アニメ声優に必要な〈江戸っ子気質〉【その1】

「メインキャラクターを演じる声優になりたいなら、

古い時代劇から演技を盗んでください！！」

私はワークショップにて、

度々こんなことを言っています。

ご存知の方も多いでしょうが、

昔の時代劇映画には、たくさんの侍ヒーロー、町人ヒーローたちが出演しています。

昭和の子供たちは、

そんな主人公のお侍さんに、どっぷりと夢中になっていたんですよね〜

それは、

ちょうど私が、80年代、90年代に、

ドラゴンボール、聖闘士星矢、幽遊白書、魁!!男塾、シティーハンター、北斗の拳、

などの放送を欠かさず観ていたのと同じことなんですよね。

つまりは、

時代劇の主人公と、

アニメの主人公には、

少年少女にとっては同じ魅了が備わっている可能性があるということなのです

今日のブログでは、

この辺りについて語っていこうかと思います。

私が、

若い声優さんに、

時代劇を観て欲しいとお願いする理由には、大きく二つのことがあります。

一つ目は、

【江戸っ子気質を知るため】

二つ目は、

【日本語の節回しを知るため】

です。

まずは、

一つ目から話してみましょう

これは、

上記のアニメ作品のメインキャストたちをイメージして頂ければ想像できます。

人気キャラクターのほとんどは、

粋、いなせ、いさみ、

といった江戸っ子独特の気質を備えていることが実に多いのです。

分かり易い例を一つ挙げると、

江戸っ子には「お金に頓着しない」という特徴があります。

そして、

もう一度、上記アニメ作品の主人公達を思い出してもらうとどうですか。

お金事情については、ほとんど触れない人物が多いいのですよねぇ

彼らの〈稼ぎ〉についてなどは、

全くと言っていいほどドラマ内で語られることはないのです

これは、

時代劇の主人公も同様です。

友情やプライド、愛と言ったテーマを前面に扱うとき、

我が国では、

お金の話を切り離す特徴があるのです〜

これも、江戸っ子気質に憧れを抱く日本人の名残りなんですよね

これは余談ですが・・・

エンターテイメントの本場アメリカでは、事情は正反対となります。

スパイダーマンは貧乏カメラマンだったり、

バットマンは大富豪だったり、

アイアンマンは発明家であり企業の社長だったりと、

職業や稼ぎや、生活の実情について細かく描かれるのが普通なのです

アメリカでは、

ここを見せることがキャラクターの真実性に欠かせないのでしょうね〜

そして、

現代のアニメ番組でも、

内面にそんな江戸っ子の本質を持ったキャラクター達が、

多くの方に支持されているのです

『ONE PIECE』のルフィなどはその代表でしょうね

これは、

今からほんの160年ほど前まで、

江戸の街を事実上支配していた、

商人や町人の生き方に、

現代人の我々が、強い憧れを抱いているからだと思います

この江戸という時代に、

日本人にとっての「カッコイイ人間像」が、

文化的にも、風俗的にも確立完成したからではないでしょうか。

（作者の尾田栄一郎さんは、幼少期から落語や講談のマニアだった事実も面白いですよね〜）

ですから、

江戸っ子気質というものを理解すると、

アニメのキャラクターを、ぐっと身近に感じることができるのです

それは、

演じる声優さんにとっては、

キャラクターの核を掴んだと言ってもいいくらいで、

「台詞の言い回し」や「間」についても、

具体的なイメージを持つことが、かなり容易になると思います。