恋がしたい恋がしたい第8話・後半 やりがいのある仕事を探し始めた藍と仕事へのモチベーションが下がって来た涼介。 時間ができた二人はあちこち出かけて楽しもうとするが……夕雨子と渉が補導された事で、織江と渉は警察署で再会してしまう。

 

 一郎と牛丼屋で会った涼介が帰宅すると、もっとやりがいのある仕事を探すため、エステティシャンを辞めた藍が家にいてびっくりします。

 

 せっかく自由な時間ができたんだから、自分の夏休みが終わる前に二人でどこか行こうと涼介が提案し、二人っきりでドライブに出る事に。

 (涼介は一郎と牛丼屋で会った事を言うか否か迷いますが、結局告げない事にします。)

 

 

 藍の行きたいところをあちこち巡りますが、お店が閉店になっていたり、シェフが変わってパフェの味が劣化していたり、天気が悪くて良い景色が台無しになったりと、ことごとく残念な結果になり、表情が沈んでいく藍。

 

 

 なんとか雰囲気を盛り上げようと話をする涼介ですが、藍の表情がどんどん曇っていくのを見て、涼介は全て一郎と来た楽しい想い出のある場所だと気付いてしまいます。

 

 そして思わず、”君が俺の前で心から笑ったのを見た事がない”と呟いてしまうのです。

 

 藍が「そんなことないよ、楽しんでるよ」と作り笑いを浮かべても

 

 

 「だったら、俺のこと本当に好きって言えるかよ!」

 

 

 と、今まで我慢してきた気持ちが爆発してしまう涼介なのでした。

 

 

 ごめん、この話やめよう、と藍を追い詰める事を言った涼介は謝り、白けたムードの中二人は帰宅の途につきます。

 

 

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 その頃、蜜柑は久しぶりに文平の牛丼屋に行き、合鍵を使って部屋に侵入していたことが藍にバレてしまい、もう二人に合わせる顔がなくなったと報告していました。

 

 

 禁酒していたビールを注文し、”もう完全に諦めました”と開き直る蜜柑。

 

 

 文平は心配そうに蜜柑を見ながら、自分のパン屋の夢も資金面で厳しい、と愚痴をこぼします…。

 (結局、二人とも飲んで酔っぱらってしまう)

 

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 渉と夕雨子は夜の街をふらついているうちに、ラブホテル街に来てしまっていました。

 

 夕雨子はそれまで緊張と興奮もあってテンションMaxで、渉の気を引くため一方的に話しかけていたのですが、心ここにあらずの渉は、”うん、そうだね”などと気のない返事で場をつないでいたため、しっかりした絆を結びたくなった夕雨子は、渉を誘うそぶりを見せます。

 

 

 女の子に恥をかかせないよう、渉は夕雨子と共にホテルの門をくぐろうとしますが、その瞬間、

 

 

 「君たち、高校生だよね?!」

 

 と補導員に呼び止められてしまいます。

 

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 酔った蜜柑と文平は、気が付くと涼介と藍の愛の巣であるマンションの前に立っており、酒癖の悪い蜜柑と文平は、二人の部屋番号をピンポンダッシュしたり、愚痴で盛り上がっていきます。

 

 (蜜柑は、おまえらなんか上手くいくわけないだろー、とヤジを飛ばし、文平は、俺よりいい所に住みやがってえ、と悪乗りしながらも、蜜柑が、でも涼介が大好きだ、と呟くのを聞いて、自分の片想いを告白しようとします)

 

 

 ところが、その時ちょうど涼介と藍を乗せた車が戻って来て、同時に文平の電話が鳴り、渉と夕雨子が警察に補導されたという連絡が入ります。

 

 文平と涼介は急いで警察署に向かうのでした。

 

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 文平、涼介、そして織江が補導されている2人を引き取りに警察署に到着すると、3人はそれぞれ渉と夕雨子が保護されている部屋に案内されます。

 

 そこで織江は、自分の娘が渉のデート相手だった事を知り、愕然とするのです。

 

 

 渉も織江を見て驚愕し、奇縁を呪うと共に、自分がホテルに誘いました、と嘘をついて自らが悪者になる事で収束させる事にします。

 

 

 保護者が揃ったこと、二人が初補導であることが幸いし、警察官からお説教をされただけで渉と夕雨子は解放されます。

 

 

 渉は夕雨子が涼介の車に乗っている事を確認しながら、織江に自分が夕雨子に何もやましい事はしていない事を告白します。

 

 「分かってる」と言った織江に、渉は続けてプラシーボ効果って知ってますか、と言葉を投げかけます

 

 

 重い病気の人に特効薬と言ってビタミン剤等のプラシーボ(偽薬)を飲ませると、治るかもしれないという希望が湧く事でエンドロフィンという鎮痛効果のある薬効成分が分泌され、一時的に元気になる、と。

 

 

 そして、織江と電話で話していると元気が出るというか……楽しかった、と打ち明けます。

(一方的な妄想だったかもしれないけど、確実に恋をしていた?)

 

 

 織江は、真摯な渉の告白を聞いて、少しだけ救われた気持ちになるのでした。

 

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 一方、涼介の車で夕雨子が母親を待っているあいだ、学校には報告しないでおくから、今後は高校生らしい慎重な交際をした方が……と涼介が紋切り型の説教を始めた事で、夕雨子は涼介の話を拒絶してしまうのです。

 

 

 「そんな事しか言えないの‼? 告白するの諦めそうになった時、

 

 先生が応援してくれたの、本当はとても嬉しかったんだよ‼」

 

 

 そういって夕雨子は車を飛び出したため、織江は涼介に会釈すると、急いで夕雨子の後を追うのでした。

 

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 渉を家まで送って行った文平は、”二度と渉に会わない、って約束したでしょ!”元妻に嫌みを言われますが、

 

 意を決して「牛丼屋辞めるから……自分のしたい事やるから。」

 

 と、二人に宣言してその場を去ります。

 

 

 同じころ、涼介のマンションでは、酔って残された蜜柑がソファで横になっていました。

 (文平と同じく、蜜柑も酒が入ると人格が大胆になる性格らしい)

 

 

 酔いが醒め、涼介のマンションにいる事を自覚した蜜柑は、度重なる失態を謝り急いで部屋を後にしようとしますが、

 

 ”合鍵の件は涼介には何も話してないから、これからも友達みたいに付き合っていこう”、と藍から上から目線で言われて切れてしまいますそして、

 

 

 「心の中で笑ってるんだ…私と涼介さんが釣り合う訳ないって……。

 

 藍さんは勝手です‼ どうして、まだ涼介さんと結婚しないんですか?

 

 あの作家の人があんなことになったから? まだ、揺れてるんですか?

 

 涼介さん、きっと今ものすごく不安だと思う…。

 

  ー(途中略)

 

 早く涼介さんと結婚して、涼介さんを幸せにしてあげて下さい」

 

 

 と言って、いたたまれずに部屋を出るのでした。

 

 

 

 蜜柑の自宅では、蜜柑の母・春江がちゃぶ台で突っ伏していました。

 

 

 「また、そんなとこで、寝てるー!」

 

 

と、母親が只うたた寝していると思った蜜柑は、春江に声をかけ揺り起こそうとしますが、春江は意識がなく床に倒れてしまいます。

 

 

 お母さん!お母さん、と叫びながら、蜜柑は、能天気に彼氏を作って生きていると思っていた春江が、実はそうではなかった事に初めて気付いたのでした。

 

 

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 夕雨子が帰宅した黄田家では、雪夫が織江を責め立てていました。

 

 

 「どうせ、毎日毎日プラプラしてるんだから、子どもの面倒くらいちゃんと見ろよ‼」

 

 夕方のホテルの光景のショックがまだ冷めやらない織江は、とうとう堪忍袋の緒が切れてしまい、

 

 「じゃあ、別れましょ‼」

 

 と、叫んでしまいます。

 

 は?とキョトンとした雪夫を尻目に、睨みながら

 

 「私、出ていきます」

 

 と言って、玄関でサンダルを履いたまま外に出る織江。

 

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 その頃、涼介は、夕雨子に拒絶され落ち込んでいた心を落ち着ける為、学校のプールで無心に泳いでいました。

 

 すると、帰りが遅い事を心配した藍からの電話が鳴ります。

 

 

 藍は、蜜柑に的を射た発言で責められ、涼介の気持ちを真剣に受け止めていなかった事に自己嫌悪になっていました。

 

 涼介は、男として女性に選んで貰えない不甲斐なさ、教師としても生徒に拒否された事で、自己嫌悪になっていました。

 

 「どうかした?」

 

 と藍の声を聴いた涼介は、自分が教師として中途半端で、ただのお節介野郎になっていることに自信を無くしたと正直に答えます。藍はそれを聞いて、

 

 

 「涼介のそういう所、好きだよ……。

 

 教師として中途半端かもしれないけど、私はそんな涼介が好きだ……。大好きだ‼」

 

 と初めて、涼介に好きだと告げるのでした。

 

 

 感極まった涼介は、藍の”早く帰って来て”、の言葉に頷くと、家路を急ぎます。

 

 

 ところが、車を止め部屋に戻ろうとして涼介は、マンションの玄関で思いも寄らない人物に出くわします。

 

 

 元婚約者・黒木レイ子が、そこに立っていました。

 

 

 「レイ子!どうして……」

 

 

 と驚く涼介を見たレイ子は反射的に、逃げ出します。

 

 婚約を一方的に解消され、今まで、会いたくても会えなかったレイ子の後を、思わず涼介は追いかけます。

 

 第8話おわり

 

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 最初、この後半部分を観た時、なんで今頃、黒木レイ子が涼介の前に出て来たのか、実は良く分かっていませんでした。

 

 

 このブログを書くにあたって、何回か観直した結果、今話では藍が担当した下記のナレーション部分が、この物語の大きなバックボーンになっている事に気づきました。

 

 

 

 希望を無くした人は、どうやって生きてゆけばいいんだろう  

 

 希望がなくても、自分の事を愛してくれる人が傍にいてくれれば、それでいいんだろうか…

 

 恋をするだけで、本当に人は生きる希望を見つけられるんだろうか

 

 辛くて苦しい現実に耐え、生き続ける力を生むのは、未来への希望だけだ。

 

 

 ……だから今日も私たちは、希望を探しに街に出る。

 

 

 恋する事に依存する事で、私たちはともすれば、自身の面倒な課題から逃げていないだろうか……と脚本家・遊川氏が私たちに問いかけているような気がしました。

 

 

 人生を変えるドラマ54に続く