今朝は、
外が暗いうちにが覚めたので、
朝活として一本の映画を観ておりました〜
それがコチラ
『続 男はつらいよ』(1969年)
佐藤オリエさん、山崎努さんがゲスト出演されている作品ですね。
こちらの物語では、
医者役の山崎さんの芝居が私のお気に入りなんですよね。
このお堅い雰囲気が、
フーテン寅との掛け合いを一層面白くしてくれています
ちなみに、
私が、山崎さんの演じたキャラクターで特に好きなのが、
映画『タンポポ』(伊丹十三監督)のゴローさん。
(ラーメン屋の奮闘が題材の物語に、西部劇のタッチが融合されたユニークさ〜)
映画『マルサの女』(伊丹十三監督)の権藤さん。
(人間の襞に隠れた醜悪さ、残酷さ、悲しみなどの表現が素晴らしい・・・!)
映画『影武者』(黒澤明監督)の武田勝頼。
(大将の豪胆さ、胆力というものを見事演じていますね〜)
どの役柄も、
当たり前のことですが、
人間の内面を繊細に芝居で描き出しています。
その演じ方の清々しさに、引き込まれずにはいられないものばかりです。
(こんなことを書いていると、また、これらの映画を観たくなってきますねぇ〜)
さて、
『続 男はつらいよ』には、名セリフがあります。
映画を知らなくても、この言葉ならば聞いたことがあるかもしれません。
「てめぇ、さしずめインテリだな」
この寅さんの一言です
医者役の山崎さんへ放った言葉ですね。
寅さんの野放図な物言いと、知的なインテリという単語のミスマッチングが面白いですね。
このシリーズを見ていると、
なぜに、このようなセリフが、こうも人を惹きつけるのだろうと考えてしまいます。
確かに良いセリフです・・・
しかし、渥美清さんでなくては、こうも名セリフとして後世に残ることもなかったように思えるのです。
では、渥美さん演じる寅さんには、一体何が詰まっているのでしょうか
その魅力を考察してみましょう。
〈答えはシナリオにある!〉
これは、私がレッスンで常に言っていることですが、まずは、先ほどのセリフから考えてみましょう。
「てめぇ、さしずめインテリだな」
この言葉を、私は、前後に切り離して考えます。
「てめぇ、さしずめ」「インテリだな」
ここで区切ってみることができます。
そして、前半分。これが、寅さん自身の言葉になります。
反対に後半は、相手へかけてやった言葉と理解することができます。
ちなみに、このセリフの登場する場面は、
医者が、寅さんに「昨日はすまなかった。ああするしかなかった。」と謝る直後になります。
病院で暴れる寅さんを医者が殴ってしまうんですよね。
翌日、そのことをスッと頭を下げて謝る彼に、寅さんは、この一言を言い放ったのです
そして、前半の、
「てめぇ、さしずめ」・・・というのは、寅さんの屈辱感や腹立たしさを素直に表現しているようですよね。
後半の、
「インテリだな」・・・というのは、素直で意外な態度に虚を突かれた寅さんが、相手に見栄を張って使った知的な言葉のようですね。
この二つが合わさって、渥美さんの芝居へと生まれ変わっているのではないでしょうか〜。
単純に考えると、このセリフには、以上の様な意味があるように思えますね
さらに、
名優渥美さんが演じると、ここへ人情味が加わってきますので、
このようなセリフにも、また違った豊かさが発生してくることになるのです。
それは、
「おい、医者さんよ。
人へ謝るときには、作法ってのもんがあるんだぜ。
それは、気持ちだよう。
テメェの言葉に心がなきゃ、伝えてぇもんも伝わりゃしねぇよ。」
こんな風に、
立派な身分の医者が、思いやり(人情味)のない話し方をすることを嘆いているようにも聞こえてくるのです
(本当は、人付き合いに不器用なお医者さんなんですよね〜)
これは、山崎さん扮する医者の謝り方に、寅さんが「男を見た」からこその表現ですね。
男の誠意をしっかり認めつつ、また別の一面の落ち度を指摘している(諭している)かのようです。
この映画の魅力は、
こういった寅さんのバイタリティーにあると思います。
1960年代以降、日本は都市化が進み、人との繋がりが希薄になり始めました。
そんな時代に、このように有り余る人情味を赤の他人へぶつけてくるキャラクターが、スクリーンに登場したのです。
まさに、この頃の日本人が、周囲へ期待するものが、この映画にはあったのではないでしょうか。
寅さんの粋な気質と、あの人情味ある語り口が、日本人の心を埋めることになったのですねぇ。
名セリフには、
どこまでも広がっていくような豊かさがある。
私が、映画に魅了されるのは、ここです
そして、『男はつらいよ』は、そんな豊かさに溢れているのです〜。
喜劇シーンも、ただの喜劇シーンではありません。
笑った後には、キャラクターたちの人間味が人情味が、観客の心に広がるように作られている。
山田監督は、そのように喜劇シーンをシナリオ開発の段階から作り上げています。
ただ笑わせるだけでは、それはギャグやコントになってしまう。
「喜劇は、人間を描くために使うものだよ」
この映画は、そのように私に教えてもくれました。
ここが、この映画の持つ美しさだと思いますね。
山田監督が完成させた日本人のための喜劇映画が、この『男はつらいよ』シリーズなのです
山田洋次監督の演出論と、渥美清さんの演技論が、見事に癒合した傑作シリーズですね。
さて、明日も早起きできたら、
どの作品を観ようかしら
『男はつらいよ 寅次郎あじさいの恋』
でしっとりした気分になるのも良いですねぇ
いや、『男はつらいよ 翔んでる寅次郎』
でゲタゲタ笑うのも良いですねぇ
さて、どうしようかなぁ〜〜〜。
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