東宝RENTの感想です。【1】はこちら
11/5ソワレ 2列26番

えっと、分けて感想を書くと書いたわりには、まあいつも通りではあるが、結局書かない、と。そうこうしているうちに、またもう一枚のチケットの公演日になってしまい、その前に書かないと記憶が混ざってしまいそうなので、とりあえず書けるだけ書きます。

♪Tango Maureenから。
ここまで福士Markが役者とは思えずミュー俳のようなすばらしさでしたが、♪Tango maureenの出だしはやや失速気味かな、と思った。結構演技が薄かった。♪Tango Maureenは面白い歌なので、もっともっと濃くコミカルにやればいいのいなあ、と思ったけど、踊り出すあたりぐらいから、福士Markも濃くなって、すごく良くなっていた。なんで出だしはあれだったのだろうか、というぐらいのすばらしさ。ほんとよかった。
Joannneがうまくてね。

そうそう、♪We’re OkayもJoannneが恐ろしいほどうまかった。この人、多分前回の東宝RENTのJoanneと一緒の人のはずなのに、ものすごくうまかった。前から歌はおそろしくうまかったけど、前回は演技と呼べるような代物ではなくて、棒立ち、棒読みみたいな感じだったのに、今回のJoannneはまさにJoannneがそこに自然体で生きているかのように、うまかった。

BWだと、JoanneはMaureenに夢中で、Tango Maureenでも心配になってしまうという感じだけれども、東宝RENTでは、しっかりしたJoanne。BWだとJoanneは「女の子」的な性格で、MaureenがDivaとして強気すぐる、みたいな感じだけど、東宝RENTではそうじゃなくて、Maureenは90年代の女性アイドルみたいな雰囲気で、Joanneが、ああいうおばさんいるよね、まさにという感じ。しっかりしたおばちゃん的なキャラ。

♪Tango Maureenはものすごくよかった。恋に苦しんでもでもMaureenga大好きでたまらないし、ふりまわされちゃう二人みたいな感じがBWだとあるけど、それよりももっとはっちゃけて楽しそうな感じだったかな? 

あと、Hollywood BowlからTango Mureenの演出に、映画風味にして、Maureenを後ろで踊らせるようにしたっぽいけど、まあ別にいてもいいけど、いなくてもいいような気がする。ただ東宝RENTでは、二階(といってもBWよりもかなり高い位置にある。MimiがOut Tonightで出てくる階段)からおりてきて、いろんな女と男を振り回すさまが、とってもよかった。あれはよかったなあ。

次、♪Life Support。日本のLife Supportってしんみりしてるよね。もっとBWだと明るいのに、まあ映画の影響か、それか日本だとどうしてもああいう自助グループって明るいものよりもしんみりしたイメージっていうか固定観念があるからなのかな、とか思っちゃった。

で、♪Out Tonight。私はこの歌が大好きなのです。♪Life Supportの終盤から、RENTヲタはみんなそわそわしだして、Mimiの登場方向を凝視しますが、私もそうなのです。大好きなのですよ、Out Tonight。それがちょっとイマイチでしたね。

ソにンは歌もうまいし、ダンスもものすごくうまいし、セクシーなんだけど、セクシーすぎるというかなんというか。

キャラ的な話でいうと、MarkとRogerとJoanneが、日本人としてきちんといそうという性格になっていて、役者さんがその役をきちんと舞台上で生きていて、極めて生き生きとしていたのに対して、MimiとMaureenはちょっと弱かったかなという印象がないではない。でも、この舞台は本当にキャスト全てがすばらしかったので、まったく文句はないのだけれども。

ただMimiはせっかくうまいのだから、もう少しソにンさんらしさを出してもいいのにな、と思った。声もいいし歌もうまいしダンスもうまいしセクシーだけど、Mimiのキャラクターがあまり伝わってこない。歌やダンスや台詞をそつなくうまくすることよりも、下手でも荒削りでもいいから、Mimiとして生きた方が、RENTの精神は伝わってくるように思う。

特に♪Out Tonightで思ったのだけれども、ものすごくダンスがうまくて、特にミャオの前までは階段でのダンスで、ものすごくダイナミックで、見ていて危険そうではらはらするところが、Mimiとしてはすごくいいなーって思ったけど(Mimiちゃんは危険な子なので)、ミャオ後地上に降りてダンスしてぐらいから、なんかちょっと違和感が。あれ、最後まで階段ダンスにした方がよかったと思う、演出として。

それはまあ演出は置いておくとして、Mimiのキャラの話としては、ソにンはとてもダンスがうまくて、しかもかなりセクシーな衣装でセクシーなうごきをしていて、本当に体当たりで挑んでいるなと思ったけど、なんかセクシーすぎてちょっと困ったというか。

それもMimiはまあセクシーで、キャラとしてはいいと思うんだけど、Mimiって、特に一幕までは本当にやりたいように生きていて、自分のしたいように生きていて、危なっかしいてっていうか、自分の身の危険とか考えずに突っ走っちゃう子というか、まるで自分をろうそくみたいに燃やして、自分を消耗させることもいとわず、やりたいように、自由奔放に生きているように見えて、そこがMimiのすてきさだなって思うのだけれども、♪Goodbye LoveでRogerに言われてしまうように、Mimiは自分自身を愛するのが弱いというか、自分を消耗させることとか、自分をきずつけることをいとわないように見える。そうしてもそれがMimiらしさであればいいんだけど、自分はこの場面では別に消耗させたくないなって思っても、ついサービス精神からなのか、突っ走る性格からなのか、相手に実は尽くすからなのかわからないけれども、自分を削って生きてしまうところがあるように思う。自由奔放さがMimiのすてきさなんだけど、同時に自分を消耗させて生きているかのような危うさもあって。

そういうMimiの不安定さというか危うさ、奔放さ、みたいなものが、このMimiだとあんまり感じられないな―って思った。
♪Out Tonightでは、不安定さよりも、まあ1幕なので、Mimiの危なっかしくて衝動的でぱっと一瞬一瞬を燃え尽きるかのような、すごい瞬発力というか、パワフルな感じが出てほしいのだけれども、なんかMimiらしさがないというか、Mimiとして生きることより、歌やダンスがうまくできることを役者が目指しちゃっているように思った。

歌手がミュー初舞台すると、歌をうまくうまうのに必死で、歌詞に気持ちを乗せるよりも、ムーディーに歌うとか、舞台の流れを読むとかできないことが多いけど、この方は別に初舞台じゃないんだろうけれども、逆に経験をつけて、うまくこなすようになっちゃってるのかな、と思った。せっかくこんなにうまいんだから、多少崩れたっていいじゃないか、失敗を恐れずに、Mimiらしく、ソにンらしくやればいいのになーって思った。

そうそう、♪One Song Gloryもそう。私はあの歌がものすごく好きなのだけれども、藤岡Rogerはほんとすばらしかったのに、♪One Song Gloryだけはイマイチだった。まあ引きこもっている間のRogerは声量を出せないっていうのはもちろんわかるんですけどね、きれいにこじんまりまとまりすぎなOne Song Gloryだった。

もっともっと自分の気持ちをぶつけてさらけだすのがOne Song Gloryなのになあって思う。そしてそのレベルであれば、Hollywood BowlのRogerも、来日公演クラスのRogerもできていて、それに対しAdam PascalのRogerでは、怒りや焦りだけじゃなくて、半年引きこもっているうつろな感じもあり、でも音楽への情熱を歌っている内に、どんどん希望が、力が出てくる。「歌いたいのに・・・」みたいなうつろで焦っていらいらしている歌だったはずなのに、「永遠の炎をともすような栄光の一曲を作りたい!」っていう強い熱い思いで、どんどん力がみなぎって、希望がわいてきて、でもできない、どうしたらいいんだ、でもやっぱり見つけたいんだっていうそういう思いが本当にきれい。Broadway Tourぐらいまでくると、もう神々しさまで感じられた。祈りのような、いやさらにもっと敬虔な歌というか。本当に美しい。

私はBroadway Tourではまあなにもかもが楽しみだったけど、One Song Gloryを楽しみにしていたので、もし仮に横の客が遅れてきて、One Song Gloryのときに横切られたらどうしようかと、いつもくだらない妄想をしていた。もう誰にも遮られたくないOne Song Gloryの瞬間。もうほんとうにすてきで、大好きだ。

生きることのすべてがあの一曲に含まれている。焦りもいらだちも空虚感も過去への後悔もあるけど、でも心の奥底の叫びを歌うことで、どんどん気持ちがわいてきて、力がわいてきて、栄光の一曲を作りたい、愛の歌を作りたいっていう、真摯な、熱い情熱がみなぎって、でもどうすればいいのかはわからない、だけど自分はこうしたいんだっていうのははっきりとわかるっていう、なんか本当に人生の全てがあの一曲に凝縮されているように思う。

えー、藤岡さんについていうとですね、かわいいRoger蔵なのでね、怒りや焦りみたいな強い負の感情はないんですね。それは彼のRogerはそういうキャラクター構成なのでいいと思うんですが、希望とか情熱とかそういうのもあまり感じられなかった。

まあたまたま調子が悪かっただけかもしれないけれども、そのとき見て思ったのは、もっともっとソにンじゃないけど、怖がらなくて、見苦しくなってもいいのに、と思った。きれいにまとめないで、もっと下手になっちゃっても逆にいいから、心から血が出ているような思いというか、もっと感情をさらけだせばいいのになあと。うまくまとめると、逆にRENTの歌は伝わらなくて、歌詞とばしても、音程外してもいいから、きれいな声にならなくてもいいから、もっと汚くなってもいいのに、というか、きれいにまとめることに一生懸命にならなくてもいいのになあ、と思った。

で、次いきます。
♪Another Dayね、私、これも本当に好きなんですが、東宝RENTさんはね、まあもちろん前回に比べて格段に歌詞が聞き取れるようになってほんとうに良かったんですけど、Another DayとChristmas Bellsとか、その辺の台詞が多いところだと、歌詞が聞き取れなかったので、♪Another Dayはなんにも伝わってこなかったです。Rogerがテンパって拒否っているのは伝わってきたけど、そのRogerに、Mimiが、そして仲間が優しく語りかけるのがこのAnother Dayであるのに、Mimiが言っていることがなんだかわからなかった。それは聞き取れないのもそうだけど、どうせ私なんかのヲタは、英語歌詞暗記してますからね、どういう意味のことを言ってるかは大体全ての場面で聞き取れなくてもわかるわけですけど、そうであっても伝わってこなかった。
Another Dayの歌詞の意味を、MimiとLife Supportのメンバーは理解していないのかも???ここは、とっても重要な場面なんだから、演出がちゃんと演技をつけるべきだな、と思った。

心を閉ざして、過去にとらわれてしまっているRogerに、みんなが優しく語りかけて、「こんなにもすばらしい今がある、私たちは今ここにいる、一緒だよ、Roger大丈夫だよ、恐くないよ、私たちが一緒にいて、そして今があるんだから、こんなにも可能性に開かれた今があるんだよ」って歌うわけですよね。そこがちょっと伝わってこなかったですね。Rogerに優しくみんなが語りかける演技になってなかったですね、演出の問題か?


で、なんと♪Will I?で、Rogerさんが立ち上がらないんですよ。エリカ、やっちゃいましたね。RENTを理解していないのですかね。
これまで引きこもって心もひきこもって閉ざしてきて、過去にとらわれて過去にしか生きられなくなってしまったRogerが、♪One Song Gloryで音楽への情熱を歌い、♪Light My Cnadleで少し心を開いて、で、♪Out Tonightを見て奔放なMimiに惹かれるも、自分はHIVポジティブだからというのと、あとは恐いのもあって、Mimiを拒否するわけでしょう。でもそれでもそのことで逆に初めてRogerは感情を顕わにできるんだ。他人に対して一幕で初めてあんなにも感情を顕わにできる(♪One Song Gloryでは他人に対して歌ってきかせているわけではないから)。
でもやっぱり恐くて強がってしまうRogerにMimiほかみんながやさしく語りかけて、それでも意固地につっぱってしまったRogerだけど、
逆に、いつこの悪夢から目覚められるかわからない、AIDSになって尊厳をなくして死んでいくのだろうか、誰もかまってくれないのだろうか、そんな風なことがあるからこそ、逆に心を開くっていう、本当に美しくて、本当に感動的で、私はいつもあそこで立ち上がる勇気をもったRogerに涙して、もうこの話ここで終わりでもいいんじゃないかって毎回思うわけだけど、

そのシーンでですよ、Rogerが立ち上がらないのですよ。なんなんですあけん。で、普通に街に出てきちゃうのね。へんな人。
エリカってなんなんだろう。まあ前回の♪What You Ownのマイクスタンドに比べれば、なんでもいいですけどね。なんなんだろう、まったく。

で、♪On the streetでは、そうですね、福士さんは全体的にとてもすばらしくうまいんだけど、そりゃ比べる方が悪いのかもしれないけど、Anthonyみたいな悲哀がない。♪On the streetもあんまり気にしてないのね。Markってまさにああいう役回りじゃん。親切でいろいろと他人のためにやっているのに、他人から八つ当たりうけたりとばっちりくらったりして、だから落ち込むんだけど、そんなMarkをAngelとCollinsが勇気づけるっていうのがいいのになあ。

ただ福士Markだと、日本人的な感じで、悲哀のマークというよりは、クラスとか集団とかでリーダーになるタイプのMarkなんだよね。リーダー系キャラ。だからOn the streetでも気にしないんだろうね。

でもね、気にしないとなると、「ホームレスごときにバカにされても、別に~」みたいにもとられかねないよ。ちょっとあれは変えてほしいけど、まあ、流れとしてみたときに、変に浮くことは全くなくて、逆にこのシーンがある意味がない感じでスルーされるだけなんで、有害ではないけど、せっかくのMarkのキャラクターを表すシーンというか、そういうのをもう少しやってくれるとありがたい。

あとは、ホームレス役が多分、元宝塚の人だと思うんだけど、やっぱり宝塚だけあって、きれい。声もきれいだし、しぐさもきれいで、あのおばさんホームレスは、もう心がささくれだってて、だからああいうこといったりやったりするわけでしょう。なので、もっとそういう心がささくれだっていて、いらいらしている、そういう様子を出してほしいし、声をあんなに上品にしないでほしいなあ、と思った。うまいけど、きれいな気がする。

♪Santa Feはすごいよかったね。明るくてね。Collinsがうまいしね。

で、♪I’ll Cover Youですね。時間切れなので、また分けて書きます。
といって書かないことが多いように思うのだけれども。