声優養成所などでレッスンをさせていただいた時、
よくいただく質問があるのです。
それは、
「声優専門学校へ行く前、または、
声優養成所へ行く前にするべきことは何か」
というものなのです。
そんな時、
私は、
いつでも同じ答えを繰り返しています。
「シナリオを読んでください」
声優さんの仕事は、マイク前での演技表現です。
それは、シナリオを手にしながらの作業になりますから、
必ずしもセリフを丸暗記する必要はないんですよね。
そして、衣装やメイクもいらないし、美術セットに入る必要ないのです。
防音室にこもり、モニターを睨みながら、マイクに向かって演技をするのです。
時には、
共演者と集うことさえなくなり、
個別の抜き録りという状況もめずらしくありません。
そして、
この仕事において何より特殊なのが、
他のどの役者仕事より、圧倒的に「早録り」であるという事実でしょう
4、5時間の間に、
アニメ作品の一話分、外画ドラマの一話分を録り終えるという驚異的なスピードで作業が進むのです。
この特殊な環境と条件を成立させるのが、
プロの声優さんにたちによる、事前準備のクオリティーの高さなのです
プロの出演者の皆さんは、
本番前に各自にてシナリオの分析を終え、
現場にて初めて演技を披露する時には、ほとんどパーフェクトな演技プランを提出できる技術を持っているということなのです。
つまりは、
現場にいる全員が、抜群のシナリオ読解力を持っているということを意味しているのです。
だからこそ、
先にも言った、「早録り」を毎回のように達成すことができるんですねぇ〜
(映画やテレビの現場では、こうスムーズには進みませんよね〜)
この技術を、彼らは、いかにして手に入れたのか・・・
一つには、長年の読書量によるものかもしれません。
他には、長年の舞台演劇の修行によるものかもしれません。
または、膨大な名作映画の鑑賞、研究による効果もあるでしょう。
そして、
現在活躍中の大ベテラン声優などは、
これら全てを経験しているという推測が正しいと思いますね。
プロを目指すというのは、
当たり前のことですが、
こういった我慢の鍛錬の末にたどり着く技術のことを指しているんですよね〜
では、
「声優の特訓は、何から始めるべきなのか・・・」
という冒頭の質問に戻るわけですが、
習得に一番時間がかかり、一番重要な基礎力となる、
「シナリオを正しく読む技術」
「シナリオをプロと同等の質で読む技術」
から手をつけるべきだと思うのです。
だから、シナリオを読んでくださいと提案するわけなのです〜。
できれば映画のシナリオがいいですね。
一流作品のト書きとセリフのセットで、プロ声優に必要な思考回路を獲得することが可能です。
これさえ手にしていれば、
専門学校でも、養成所でも、誰にも負けることはありませんからね
ドラマづくりの設計図を正しく読める者が、
そうでない者に劣るはずがないのです〜
これは、
私の開催したオーディションでの経験ですが、
シナリオをプロとして読める新人声優さんに出会う確率は、
300人中たったの1人くらいのものです。
プロレベルの読解力となると、このくらいの稀な出会いとなってしまうのです・・・
このような場で拝見する演技の多くは、
残念ながら、
シナリオの指示を理解せずに各自が自由気儘に演じてしまっているものばかりで、まるで演技表現の調和が楽しめないのです。
これでは、お客さんを魅了するドラマづくりとは言えないのですよね〜
関東圏は、
プロの声優を目指す方で溢れていますが、
制作現場や有名声優事務所が求めている人材がどれだけ存在するかと考えると、
これは、非常に厳しい数字なのではないでしょうか・・・。
色々と書いてきましたが、
シナリオをどのように読むかが、
新人声優とプロ声優との境目になると思います。
誰でも読めるシナリオですが、
声優としての読み方を説明できなくてはプロとは言えません。
これが分からない方は、
きっとまだこの分野の勉強をしたことがない方でしょう。
学んでない方には、芸で成り立つ仕事が与えられることはありません。
この厳しさが、現場のクオリティーを守っているんですね。
私も、自分の制作する作品で驚かされましたが、
大ベテラン声優のシナリオ読解力というのは、想像を絶するものがありました。
私がこだわったセリフの細部にまで分析が入っていて、
それがキチンと演技表現に盛り込まれているのです。
その的確さには、職人らしさを感じたものです〜。
まるで、
私の頭の中を覗かれている感覚になりましたね。
これには、畏敬の念しかありませんね〜
多くの方に、この真実を理解していただき、
大ベテランとの共演を待ち望む新人声優になっていただきたいですね。
そして、そんな声優さんには、
是非とも、弊社の作品に出演していただけたら嬉しいですねぇ〜
これは、
世の中の、どのアニメ制作現場でも飛び交っている意見だと思いますね〜〜
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