恋がしたい恋がしたい恋がしたい⑥ 第5話 一朗を諦め、涼介と正式に付き合い始めた藍。蜜柑は、涼介の家に忍び込んでいる事が文平にバレてしまう

 

 蜜柑が勝手に合鍵で涼介の部屋に忍び込んでいた時に、涼介が部屋に戻ってきて、急いで寝室に隠れた蜜柑。

 

 涼介が寝室に入ろうとしてドアを開けた時、万事休す、と蜜柑が身を隠していたら、運よく涼介の携帯電話が鳴ります。

 

 

 藍から、「さっきは本当にごめん…。話があるんだけど…本当に自分勝手だと思うけど、今から会えるかな…?」

 

 

 と謝られた涼介は、戸惑いながらも呼び出された牛丼屋に向かうため、急いで部屋を出ます。

 

 

 住居不法侵入の発覚を逃れた蜜柑は、急いで涼介の部屋を出ようとします。

 

 

 合鍵を見つめながら、葛藤する蜜柑ですが、結局鍵を持ったまま涼介が向かった牛丼屋に向かいます。

(お礼の青いライターだけは、涼介の机の上に置いていきます)

 

 

 涼介が牛丼屋に来るまで、藍は一郎の嫌な所(下記参照)を書き綴りながら、一郎への想いを振り切ろうとしていました。

 

 

 自分勝手

 ナルシスト

 ただの女好き

 約束を守らない

 うそつき

 絶対本心を人に見せない

 誰にも言えない秘密を持っている?

 

 

 (ここまで書いた所で涼介が来てしまったので、これ以上の欠点は書いていないのですが、一郎が充分ヤバい奴という事がわかります。というより、ここまで分かっててまだ藍が一郎を好きでいられるのが凄い…)

 

 

 藍は駆けつけた涼介に、一郎の事は完全に諦めた。まだ自分と付き合う気あるかな? と聞きます。

 

 

 涼介は、藍の気持ちが半信半疑で即答できませんが、藍が それとも、もう私の事なんて嫌いになった?の言葉には

 

 そんなこと、ないよ…ない。と答えます。

 

 

 藍が、涼介の返事を身を固くして待っていると、涼介は自分の手を藍の手の方に近づけていきます。

 

 藍の手が涼介の手に触れ、強く握り合います。

 

 

 店の奥から二人を見つめていた文平の顔色が変わると、反対側の店の外には二人が手を握り合っているのを、蜜柑が悲しみの籠った表情で見つめ、目に涙を溜めながら立ち尽くしているのでした。

 

 (文平も、蜜柑の気持ちが痛いほど分かって辛そう…)

 

 

 その場を離れた蜜柑は、近くにあったコンビニのゴミ箱に衝動的に涼介の鍵を捨ててしまいますが、すぐ後悔して、一旦捨てた鍵を取り戻すのでした…。

 

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 織江は、2週間後に会う自称30歳のデザイナー・渉(実際は娘と同級生の高2生)の事を考えながら、必死にダイエットに勤しんでいます。

 

 しかし、自分の娘・夕雨子が誰かにラブレターを書いている事を知り、娘が成長した事を嬉しいと感じる反面、自分がもう若くなく時間が過ぎる事を焦るようになっている事に複雑な気持ちになってしまうのでした…。

 

 

 自分のこれまでの人生が幸せであったのだと、自分の生き方は間違っていなかったと、誰かに言って欲しい…と思う織江。

 

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 涼介たちが正式に付き合い始めた事で、蜜柑は激しく落ち込みますが、心配している母・春江(白川由美)に対して、

 

 「次泣くときは、嬉しい時って決めてるんだから。絶対にそうするんだから…」

 

 

 と、自分の決意を新たに言葉にして、心配している母親を安心させるのでした。

 (大胆だけど一人ではいられない藍と違い、臆病ながらも蜜柑の芯の強さが伝わってきます)

 

 

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  藍と同棲を始めた事で、涼介は学校での勤務に対してもモチベーションが上がります。(ウザいくらいに元気)

 

 

 水泳部の練習中、織江の娘・夕雨子が元気がないのをプールサイドで見つけ、声掛けしますが、どうも片想いの相手がいる様子。

 

 (なんと2週間後に織江と待ち合わせしている渉が、織江の娘の片想いの相手のようです! 年の差こそあれ、親子で同じ男が気になっているのは、DNAが為せる現象を描きたい?)

 

 

 お節介にも涼介は、嫌がる夕雨子を連れて、片想いの相手・渉が通う予備校へ行き、渉に君の事を好きな女子生徒がいるんだけど、と声を掛けます。

 

 

 織江と会えることを指折り数えて楽しみにしている渉は、知らない女の子からのアプローチに完全に無関心で、今誰とも付き合う気ないです、と即答で断ります。

 (冷たい対応のようですが、このドラマで一番誠実なのは、この純粋な高校生なのかもしれません)

 

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 その後、涼介は藍と食事の約束をしたレストランに行く際に、レストランが入っているホテル(蜜柑の勤務先)の入り口付近で蜜柑と偶然会います。

 

 

 自分が置いて行ったライターを使おうとするも、火のつけ方が分からない涼介に、蜜柑はお客さんが同じのを持っていて使い方を知っている事にし、火のつけ方を教えてあげます。

 

 

 有難うと感謝する涼介の笑顔を見て、微笑む蜜柑。

 

 

 藍も待ち合わせ場所に現れ、蜜柑も一緒に食事した方が大勢で楽しいよ、と誘いますが、デートだという事が明白だったため、他に予定があって…と嘘をつき、蜜柑は家路を急ぎます。

 

(只の外食モードだった藍と、完全にデートモードだった涼介との気持ちの温度差を感じます…)

 

 

 蜜柑は、当初帰宅しようとしますが、涼介の部屋に行きたくなり、予定を変更して向かいます。

 (二人がホテルで食事している間は間違いなく部屋が無人だから、安心して行けると考えた?)

 

 

 途中蜜柑が牛丼屋の前を通った際に、勤務が終わった文平に姿を見られ、気になった文平は蜜柑を追いかけ、涼介のマンションに1人で入っていくのを見て驚きます。

(最初は半信半疑だったが、赤井という郵便受けを発見して、忍び込んだことを確信します)

 

 

 再度部屋に入った蜜柑は、部屋が散らかっているのを見て2人が同棲しているのを見せつけられ悲しくなりますが、うっかりテーブルのマグカップを落として部屋を汚してしまい、急いで床を拭きます。

 

 

 そうしているうちに、部屋を片づけたくなって、散らかっていたリビングをピカピカにして、満足感に浸るのでした。(ホテルマンのルームサービスで養った能力を最大限に発揮)

 

 

 一方、ホテルのレストランでは、涼介が藍に気を使いすぎながら、あれもこれも勝手に注文して、ゆったり食事したい藍を呆れさせます。

 

 

 「レイ子さんと一緒の時も、こんな感じで食事してたの?」と暗に呆れている事を藍は伝えますが、鈍感な涼介はその言葉の真意をくみ取れません。

(学校の先生あるある。構いすぎ、指示過剰で、女性をおしゃれにエスコートできない一郎とは真逆の男性に見えます)

 

 

 食事をしながら、藍はレイ子さんのどこが好きだったのか、そもそも自分のどこを好きになったのか尋ねます。

 

 

 藍に好きになった理由を聞かれて、返答に窮する涼介。

 

 

 そうしているうちに、藍の携帯電話がなり、画面には非通知の文字が。

 

 

 相手に心当たりがある藍は、電話を取るのを躊躇いますが、涼介に、出なよ、と言われ、通話ボタンを押します。

 

 

すると

 

 

「彼が、今付き合ってる人? 何処かで見た事あるよね?」

 

と聞き覚えのある声がします。

 

 驚いて周りを見回すと、レストランの奥の席に一郎が見たことのない女性と食事をしていました。

 

 

 相変わらず女連れの一郎を見て動揺した藍は、あなたに関係ないでしょう!そんな事、と言い切って

 

 

 「彼、凄く優しくて、私いま凄く幸せなの。だからほっといてくれない!?」

 

 と捨て台詞を残して話を切りあげようとします。

 

 

 一郎も、フーン良かったね、と冷めた言い方をして二人の会話は終わります。

 

 

 気まずくなった、空気を変えるため、涼介はこの間ドライブした時の写真を渡したいから、蜜柑ちゃんと文平さん達を家に招待しよう、と藍に提案します。

 

 

 そして、蜜柑に誘いの電話をかけるのです。

 

 

 綺麗になった涼介の部屋で、悦に入っていた蜜柑は、涼介から電話がかかってきて、しかも帰宅途中の車の中にいると聞いて驚きます。

 

 そのため返事も適当に、はい大丈夫ですと返事して、脱兎のごとく部屋を抜け出します。

 

 

 マンションの下で蜜柑を待っていた文平は、帰って来た涼介と藍をみて焦ります(💦)が、なんとか蜜柑の姿を見られないように2人の視界を逸らす事に成功し、休日に涼介の家にいく約束を交わします。

 

 

 

 その週末、文平と蜜柑は約束通り涼介の家に行き、4人は久しぶりに集まって食事を共にします。

 

 

 料理の苦手な藍に代わって、ちらしずしや空揚げなど、色々な料理を率先して作る蜜柑。

 

 

 藍は料理苦手みたいで…、蜜柑ちゃんはきっと良いお嫁さんになるね、と褒める涼介に、不貞腐れる藍。

 

 

 「でも、片づけは結構うまくて、この間も自分が留守の間に綺麗にしてくれたんですよ」

 

 

 と涼介はフォローしますが、正直な藍は、そんな事してない(実際は忍び込んだ蜜柑が勝手に片づけた)、と涼介の話に異議を唱えます。

 

 

 片づけについて事情を知っている文平は、話がこじれないよう見たいテレビがあると嘘をついて、会話の流れを変えます。

 

 

 テレビをつけると一郎の看板番組「男の敵」を放送していました。

 (文平は、一郎の事を、キザだが発言に一理ある男、という評価をしています)

 

 

人はなぜ恋愛をしたがるのか?というテーマで、一郎は「人はひとりでは寂しいからです」と答えます。

 

 

 でも、寂しい寂しいと言っている人は、モテません。と断言する一郎。

 

 

 寂しさなんか関係なく、毎日充実した人生を送っている人こそ、モテると言います。

 

 

 「寂しさを誰かの甘えで埋めようとしないで、一度、寂しさと向き合ってみたらいかがですか?」

 

 

 と一郎に言われて、4人は自分に言われたように感じてしまいます。

 

 

 それからほろ酔い状態になった藍は、身の上の打ち明け話を提案します。

 

 テーマは、今まで人生で一番楽しかった(嬉しかった)ことと、一番悲しかったこと。

 

 

 藍は、一番楽しかったのは、好きな人と色々な場所に遊びにいったこと

 一番悲しかったのは、その好きな人に振られたこと

 

 

 蜜柑は、一番楽しかったのは、友だちとカラオケ行ったりお食事したりしたこと

 一番悲しかったのは、父親がいなかったこと

 (以前文平は、蜜柑の母・春江が未婚で蜜柑を産んだことを聞かされていました)

 自分の子どもにだけは、同じ想いをさせたくない、と皆に向けて強く話す蜜柑。

 

 

 涼介は、一番楽しかったのは、特にないな…と流します。

 一番悲しかったのは、母親が高校生の時に亡くなってしまったこと

 

 

 反抗期で、少しも母親に優しくしたことがないまま、母が死んだ事を後悔する涼介…

 

 

 文平は、一番悲しかったのは、離婚して自分の子どもと一緒に暮らせなくなったこと

 一番楽しい(嬉しかった)のは、生まれた我が子が一番最初にしゃべった言葉が「パパ」という言葉だったこと

 

 

 「幸せすぎて、死んでもいい、って思ったな…」としみじみ過去を振り返る文平に、皆しんみりするのでした。

 

 

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 同じころ、渉と織江も電話で同じような話をしていました。

 

 織江はうっかり口が滑って、一番嬉しかったのは、主人(!)にプロポーズされた時と答えてしまい、バツ1であると更に嘘の経歴を付け加える事に…

 

 

 渉は、一番楽しかったのは両親と遊園地に行ったこと。ワガママ聞いてくれて、とても幸せな思い出だったといいます。

 

 

 しかし一番悲しかったのは、その後で両親から離婚する、と告げられ、どんなに考え直してと頼んでも聞いて貰えなかった事と答えます。

 

 

 一番楽しかった事と一番悲しかった事が同じ日なんです…と告白する渉は、自分を客観視できる成熟した大人のように見えました。

 

 

 

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 その後、蜜柑と文平は帰りぎわ、蜜柑をタクシー乗せる際にちょっと話をします。

 

 

 隙あらば、ラブホにでも連れ込もうとしたでしょ?と悪酔いする蜜柑に、文平は部屋に忍び込んで掃除をしたのが蜜柑だと知っていると告げます。そして、

 

 

 「赤井先生(涼介)の事が好きなら、告白した方がいいんじゃないかな。

 

 あなたが告白できないのは、振られるのが怖いからだ。

 

 そうやってフラれるのが怖いから告白しないでいると、一生片想いしかできないですよ。」

 

 

 と、文平にしては、珍しくはっきりと蜜柑に忠告するのです。

 

 

 図星をさされた蜜柑は、

 

 「告白するから…絶対告白してやるんだから。 

 

 あなただって、そんなに息子に会いたいなら、会いに行けばいいでしょ!」

 

 と切り返しますが、お互い、痛い所を突かれて、後日の行動に影響するのでした…。

 

 

 

 

 深夜、金魚に餌をあげながら、涼介は自分が本当にレイ子の事を好きだったのか分からなくなったと自問自答します。

 (藍のおかげで、こうあるべき、という型ではなく、自分の本音と向き合う必要性が出て来た事を自覚し始めます)

 

 ただ、わかっているのは、藍が自分の事を本当は愛していない、ってことだと涼介は告白するのです。

 

 

 寝たふりをして、それをベッドで聞いている藍の哀しい表情…。

 

 

 

 

 そして、数日後。

 

 蜜柑は文平に言われた通り、涼介に告白する為に電話で呼び出します。

 

 文平も、渉に会いに元妻の再婚相手の家に向かいます。

 

 渉は、織江との待ち合わせの場所に行く準備をします。

 

 

 藍が仕事を終えて帰ろうとすると、出口で一郎が待っていて

 

 「助けて欲しいんだ」と声をかけます。

 

 

 表参道近くの待ち合わせ場所で、涼介が蜜柑を待っています。

 

 蜜柑が涼介を見つけ、涼介の方に駆け寄っていきます… (5話おわり)

 

 

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 一郎のいう事は、真理をついていて胸に突き刺さります。

 

 狡くて、我儘でナルシストっぽい一郎ですが、恐らく彼は誰よりも自身自身に向けて、発言しているのだと思いました。

 (というより、脚本家の代弁者として、一郎はこのドラマで機能しています)

 

 個人的に心に残ったセリフはこの回沢山あるのですが、特に

 

 

 年齢の近い織江の、これまでの自分の人生を肯定して欲しい、という語りかけと、

 

 

 一郎の、寂しさを誰かへの甘えで埋めてしまおうとしないで、寂しさに向き合って見ませんか、という重い言葉です。

 

 

  そして、涼介が自分に問いかける、自分は本当にレイ子の事が好きだったのか、藍のどこを好きになったのか、という疑問。

 

 人を好きになる、という事の意味をこのドラマは問いかけているのかもしれないと感じたのでした。

 

 そして、自分は本当に人を好きになった事があるんだろうか? と、 藍の出現でわからなくなってしまった涼介の心の動きが、今後のこのドラマの軸になるのかと感じました。

 

 

 さすが遊川氏の脚本。

 

 惚れた腫れたの様な恋愛話だけではない、哲学的なテーマがどんどん炙り出されていきます。

 

 

 人生を変えたドラマ㊾に続く