監督賞

 ・第44回放送文化基金賞

   テレビドラマ番組   最優秀賞

   脚本賞

 ・東京ドラマ・アワード

   作品優秀賞

   主演女優賞

   脚本賞

   演出賞

   主題歌賞

 ・平成30年度 芸術選奨 文部科学大臣新人賞

   脚本 野木亜希子

 ・第7回 市川森一脚本賞

 

 

 次回から各回のあらすじとドラマ感想をネタバレ付きで書いていきます。