「泣くな、はらちゃん」8話、9話の感想です。

「泣くな、はらちゃん」は、すばらしい。それはドラマの構造のことを言っているのではない。漫画と実世界を行き来すること、その構造がすばらしいと言っているのではない。そうじゃなくて、ドラマというのは、人間を描くものなんだ。人間の気持ちを描くもんなんだ。人間がどういう気持ちでどう生きていくかを描くものなんだ。それが、とてもよく描かれている。とてもよく描かれている。とてもすてきだ。とても温かい。

8話中盤までずーっと思ってきた。そう思ってきた。感想は書いてこなかったけど、でもずーっとそう思ってた。

が、8話で、漫画の世界の人たちが現実世界にやってきて楽しんでいたり驚いていたりするものの、TVで戦争の場面を見て涙するというのは、どんしらけ。いやいや、戦争ってさ。

そして9話。現実世界で変な人にからまれ暴力をふるわれ、泣きながら暴力を振るってしまうはらちゃん。ここは、思わずまこっちゃん(IWGP)ですね。たかしが泣きながらまことを殴る、みたいなw

話が脱線しましたが、戦争とか暴力が悲しいから漫画世界に帰るとか、どんだけくだらないんだよ、と。暴力が悲しいのではない、暴力をしてしまうその原因をドラマなら描かないと。人を思いやれない、そういう気持ちの悲しさを描かないと。人の人格を無視して自分の欲望を叶えるために殴ったり悪口をいったりひがんだりねたんだりする、そういう気持ちの悲しさを描かないと。戦争だって、戦争したくて戦争するって多分ないはずで、国家としては拡大を目指すはずで、帝国主義のなか、他国に対抗するには、他国がすでに持っている領土に植民地に対抗するには戦争をするしかないと思い込むことも往々にしてあって、他国が持っている資源を持つためには戦争をするしかないと思うことも往々にしてあって、そういう気持ちとか、貧乏でも侵略されてもいいと思う国民の気持ちがなければ、戦争を止めることはなかなか難しいとかそういうなんというか世界の現実と国民の気持ちの実情をきちんと描かないで戦争を否定するなら、それはただの愚策の8月15日付近にやっているお説教ドラマにしかならないと思う。

そうじゃなくて、せっかくここまで人間のすてきな感情を描いてきたドラマなのだから、安直に戦争とか暴力が悲しいというのではなくて、そここそ、人間の気持ちを描いて欲しかった。人間をとりまく現実世界の環境というのを描いて欲しかった、と思う。

と、見ていて「はあ~」という感じだった8話から9話だったけど、「戻りたい」と言えるわけもないだろうはらちゃんの言葉を待つわけでもなく、自らはらちゃんを漫画世界に戻してあげて、そして自分も漫画世界に行くという、これはまさに「純愛」ではないかと思った。

相手をこっちの世界に引き寄せたいのではなくて、私が相手の世界にいく、そのことになんのおそれもなく、ただ相手を思って飛び込んでいく、そういう純愛が描かれていたように思った。ここはさすがだった。途中の漫画世界に戻る景気の描き方が適当なだけだったのだ。これはこれでよしとしよう。純愛だと思う。