恋がしたい恋がしたい恋がしたい③  第2話  恋人に拒絶され、改めて自分の生き方を模索する藍や涼介と、恋する気持ちに歯止めが利かなくなる蜜柑

 

 蜜柑は、ようやく涼介の自宅を突き止め、涼介に声をかけ、靴を貰ったお礼を言いたくて探していた旨を伝え、袋に入っていたメッセージカードを大切な物だろうと思い、涼介に返します。

 

 

 空港でレイ子に完全に拒絶されショックから立ち直っていない涼介は、何の感慨もなくそれを受け取り、もうフラれたので靴の事は全然気にしなくていいですよ、と蜜柑に告げます。

 

 

 涼介に淡々と対応されたものの、付き合っている人がいないフリーの状態である事を知った蜜柑は、喜んでしまいます。(それが、女性不信気味の涼介の警戒心を高めてしまうのですが…)

 

 

  その後、蜜柑は母親・春江(白川由美)に勧められて、半強制的にエステに行く事になり、そこで藍と再会します。

(藍は蜜柑と牛丼屋で会った事を覚えていません)

 

 そこで蜜柑は、昔付き合っていた男から、ストレスで太った女は連れて歩けないと言われてフラれた事、性格も素性も分からない人に恋をしてしまった事など、恋の悩みを相談します。

 藍は直観で選んだからといって、駄目とは限らない、と自分の直観を信じてもいいんじゃないかなと、蜜柑を励まします。

 

 

 涼介は、コレクトコールでパリのレイ子から電話を受け、パリで子どもの頃からの夢だったモデルになりたいから結婚できない、涼介にプロポーズされて自分の生き方について真剣に考える事ができた。

 

 鍵を返す時にカードにありがとうと書いたのはそういう意味ですと一方的に宣言され、完全に振られてしまいます。

 

 

 もうすぐ30歳になる婚約者のそんな荒唐無稽・夢物語的な理由で、結婚式直前に振られ婚約を解消する事が、プライドが邪魔して納得できない涼介は、どんどん式が近づくにも関らず、キャンセルする勇気もなく、ダラダラと時間が過ぎていきます。

 

 

 そして夜の街をフラフラしている時に、客引きに「パリコレ」という名前のキャバクラへ勧誘され、車で来たにも関らず店に入ってしまいます。

 

 

 するとそこには、昨日空港で喧嘩別れした藍がキャバ嬢をして働いていました。

 

 

 藍に見つかり、指名する事にした涼介は、ウーロン茶を飲みながら、藍が一人で過ごすのが寂しくて、昼も夜も働いている事を知ります。

 

 しかし藍にまだ式場をキャンセルしていない事を見透かされ、再び喧嘩別れっぽくなり店を去る涼介。

 

 

 ところが、藍は以前から付きまとわれている男達に店の前で見つかってしまい、慌ててその場から逃げ出し、自分の車に乗った涼介に助けを求め、そのまま乗り込んで車を出すように涼介に指示します。

 

 

 車にマーカーボールを投げつけられながらも、逃げ出す事に成功した涼介と藍は、父親が人を雇って自分を家に連れ戻そうとしている事、自分の実家が資産家であることや生い立ちを説明しながら海に辿り着きます。

 

 

 藍は今まで父親の敷いたレールの上を歩かされ、何一つ自分で決められなかった事、就職先だけでなく結婚相手までも決められそうになり、嫌になって家出して来たのだと打ち明けます。

 

 仕事も見つからず、変な男に宿を提供されつつ一晩だけの関係を持ってきたこと、何もかも嫌になって死にたくなって海に来た時に、偶然一郎に出会ったのでした。

 

 

 「彼(一郎)は何も言わず、一晩中眠らずにただ私を抱きしめてくれたの。」

 と、藍は一郎に会って初めて、生きてるって実感した、と告白するのです。

 

 

 

 それを聞いた涼介は藍に、そんなに好きなら自分の気持ちから逃げるな、ちゃんと相手にぶつかってみろ、

と励まします。

 

 

  

 涼介自身も自分で言った言葉に後押しされて、最後の賭けとしてレイ子に会うためパリ行きの航空券を購入します。

 

 

 その後藍はどうしても一郎に会いたくなり、勝手に合鍵を使って一郎の家に上がってしまいます。

 

 

 ベットで他の女性といる部屋に上がり込み、一郎に話したい事がある、と詰め寄る藍。

 

 

 一郎は、その女性に席を外させ、藍と二人っきりで話をする事にします。

 

 

 藍は何があっても一郎の事を嫌いにならない、一生愛し続ける。 

 ありのままの一郎を受け入れる。

 だから、もう一度やり直して欲しい、と一郎に告白します。

 

 

 その告白を聞いた一郎は、藍にこう問いかけます。

 

 

 

 「君に、僕に恋する以外に何ができるの?」と。

 

 

 そして一郎は、夢もやりたい事もない、ただ恋愛に依存している女性は魅力的じゃない、と藍に断言するのです。

 

 

 自分が何がしたいのか、自分が何が好きなのか、これまでの人生で自分と深く向き合ってこなかった藍は、返す言葉もなく愕然としてその場を後にします。

 

 

 

 一郎はその日の夜、浮気をする男性心理について、テレビの自分の番組で持論を展開します。

 

 

 妻は子どもを産んで母親になると、男にとっては女ではなく、子どもの世話をしてくれる家族になってしまう。

 

 そんな妻とセックスなんてしたいと思わなくなる。ただ、欲望はある。

 

 だから、男は自分の男性としての魅力を確認するために、外で浮気をするんだと。

 

 

 食卓で子ども達と一緒に、そのテレビ放送を食い入るように観ていた織江は、娘にどうしてお父さんと結婚したのかと聞かれてしまいます。

 

 

 答えあぐねていると、息子に「お姉ちゃんができたからじゃない?」と図星をさされてしまう織江。

 

 

 しかも、仕事で遅くなると電話を掛けて来たダンナ雪夫(矢島健一)には、その話をしてもまともに取り合って貰えず、仕事が忙しいからと電話を冷たく切られてしまいます。

 (蜜柑の勤務先ホテルのシーンで、雪夫は若い女と浮気をしていて、上記の一郎の浮気持論を持っている男性であることを暗に示唆しています)

 

 

 24歳で結婚した織江は、自分が若い頃、自分の生き方や目標について深く考える事も無く、勢いで高校時代から交際していた雪夫と結婚した事を後悔していました。(なので伝言ダイヤルに登録した自称年齢も、24歳になっています。)

 

 

 伝言ダイヤルに登録したのも、浮気をしたいという肉欲からではなく、自分を一人の女性として対等に話をしてくれる、精神的に繋がれる男性を求めたからでした。

 

 

 それゆえ、お互い共通の趣味(マネの絵に興味)がある、落ち着いた印象の男性(実際は自分の娘と同級生)の渉に惹かれ、二人は伝言ダイヤルで次第に会話をするようになっていくのです。

 

 

 その頃蜜柑は、告白しないと相手に自分の気持ちは伝わらない、と藍にアドバイスされた事で日に日に涼介に会いたい気持ちが膨らんでいき、赤い靴のお礼に買ったライターを郵便受けに投函しようとします。

 

 

 

 ところが涼介の苗字を知らない為に部屋番号を割り出せない事に気付き、アルバイトです、と嘘をついて涼介の苗字を御近所さんから聞き出したり、藍の追っ手に汚された涼介の車を洗ったり、郵便受けを拭いたりして、涼介の帰りを待ち伏せするようになっていきます。

 (可愛いけど、やっている事は殆どストーカー?)

 

 

 一方、一朗から恋する以外に能がない、と指摘を受けた藍はボロボロになり、実家に戻って父親の言いなりに結婚すると電話で涼介に告げ、実家の方へ向かいます。

 

 

 涼介は藍のヤケッパチな心情を察し、藍が実家のインターフォンを押す直前に追いつき、藍の手を繋いでその場から連れ出したのでした。

 

***** 

 

 

 一郎の、母になった妻を女としては見れないという意見、男性一般のあけすけな本音だな、と感じました。

 

 ただこの理論は、妻もまた自身と同様、感情のある人間だという事を全く考慮していません。

 

 
 

 一郎の持論に賛成する男性は、妻が女性としての魅力を確認するために、外で浮気するようになっても納得できるのか? 甚だ疑問です。

 (今現在放映中の、「あなたがしてくれなくても」に通じるテーマだと思います)

 

 

 自分がされて嫌な事は、相手にもしない。 

 良好な夫婦関係を築くには、これは一番大切な原則かと思うのです。

 

 

 

 ただ、恋する以外何ができるの?は、酷い言葉ではあるけれど、ある意味恋愛に依存しすぎて自分を見失っている女性に対する、人生の同胞としての警告のようにも受け取れる、と思ってしまいました。

 

 

 そういう風に考えると、一郎の第一話でのセリフ「結構気に入ってるけどサイズが合わない靴」が藍の今の精神状態に似ていて、意味深に聞こえてきます。

 (そして、それは蜜柑と涼介の関係にも言える感じがします)

 

 

 人に対して思いやりはあるが、世間体を気にして常識の範囲で動く事に縛られている涼介と、正反対に、我儘でも自分の心に正直に生きる事を目指す藍。

 

 

 互いが互いの良さに気付き、友情を超えた関係に発展していく様子が、自然に描かれていると思います。

 

 

 恋人や友人、夫婦関係っていうのも、結局は互いの信頼関係が基礎になっていると思うのです。


 

 

 相手の話を真摯に聞き対応する事で、互いの考え方を理解し、さらにそんな関わりの中で人との繋がり方が変化していくと感じられた回でした。

 

 

 何より驚いたのが、山田(渉)君と岡江(織江)さんの親子ほど年の差がある人間同士でも、興味ある事や趣味の話をしながら人として対等に会話が成立していること。

 

 

 これアイドル系の高校生が演じたら、ギャグになってしまう可能性大です。(www_)

 

 

 山田くん演じる青島渉だけ、オーディションで俳優を選んだ理由が分かる気がしました。

 

 

 

 人生が変わるドラマ㊻に続く